私は人が嫌いだ

 人のことは基本嫌いだ。
 関わることをしないで良いのなら、基本的には関わらないで生きていきたい。人とすれ違うだけでもストレスを感じるし、世の中の人の関係性が見えるだけで、嫌悪感が湧いてくる。
 とはいえ、人は一人では生きていけない。
 だから、人を尊重する気持ちはある。
 人は嫌いだけど、特定の誰かが嫌いなわけではない。人という人種の価値観。この社会の中での人の集合体が嫌いなわけだ。
 社会での人という役割を演じなければいけないことに、酷くプレッシャーを感じる。
普通に生きているだけなのに、そこが急に鉄骨の上にいるかのように思えてくる。ずっと気を張っている。この糸が切れたら、転落するんじゃないかという恐怖に怯えている。
 人嫌いは、割と身近にある価値観でもある。
 ただその身近の価値観とも、私は相容れない。
 それは結局、この人社会から生まれた価値観だからだ。私のそれとは性質が違う。
 彼女は人が嫌いだという。
 彼も人が嫌いだという。
 ならなぜ、人と一緒にいるのか?
 友人と旅行に行ったり、恋人を作ったりするのか?
 私からすれば、それは人嫌いではなく、特定の誰かが嫌いなだけだ。それをまるで、私たちは、人が嫌いなんです。なんて顔をしないでほしい。
 それは、本当に人が嫌いな。
 言い換えれば、この社会での人が苦手な私たちを冒涜する行為だ。
 勝手に、人をよろしくやっているくせして、何が人嫌いだ。馬鹿にするのも大概にしろ、と思う。これは、幸せなくせに、不幸だと嘆いている人に対して思う感情と似たものなのかもしれない。
 でも、私は別にそれを言わない。
 人を尊重する気持ちは持っているし、それこそ、その人、その立場での悩みや苦しみがあるのだろう。
 ただ、それはただのパフォーマンスじゃないのか、と思えてくる。そのパフォーマンスをきっかけにして、近づいてくるための口実だ。
 これがいけない。
 結局、これが人を傷つける。
 私は人が基本嫌いだ。
 だけど、結局、人から好かれたい。
 人嫌いだというなら、他の人を好きにならないでほしい。
 私のこれも、ただのパフォーマンスの一環なのかも知れない。

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