福島銀行向けに導入したルールエンジン
オージス総研さんからプレスリリースが出ました。
オージス総研、フューチャーアーキテクトが福島銀行向けに導入した「次世代バンキングシステム」にルールベース開発プラットフォーム「yonobi®」を提供
福島銀行様の勘定系リニューアル稼働に関するメディアの記事を見ると、勘定系システムをパブリッククラウド上で日本で始めて運用したということを強調しているものが多いです。確かにすごいことではあるのですが、私的にはPlatformの話よりも、銀行機能のアプリケーションにルールエンジンを採用した事の方が革新的であると思っています。
yonobi® は、「用の美」を由来としており、「用の美」は機能的で美しい民藝品のことを柳宗悦(やなぎ むねよし)氏が1926年(大正15年)頃に提唱した言葉です。モノに機能性だけを求めるのではなく、本当に生活に役立つものは人の心をも満足させるものであり、使いやすさと見た目の美しさが両立してこそ、真の機能であるということです。
オージス総研が販売しているyobobi®は、中身は私が前職で粉骨砕身していたルールエンジン製品である、Red Hat Decision Manager (現 IBM社より販売しているIBM Decision Manager Open Edition (*))を使用して、ルールの記述や管理を行うより美しいGUIを独自に開発されて販売しているものです。
利用されているアルゴリズムはRETEアルゴリズムを発展させたもの(Phreak (フリーク)アルゴリズム)であり、50年前の1974年に技術的な理論は確立されているもののなかなか市民権の得られないルールエンジンですが、ようやくこうして日本の金融機関の、勘定系と呼ばれる超ミッションクリティカルな領域で使われ始めたことは、感慨深いものがあります
エキスパートシステムとして開発され論理的な推論機構を持つルールエンジンの機能性と、メンテナンスしやすい機能美なユーザインターフェースを持つ yonobi®、まさにマイクロサービスアーキテクチャにおける「用の美」であり、きっと皆様のお役に立つと思います。
なによりも、業務側とIT側が共通のインターフェースを利用して会話ができるところがイノベーションを起こせる点で良いです。業務とITが同じ思いで臨まないと、デジタルトランスフォーメーション(DX)は成り立ちませんからね。
今後さらなる発展を期待しています。
(*) Decision Manager Open EditionはOpen SourceのDroolsプロジェクトをベースとした製品ですが、この他に、Open Sourceではない Decision Manager 製品があります。こちらは旧 ILOG社の製品(JRules)を発展させたものです。非常によく似ています。