映画『市子』解釈・感想①
※ネタバレあります。
長いです
【あらすじ】
川辺市子(杉咲 花)は、3年間連れ添った恋人、長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日、忽然と姿を消してしまう。途方に暮れる長谷川のもとに、市子を捜していると話す刑事の後藤が訪ねてくる。
市子の行方を追って長谷川は昔の友人や幼なじみ、高校時代の同級生など、これまで彼女と親交のあった人々から話を聞くうちに、市子の壮絶な人生を知っていく___
①1999年7月 山本 さつき
幼なじみ。市子の小学校就学前を知る人物。さつきは市子が自分と同い年だと思っていたが、小学校入学と同時に市子の姿を見なくなる。さつきが小学3年の時に、市子が1年生として入学し、周りからは『月子』と呼ばれることに違和感を覚える。
②2000年9月 幸田 梢
小学校の同級生。梢は身体的な成長が早く、男子にからかわれているところを月子が助ける。月子も成長が早く、2人は仲良くなる。梢の家でケーキを食べたり、買い物に出かけることも。梢に「ほんとは市子って言うねん」と話す場面も。
しかし、月子の家庭環境などから異変を感じ、梢は離れていく
③2008年7月 田中 宗介
中学時代の恋人。ある日、宗介は月子の家に行きたいというが、部屋が狭いなどの理由をつけて断る。しかし結局、2人で月子の団地まで行くが、家の外で小泉雅雄(母の恋人)と会った時に、宗介は異変を感じ、月子から距離を取る
④2015年8月25日
生駒山で10代から20代身元不明の白骨化した遺体が見つかったとニュースで報じられる
その頃、長谷川は昔市子が働いていたケーキ屋を尋ねる
⑤2009年5月 吉田キキ
以前、市子とケーキ屋で働いていた。
キキと市子はケーキが好きという共通点があり、一緒にケーキ屋をやろうと夢を語る
⚠️ネタバレあり⚠️
長谷川は市子が事件に巻き込まれたのではないかと心配になり、刑事の後藤を問い詰める。今までの証言、刑事との会話で市子の正体が明らかになる。
ニュースになっている身元不明の遺体遺棄事件は、難病筋ジストロフィー(ALS)患者のもので、川辺月子の可能性がある。月子の病気は、知的障害を伴い生涯を通して自分の足で立つ事もできないような難病であり、2歳の時にALSと診断されている。しかし、月子は普通に小学校に通い、高卒までの就学履歴もある。
また、母親には市子が生まれた年に離婚歴があり、何らかの理由で出生届が出せなかった。(離婚後遺伝子に関係なく300日間は前の夫の子どもになる)
そのため市子は『無戸籍』であるのとが判明。
また、月子の介護に追い詰められる家庭の状況が描かれる。そんな中、市子が母親の外出中に、月子を手にかける。母親は帰宅後、息をしていない月子を見て、市子に「ありがとう」と呟く。
調査を続けると、2010年に市子が戸籍取得の為に支援団体を訪れていたことが分かる。戸籍は取れなかったが、その後に に「川辺市子」を探しているという人物が現れる。それは、高校の同級生である北秀和である。
⑥2008年 北 秀和
高校の同級生で市子のことが好きだった。学校の帰り、市子を団地まで送った際に小泉が市子の腕を引っ張り団地に入るところを見る。北は心配になり外から部屋の中を覗くと、市子が性的暴行受け、はずみで小泉を殺害することろを目撃。その後、2人で小泉を自殺に見せかける。2人は「共犯者」となった。「俺が守ったるからな。俺がヒーローになる」と市子に伝えるが、市子は北の前から姿を消す
ここから月子ではなく『市子』といて生きるが、2009年 キキとケーキ屋で働いていたある日、北秀和と再会する。北は「死に物狂いで探した」と言うが、市子は「夢ができて、友達もできて、市子として生きていけそう」「市子として生きていきたい」と、昔の人とは関わりたくないことを北に伝える。
その後、キキと一緒に働いていたケーキ屋からも姿を消す。
長谷川と出会い、3年間過ごした後プロポーズを受ける。この時、市子は泣きながら「嬉しい」と伝える
⑦北見 冬子
自殺志願者で市子と背丈が似ている冬子が北の元を尋ねる。市子からここの場所を言われたと。北は断るが、市子から電話があり、2人で海に来てほしい「北くんは私のヒーローなんでしょ」と。冬子と2人で海に行くと市子が待っている。___
後日、海から車が見つかりそこから2人の遺体が発見される。
↓映画『市子』解釈・感想②