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エッセイ / 「豊かさって、葡萄一粒のひかり」



「ゆたかさって何だろう」



前に こんなことを書いていた。

好きな人がいなかった時のこと、寂しかったけれど、誰に嫌われても関係ないし、誰にも好かれなくても構わないなんてとても自由だった。春の海に潜ったって良いし、昼食は森で食べるし、紫陽花はいつでも探しに行けるし、月を見たって誰のことも思い出さないでゆっくり考え事ができるなんて、自由だった。


私は今でもそれを豊かだと思う。


しかし、少しだけ違う、今はそれが全てではない。

変わった、というより、加わった。



恋人ができた、同性同士だけれど。結婚はできないし、社会的保証もない。親にも言えていないし、未来も不透明。
(※恋人=元恋人)


それでも、恋人との付き合いが始まりが 私はただ嬉しかった。



昔は恥でしかなかったセクシャリティ、罰でしかなかった人生が、償いだと思っていた生きることが、恋人との出会いで変わった。



季節の花が咲いたら写真を送ってくれる人だった。

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