空白
その日は妙に調子が良くって
朝から笑えたんだ
昨夜、おまえと酒を吞みながら
好きな音楽の話
くだらなさすぎて笑える話
愚痴なんかを時折こぼしながら
その合間に真剣な話なんかを
熱く語りながら何時間も過ごした
まるで、たばこを吸うように
日常のうっぷんを口から吐き出して
そして薄れていって
きれいな感情になったものを再び飲み干した
得ていき続けたいもの
守り続けたいもの
信じ続けたいもの
それらの存在があるから
安定した感情を維持することができると思うんだ
その中のひとつでも失ってみなよ
感情が鋭くなって
目つきも鋭くなって
何かにおびえながら狂ったように泣くのだろう
朝のゆっくりとした時間の流れに身をゆだね
あたたかい朝のひかりを浴びながら
おまえが昨夜言った言葉を思い出した
「あんたは全てのことに対して、考えすぎだよ」
そう言ったときに
寒さで息が白くはっきりと浮かび
同時に吐き出されたたばこの煙と混ざり合った
その不確かなものに永遠に包まれていたい
そう考えたことを思いだしながら
どうしようもできない
現実と再び向き合った
【23歳のルール】
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