性格形成は家庭環境とは無関係? (3)──双生児法とは
○双生児法とは
ところで、双生児法とはどんな手法なのだろうか? これは一卵性と二卵性の双生児を比較することによって、遺伝要因の関与の有無を予測する(一卵性の方が二卵性より似ていれば遺伝の影響がある)だけでなく、両卵性の類似性の差から①遺伝の影響力の大きさや、②遺伝だけでは説明できない「共有環境」の大きさ、③そして遺伝と環境を共有する一卵性すら類似させない個人に固有な「非共有環境」の大きさを推定する方法である。
ここで体重を例に、遺伝と共有環境、非共有環境の効果量の相対的な大きさを求める式を紹介する。
ある調査では、体重の相関係数は一卵性双生児同士では0.80、二卵性双生児同士では0.43であった。相関係数は二つの量が完全な比例関係にあるときは1、全く無関係なら 0になる性質のものである。また一卵性双生児同士の遺伝子の類似性は100%(1)、兄弟や二卵性双生児での類似性は50%(0.5)である。
そこで遺伝による寄与率をx 共有環境による寄与率をyとすると
0.80=x+y 0.43=0.5x+y
となる。これを解くと x=0.74 y=0.06となる。
つまり体重個人差は遺伝74%、共有環境6%、そして20%が非共有環境になるというわけだ。
双生児法による研究結果の一部を紹介してみると、たとえば15歳児の身長や体重は90%以上が遺伝、残りは非共有環境。つまり身長や体重は遺伝的要素がほとんどで、親がどんな物を食べさせるかとはほぼ無関係。また性格(神経質、外向性、開拓性、同調性、勤勉性)は30~50%が遺伝、残りほぼ全てが非共有環境で、共有環境の影響とはほとんど無関係、などの報告がある(P80)。