デ・ニーロ・アプローチ【断片集・藍田ウメル短編集より】
この物語はフィクションです。実在するあらゆる個人・団体・学校・組織および事件・事象などとは一切関係ありません。
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幼稚園に通っていた頃、父が僕に食べさせたあのチョコレートの味を良く覚えている。
普段食べ慣れたチョコレートとは少し違う、でも、チョコレートとしか言えない甘いものが融けていくのを、僕は多分何か不思議に思いながら、舌の上で感じていた。
これで、健康になるからな、と父は僕の頭を撫でた。
その頃の僕は、人一倍やせ細った病弱な子供で、折角入った幼稚園も半分は休むようなありさまだった。
父にしろ母にしろ、僕を健康にしたかったのだ。食卓はいつも栄養溢れる食べ物が並んだ。
食が細かったわけでは決してなかったのに、僕はやせっぽちだった。
それで、チョコレートである。虫下しであった。
それが効いたのかどうなのか、僕にはわからないが、その後のことを思えば、効いていたとしかいいようがない。
父は笑顔だった。僕はその笑顔を、ずっと後になって随分と恨めしく思ったものだった。
僕は小学校に上がる時には、立派な肥満児だった。父も母も、がりがりだった僕が太っていくのを喜んでいた。
太ったおかげで、健康になったと思っていたのだ。
ますます高カロリーなものが僕に供された。僕にしても、子供だったから、太っていることをおかしいとも思わなかった。
もちろん、最初のうちは、ということだけれども。
子供の世界ではまず運動能力が、序列を決めた。
僕は自分がその最下層にいることに気が付いた。
重い身体では、どんなに必死に足を動かしても前に進まなかった。鉄棒を握っても、身体をそれに乗せるのに酷く難儀した。乗せたら乗せたで、脂肪に食い込んで痛い。雲梯、登り棒の類は言わずもがなである。
鬼ごっこは延々鬼であり続けたし、ボール遊びでは格好の的で、ヒーローごっこは黄色どころか、怪人の役しかさせて貰えなかった。
そんな僕が自分のすごさを示すことができるのは、給食の早食い、大食いくらいのものだった。僕は意地になって食べた。すげえな、と言う級友もいた。
今の僕ならお愛想かも知れないと思うけれど、その時の僕は子供らしく素直だった。
ますます食って、ますます太った。
男の友達は太っていることをあまり気にしなかった。良い扱いをするわけでもない。キャッチャーやキーパー役にもってこい、くらいにしか思わなかったろう。
でも、馬鹿にすることはあっても、生理的嫌悪感を示すようなことは少なかった。
それに比べて女の級友は、特に僕が好きになるような人気のある女の子は、僕をあからさまに差別した。
「オンナ」というヤツは、小学生の女児の中にだっているのだ。
一見同じように接しているようでも、クラスのヒーローと底辺の肥満児に向ける顔が違う。
僕は自分が太っているということを、苛立たしくも、自覚せざるを得なくなった。
かと言って、どうすればいいのかわからなかった。食卓には相変わらず大量の食事が並んだし、僕にはそれがやめられないほど美味しかった。僕は取り返しのつかなくなるまで太っていた。
小学校高学年になろうかという時、僕は恋をしていた。
自分が女の子から相手にされないということをわかっていながら、でも、それを本当には認められずにいた頃だ。
つぐみちゃんというコだ。
決して派手な顔立ちでは無いが、それぞれのパーツがバランス良く配置されていて、ほんの少し垂れ目なところが優しげで性格が良さそうに見える女の子だった。
実際、あまり人によって、態度や雰囲気を変えなかった。給食をパントリーから運ぶとき、重そうだから、一緒に持とう、と声を掛けてくれたりした。
僕に優しいひとは皆に優しい、ということを教えてくれる小説はまだなかった。
だから、好きになった。
本当に何故そんなに自信があったのかわからないが、きっと彼女も憎からず僕を思っていてくれるような気がしていた。
思うに、僕がそれまであまり屈折していなかったのは、家庭環境においては恵まれていて、太っていても、両親が僕を愛していてくれたからだ。
寧ろ両親には、僕の太っていることが健康でいることの証拠であった。
僕の脂肪が自分たちの愛情の具現に思えていたはずだ。
僕は僕で、皆が両親のように自分を思ってくれるとまだどこかで信じていたのだろう。
でも、そうではなかった。
ある日、僕はつぐみちゃんに想いを告げた。
彼女は困った顔をした。
僕はその表情の意味がわからなかった。
好きなんだよ、と繰り返した。
彼女は更に困った顔をして俯くと、あたしは光輝君のことあまり好きじゃない、ととても言い辛そうな小声で言った。
どうして、と僕は問い詰めた。本当に、彼女は、躊躇って、言葉に迷って、随分と間を開けて、最後は開き直ったように顔を上げて言った。
「太ってるから」
ああ、知ってた、と僕は呟いた。
いや、はっきりとは自覚していなかった。強がってそう言ったのだ。
でも、僕はずっと動きづらかった。
単純に運動ができないということばかりじゃなく、子供の社会の中で、どこか息苦しくて、不自由なのが、この自分を包む脂肪のせいであるということを、僕はその時、つぐみちゃんの普段見せない少し残酷な笑みと共に、胸に刻んだ。
僕がつぐみちゃんにフラれたことはすぐに広まった。慰めてくれるひとなんていない。彼ら、彼女らは薄笑いで、僕を更に追い込んだ。僕は卑屈な気持ちを初めて知った。それはずっと続いた。
でも、つぐみちゃんのこともずっと好きだった。
転機があったとしたら、偶然見たテレビで、市立病院の肥満児教室のことを知った時のことだ。外来で指導したり、長い休みには入院があって、徹底的な食事管理と運動をさせることで、子供の肥満を解消させるのだということだった。
つぐみちゃんの言葉はずっと僕の耳の奥で、聞こえ続けていた。
全て自分が太っているせいだといつのまにか思う様になっていた。
太った子供たちが、へとへとになりながら走ったり、縄跳びしたりするシーンが映し出されたそのニュースの最後の方で、中学生のお姉さんが、太っていた頃の写真と交互に映し出された。正直、痩せて、可愛くなっていた。
僕は、これだ、と思った。
痩せたらきっと自分もそうなってつぐみちゃんも思い直してくれる、そう思うと、いてもたってもいられなくなった。
僕は、ゲーム機やナイキのスニーカーをねだった時よりも、もっと真剣に、肥満児教室に通いたいのだ、と両親に訴えかけた。
太ってるくらいが丁度いいよ、と父親は言った。
ほんとよ、そのままで十分カワイイわ、それにね、大事なのはみかけじゃないのよ、中身なのよ、と母親は言った。
僕は、両親にそんな風に愛されても、ちっとも嬉しくなかった。僕の心は、もうそれだけでは足りなかった。
僕は縋り、土下座し、泣きわめいて、懇願した。それでも、ろくに相手にしてもらえなかった。
僕は自分が見ている世界と大人たちが見ているそれとの断絶を感じた。
僕がこんなに全身全霊で切実に願っても、子供の言葉は、所詮、子供の言葉でしかなかった。
悲しかった。でも、諦めなかった。
ならば、両親に通じる言葉を話す人を巻き込めばいいのだと考えた。
僕は親の目を盗んで、遠く離れた街に住む父方の祖母に電話した。
失恋のことは言わなかったが、これこれこういうことをしたいのだと訴えかけた。
大抵祖父母というものは孫に甘いというが、僕の祖母もそういう一人だった。孫の「向上心」を貴重に思った彼女は、僕の味方になってくれると約束してくれた。そしてそれは守られた。
最初、そんなこと必要ないですわ、お義母さん、と言っていた母親も、費用は持つ、孫の願いを叶えてやりなさい、という祖母の命令に逆らえなかった。母親が苦虫を噛み潰したような顔で僕を見ながら溜息を吐いた。
そんな親の手前何食わぬ顔をしたが、じゃあ行ってみなさい、と母親が言った時、僕はトイレに駆け込み、何度も何度もガッツポーズをした。
話はトントン拍子に進み、僕は、冬休み、その病院に入院することになった。うきうきした。
表情が勝手に緩んだ。
入院前の説明をする看護婦さん(当時は『士』とは言わなかった)が、珍しいわね、ここに来る子は大体嫌々親に引きずられてくるのに、と呆れるくらいだった。
これでやっとつぐみちゃんと両思いになれるのだ、と僕は信じ込んでいた。
そこでの生活がどれほど辛いかということには頭は回ってなかった。
ただそこに入れば、いきなり世界が変わると思っていたのだ。
本当に子供の考えることだ、と今は思う。
そんな浮かれた頭が冷えるのに、二日もかからなかった。
とにかく運動させられるのだ。朝から晩までびっちりと。
球技などの多少は面白いといえる運動などなかった。ただ、走ったり、縄跳びだったり、腹筋背筋だったり、きついだけで単調な運動を、ほぼ休み無くさせられた。
僕はそれについていくだけで、精一杯で、周りと親しくなる余裕もなかった。
でも、テレビにも映っていたお姉さんが、そこにいたことくらいは目の端に入ってはいた。テレビで見るより痩せているように見えたけれど、それがよく言うテレビは太って映るという現象のせいなのか、あれ以降もやせ続けていたからなのか、それを考える余裕は無かった。
それだけ動かされれば、腹もすく。でも、当然のことながら、食事も完全に制限されていて、八百だか、千だかのカロリーしか摂らせて貰えなかった。
脂気を搾り取ったかのようなぱさぱさの小さな肉と、味の薄い野菜、ごく軽くしか盛られていない白飯。
家で、毎食パーティみたいに料理の並んだ食事になれた僕には、それが食事であるというのが、悪い冗談のようにしか思えなかった。
でも、そんなものでも食べるしかないのだ。入院前に、飴のひとつも見逃さない荷物チェックがあった。それ以外の食べ物なんてどこにもないのだから。
そして、食事が終わるとすぐにまた運動の時間になる。僕は、ひもじい、という言葉の意味を全身で感じながら、病院にある小さな体育館をぐるぐると走った。
五十周。それが夕食後の運動のノルマのひとつで、達成しない限り、決して走るのをやめさせてもらえなかった。
夜の運動が終わり、就寝までの二時間程度が僕たちに許された自由時間だった。
でも、そんな時間が実は一番つらい。
運動している時はそのきつさのおかげで、かえって空腹を忘れられる。
でも、ベッドの上で、何もしていないと、真正面から空腹と向き合わなければならなくなるのだ。
家にいれば、空腹を感じる前にお菓子を口にしているはずだったが、当然口に入れられるものなど水しかない。僕はもう馬鹿みたいに水を飲んだ。
でも、腹はちゃぷちゃぷと重くなるけれど、頭の中の飢餓感が余計際立って、とてもとても悲しくなるだけだった。
就寝時間近く、僕が枕に顔を埋めて身悶えていると、同室で、中学生の金崎くんが、きついよな、と声をかけてきた。
僕が顔を上げて見ると、彼はなんだか寂しそうな笑顔を僕に向けて、きついんだよ、ここ、と再び言った。
きついです、と僕は小さな声で応えた。
「俺、これで、四回目の入院なんだけど、慣れるまでつらかったよ」と彼は言った。
彼は、まだ太い身体を重そうに僕に向けた。
四回目?
四回入院して、まだコレなのか? と僕は思った。
それを読み取ったかのように彼は笑いながら、腹をさすった。
「いや、これでも痩せたんだぜ? もっとひどかったんだ。まあ、意志が弱くて退院するとまた太っちゃうってのもあるんだけどさ」
僕はなんと言っていいのかわからなくて黙っていた。でも、わかるぜ、こういう暇なときが一番つらい、と彼は言った。
そして、うーん、そうだなあ、と顎に指をあてた。
「そういう時はさ、エロいこと考えるのが一番いいぜ」彼は言った。
「エロいこと?」僕は応えた。
「コンドームって知ってるか?」
僕はそんな単語を初めて聞いた。それがどうしてエロいのかすらわからなかった。首を振った。彼は何故か満足げに頷いた。
「セックスするときに使う」
「セックス?」
「そう。セックス知ってるか?」
クラスで、そういう単語を使うヤツはいた。それがどこかやましい意味のものであることは感じていたが、その具体的なところはまだ僕は知らなかった。僕はまた首を振った。
「女の裸とか見たら、ちんこ立つだろ?」
確かに新聞と一緒に入ってくる通販のチラシの下着姿の外人モデルを見ると、何かむずむずして、股間にある小さなモノがかたくなることはあった。
僕は頷いた。彼はベッドの上で身体を起こして、前のめりになった。僕もそうして、彼に向かいあうように座った。
「何でそうなると思う?」
「……おしっこしたくなるから?」
それ以降も他の男に訊いたことがないからそれが普通なのか今でもわからないが、僕は幼い頃尿意を感じると勃起していた。
別にいやらしいことだとも思ってなかった。
だから、その時も別に深く考えずに応えた。今度は、金崎くんが首を振った。
「おしっこ? うん、出したいのは一緒だけど、違うんだ。おしっこじゃなくて、セーエキってのを出したくなるからなんだ……って、なんだ、全然知らないのな、お前」
僕は、そのいやらしさではなくて、知らないことに恥じて、俯いた。彼は、にやりと笑って、僕の肩に手を置いた。
「そのセーエキってのを出すときはすげー気持ちいいんだぜ。やったことある? オナニー?」
僕は、次から次に知らない単語が飛び出してくるのに軽くめまいを感じた。その様子を見て、金崎くんは、ははは、と笑った。
「よし、わかった。入院中に色々教えてやるよ。女子の方にも詳しいやつ――今川とかいるからさ、今度部屋に押しかけて一緒にワイダンしようぜ」
僕は、そのワイダンという言葉の意味もわからなかったが、頷いた。
でも、金崎くんは確かに正しいことを言っていたのだ。
好奇心が空腹を麻痺させて、僕は辛さをいつのまにか忘れていた。
今思えば、病院の部屋割りは、無警戒だった。さすがに男女を同室させることは無かったが、部屋を行き来させることになんの規則も無かった。
次の日、地獄の運動の後の自由時間に、僕は金崎くんに連れられて、今川さんたちの部屋を訪れた。
今川さんは横にも縦にも、大きいひとで、金崎くんよりもごつく感じた。ぱんぱんに膨らんだ頬は不健康にむくんでいるように見えた。
その脂肪でふさがったみたいな目を向けられて、僕は少し怖かった。
金崎くんは、こいつ、何にも知らないんだぜ、教えてやろう、と僕の肩を押した。
ふうん、とまるで舌なめずりでもしそうな笑みを今川さんは浮かべた。
僕は目を合わせ続けられなくて、もう一つのベッドを見た。
そこには、あのテレビに映っていたお姉さんが身体を起こし壁に背中を預けて座っていた。
今川さんの後に見ると、とても小柄で、すっとしていて、美人とは言えないまでも、とても可憐に見えた。
テレビに映った人、ということが、余計特別にそう思わせたのかも知れない。
彼女は、僕を見てにっこり笑ったが、すぐ顔をしかめて、今川さんと金崎くんをにらみ、こう言った。
「あんたたち、こんな小学生の子まで、汚染する気?」
今川さんと金崎くんは顔を見合わせた。
「汚染、って。教育だよ」金崎くんは言った。
「倉橋だって、好きじゃない、そういうの」今川さんも言った。
倉橋と呼ばれたお姉さんは、少し溜息を吐いた。
「あんたたちが近くで色々話すからでしょう? いやでも聞こえるし、つんけんしたくないし、話を合わせてるだけじゃない」
「いやいや、一番えげつないこというの、倉橋だぜ」
金崎くんはふざけた風に、倉橋さんに人差し指を向けた。倉橋さんは呆れたような顔をして、首を振り、僕を見ると、こっちいらっしゃい、守ってあげるから、と手招きをした。
今川さんと金崎くんのにやけ顔を確認して、また倉橋さんと視線を合わせると、もう一度倉橋さんは、おいで、と言った。僕は特に考えも無く近寄り、ベッドに腰掛けた。
彼女は、ごく自然にぐっと僕を抱き寄せ、ベッドの上で、ぬいぐるみにでもそうするように、後ろから抱きかかえた。
聞いちゃいけないことをこの人たちが言ったら、あたしが耳を塞いであげるからね、と倉橋さんは言った。僕は頷いた。
僕が微塵も性的な意味を感じずに、親族以外の女の人に抱かれたのは、あれが最後だったと、後になって思う。
その晩、何度も倉橋さんは僕の耳を塞いだが、結局は聞こえていたし、僕はすぐにも「汚染」されて、自分を抱き締めているその肉の柔らかさに、特別の意味があることを意識するようになってしまったからだった。
就寝時間、電気の消えた部屋で、僕はまるで世界が変わってしまったことの興奮にくらくらしながら股間の固さを感じていた。
金崎くんは、いいなあ、小学生は、と言った。
僕は何も言えなかった。胸でかかった? と彼は訊いた。
僕は、柔らかかったです、と応えた。
オナニーするなら、トイレ行けよ、と彼はその表情がにやけているのがわかる声で言った。僕は、むずむずとするのを治めるオナニーというものの具体的なやり方まではわからなかったけれど、はい、と応えて、強く目を瞑った。
運動は裏切らなかった。僕は日に日に痩せていった。毎朝毎晩、体重計に乗るのが楽しくなっていった。
でも、本当に楽しみだったのは、自由時間のワイダンだった。
いや、もっと正直に言えば、ワイダンの時、倉橋さんに抱きかかえられることが、何よりも嬉しかった。
彼女が僕の何を気に入ったのかはわからなかったが、あたし、光輝みたいな弟が欲しかったんだあ、としばらくしたある時、僕をぎゅっと抱き締めながら言った。
きっと彼女にとって、ぬいぐるみか何かの延長線上に、僕はいたのだ。
僕はその言葉にうっとりとして、僕も倉橋さんみたいなお姉ちゃんが欲しい、と応えた。
じゃあ、きょうだいになろうか、と倉橋さんは言った。僕は頷いた。
それを見ていた今川さんと金崎くんは、キンシンソウカンだあ、とはやし立てた。何言ってんの、と倉橋さんは二人をけん制したけれど、僕はその言葉の意味をもう十分に把握していて、その淫靡な雰囲気に酔っ払ったかのように倉橋さんにもたれかかった。
僕はワイダンの時にも言わなかったけれど、試行錯誤の上、性的に絶頂に達することをもうおぼえていて、そんな時は倉橋さんのその温もりと柔らかさを、思い返していた。
セーエキはまだ殆どでなかったとはいえ、僕はもう十分に疚しい男になっていた。
でも、僕は倉橋さんの抱擁を失いたくなかったから、素知らぬ顔で「小学生」を続けていた。
それに気付いていたのかいなかったのか、倉橋さんは何かと僕の傍について面倒を見てくれたし、僕たちは看護婦やスタッフにも公認の仲の良い「きょうだい」として扱われるようになった。嬉しいような、もどかしいようなあの気分を、僕は何と呼んで良いのか、その後も経験がない。
北国の長い冬休みが終わりに近づいて、つまり、僕たちの退院も間近になった頃、僕はもうびっくりする程細くなっていた。
あれだけきつかった運動も、なんということもなくこなせるようになっていた。
その時の僕ははっきり言葉で自覚していたわけではないが、人間が変化し、成長できるということを学んだ。
サイズが合わなくなったズボンがずり落ちるのが誇らしかった。
皆が褒めてくれるのが、心地良かった。
でも、一番嬉しかったのは、倉橋さんが、かっこよくなったねえ、がんばりやさんの良い弟だ、と言ってくれたことだった。
倉橋さんも、もう、病棟には場違いに思えるくらい細くなっていた。お姉ちゃんもね、と僕は応えた。倉橋さんは、何も言わずぎゅっと僕の頭を抱き締めてくれた。
でも、気分の良いことばかりでは無かった。
それまでも、両親はお見舞いに来る度、微妙な笑顔を浮かべていたが、退院三日前のその日、母親は僕を見て、泣き崩れたのだ。
僕が訳がわからなくて呆然としていると、その泣き声に気付いた看護婦が、どうしました、と声を掛けた。
母親はしゃくり上げながら、こんなみすぼらしくやせっぽちになっちゃって、どんな酷い目にあったのかと思って、と看護婦に縋った。
看護婦は、酷い目になんてあってませんよ、頑張ったんですよ、光輝くん、頑張ったんですよ、褒めてあげてください、と繰り返し言っていたが、母親はまるで知らないひとにするかのような視線を僕に向けると、また溢れるように涙を流して、ひどい、ひどい、と首を振った。
僕は何だかひどく寂しくなって、気分が落ち込むのを感じた。
僕が嬉しく思っていることを、この人たちは、この世の最後みたいに悲しんでいる。
そもそも僕を脂肪まみれにしたのはこの人たちではなかったか。
本当は敵だったのではないか。
それまで漠然としか感じていなかった断絶の深さを、僕ははっきりと自覚した。
その夜、僕は、運動後のワイダンにも行けずに、ベッドで涙を堪えていた。コンコン、とノックの音がした。
振り返りもしなかった。扉が開いて、光輝、と僕を呼んだ声は倉橋さんのものだった。
彼女は僕に近づいて、ベッドに腰を下ろすと、僕の頭を撫でた。
「今川と金崎、盛り上がってるよ」彼女は言った。
僕は応えなかった。彼女の手が、僕の髪を何度もかき分けていた。
「もう、退院で、残り少ないし、皆と一緒にいようよ」
「……」
「泣いてるの?」
彼女の指が背を向けたままの僕の目尻に触れた。
そのせいで、僕の堪えていた涙が噴き出した。
僕は身動きせず、でも、我ながら悲痛な声が出るのを止められなかった。
「僕、退院したくない」
「うん」
「お姉ちゃんたちと一緒にずっとここにいる」
「うん、そうしたいね」
「できる?」
「したいけど……無理かなあ」
その言葉のせいで、目の中に穴が開いたみたいに涙がいっそう流れ出すのを止められなかった。
くっ、くっ、と嗚咽を漏らしていると、ふと、背中に温かいものが覆い被さった。
倉橋さんが、ベッドに上がり、僕の身体にぴったりとくっついて、横になったのだ。
僕は少し驚き、横向きになったまま首を動かした。
倉橋さんは僕の髪に顔をうずめて、そのままでいいよ、と言った。
「あたしも、本当は退院したくない」
「お姉ちゃんも?」
「うん」
「どうして?」
「うちね、両親の仲が悪いの。一言も会話しないの。だけど、いつも喧嘩してるの。言葉も交わさないで、喧嘩してるの。それで、どちらかがいない時、いつもあたしに相手の文句を聞かせるの。互いの汚いところばかり。あたし、そういうとき、食べるくらいしか、どうにかする方法がわからなくなるの。だから、太るの。太ると馬鹿にされるでしょ? 悔しいから、余計食べちゃうの。だから、帰りたくないのよ。ここに来たのは、最初は痩せるためだったけど、そういう親と一緒にいなくて済むってわかったから、痩せても、何だかんだ理由つけて来ることにしたの。親の顔見なくて済むから。だから、退院が近づくと、ほんと憂鬱になるの」
僕の首と枕の間に腕が差し入れられ、もう一方の腕が僕をきつく抱き締めていた。
僕は何だかそれまでの悲しみに甘ったるい液体がかけられているような気がした。
その冬知ったばかりの言葉の数々が、その密着した女の身体のせいで、一気に自分に近づいたように思ったのだ。
僕はむずむずした。でもそれは言い出せなかった。
倉橋さんの話の本当の所はわからないにせよ、「ワイダン」的な文脈とは違うことくらいは、小学生の僕にもわかったからだ。
でも、何かをしなければいけないような焦燥を僕は強く感じた。
何をしていいのかはわからなかった。
倉橋さんは言った。
「でも、次は来れないかな。受験生になるしね。成績が良いわけじゃないし。ほんと憂鬱だ」
「もう会えないの?」
「光輝だって、もう、来ないでしょ?」
「わかんない。でも、お姉ちゃんが来るなら……」
「だから、多分、もう無理よ」
僕はぐるりと身体を動かして、倉橋さんと向かい合った。
その顔が、同じ枕の上で、近かった。悲しげというのでも、無表情というのでもなく、瞳が僕を見詰めていた。僕は思わず口走った。
「お姉ちゃん、好き」
「ありがとう。あたしも光輝が可愛いよ」
「好き」
「うん」
好き、うん、という言葉を僕たちは何度も往復させた。
とっくにませてしまっていて、やってみたいことが多すぎるくらいあったが、実際の僕にはそれ以外の言葉を言い出せなかったし、倉橋さんにしても、例え何かに気付いていたとしても、そう応えるよりなかっただろう。
やがて、そんな言葉も消えて、しばらく互いに見つめ合った後、倉橋さんは身体を起こした。
僕は何かが引き裂かれて糸を引くような感じがした。
連絡先、交換しよう、と倉橋さんは言った。僕は、うん、と応えた。僕はその場にあったノートを破り、電話番号と住所を書いて渡した。
彼女は、そのノートに自宅の電話番号を書きながら、ねえ、もし、光輝が大人になっても、好きでいてくれたら、キンシンソウカンしてみようか、と言った。僕は、いますぐにでもしたい、という言葉を抑えて、うん、と頷いた。
その夜金崎くんが暗くなった部屋で、お前らずっといなかったけど、もしかしてヤった? ヤったんだろ? と何度も訊いた。
僕は冗談でかわすほど大人じゃなかったから、本当に真剣に何度も否定した。
性的な関心を、その時、初めてうっとうしいと感じていた。
僕は予定通り退院した。両親は僕をあわれに思っていたのか、いっそうのごちそうをテーブルに並べた。
でも、僕は毅然と、これは高カロリーだから、と大方をはねつけた。こんなこと言う子じゃなかった、とまるで不良にでもなったかのように母親は言ったが、僕は気にしなかった。ただ、栄養指導で言われた通りを実践した。
父親が、まあ、折角痩せたんだしな、と多少理解を示してくれたことが、救いと言えば救いだった。
冬休みの間に、すっかり見栄えの変わった僕を、クラスの連中は最初どう接していいかわからない様子だった。僕も、取り立てて、彼らと近づこうとは思わなかった。
ただ、それまで重かった脂肪を脱いだおかげで、体育の授業について行けるようになっていた。自分がそれほど運動神経が劣っていなかったのを確認できたことは、悪い気分ではなかった。
もし、僕がクラス内の階級を上がったと言えるならば、痩せたことも要因の一つだったかもしれないが、ワイダンで鍛えたシモの知識のおかげだとも言える。
クラス内の上位階級のグループのリーダー的な一人が、「今度オウム買ってこい」と言った時、僕はぶっと噴き出したのだが、それを見て彼は、お、わかるのか? と僕に訊いた。
僕は頷き、見たことある? と訊き返した。お前は? と彼は訊いた。金崎くんが何のためにか隠し持っていて、退院の時、餞別だ、とくれた一つを彼に差し出した。
えー、マジかよ、と彼は、それを恐る恐る受け取った。やるよ、と僕は言った。大人に見つかるなよ、と付け加えることを忘れなかった。
僕は、彼と対等になった。
いつのまにか、僕は彼と彼のグループと一緒にいることが多くなった。世界は変わった。
それを端的に示していたのは、女子たちの顔だった。
冬休み前、クラスの底辺にいた頃には、あなたには無関心です、と書いてあるかのようだった表情が、媚びたような笑みに変わった。
僕の自意識過剰だと言うならそうかもしれない。でも、彼女たちは僕が何を言っても、どんな風にからかっても、笑うのだ。
いい気にならなかったと言えば、嘘になる。
そりゃあ気持ちいい。
でも、同時に、僕は気持ち悪かった。
見てくれが変わっただけで、人々が変わる。
ベクトルは逆でも、母親だってそうだった。
その母親が言っていた。大事なのは、みかけじゃないのよ、中身なのよ。
僕は当時のその年齢にしては下ネタに通じるようになったけれど、中身まで変わったとは思えなかった。
結局「それ」なのだ。
僕は有頂天でありながら、どこか深く絶望していた。
じゃれあう相手は増えたが、僕は寂しかった。寂しくて、時々、倉橋さんに電話した。嬉しそうに彼女は応えてくれた。
僕たちは、そんな深い話をしなかったが、何か本当の繋がりがそこにはあるような気がして、僕は慰められた。
僕は二週間に一度、倉橋さんに電話すると決め、それを続けた。
その間、例のつぐみちゃんから告白された。
僕はすげなく振った。
どうして? と彼女は言った。僕は、逆に、今更どうして? と訊き返してやった。
だって、痩せたし、と彼女は言った。
彼女が本当の大人の女にはなりきってなかったのは、その返答からわかる。大人の女はもっと上手に本音を隠蔽するだろう。
でもそうじゃなかった。僕は、じゃあ、痩せてるひとなら誰でも良いってことなんだね、と言った。
彼女は慌てて、それだけじゃなくて、性格も好きだし、あたしのこと好きって言ってくれたし、と応えた。
僕は残酷な気分になりながら、性格は変わってないけど? と問い返してやった。
彼女は言葉を失って、目を涙で潤ませた。やっぱり痩せてるひとなら誰でも良いんだね、もっと痩せてるひとが世界にはいっぱいいるよ、と追い打ちをかけた。
彼女は泣いた。そして、嘘つき、あたしのこと好きだって言ったくせに、ひどい、性格が変わった、と泣き声で僕を詰った。
僕は、ああ、ごめんごめん、と彼女に謝りながら、僕は変わってないのに、僕は本当にちゃんと真剣に好きだったのに、ひどいことをしてるのは君じゃないか、と心の中で呟いた。
僕は誰も信じられなくなっていることに、自分でも気付いていなかった。男女を問わず、新たな友人達とはしゃいでいても、こいつらは見かけが変われば、すぐ態度を変えるやつだ、といつも心の最後の扉を開けることができなかった。
でも一旦手に入れた気持ち良さを手放すことも怖くて、僕は運動と食事制限を止めることができなかった。
「向上心」ではなく、現状維持のためにするランニングでは、身体だけでは無く精神まで疲弊した。
普段忘れていても、ふとしたときに、怯え、おそれ、と言ったものが繰り返し襲ってきた。
他の子供もあんな風に何かに身を竦めて生きているものなのだろうか? 僕は未だにわからない。
僕は直接そんな思いを打ち明けることはできなかったが、倉橋さんとの電話だけを楽しみに生きた。
唯一全てを許し合える相手、それは僕が太っている内から、弟だと言って抱き締めてくれた、痩せてかっこよくなったと言ってくれた、倉橋さんだけだった。大人になったら、キンシンソウカンしよう、と言う約束だけが、優しかった。
僕はいつになったら大人になるのだろう、と考えた。
小学生の僕にとって、それは中学生になったら、ということに思えた。僕は、その日を、息を潜めて待った。本当に窒息しそうになりながら。
中学生になったその日、僕は晴れて「大人」になったことを報告するために、倉橋さんに電話を掛けた。倉橋さんも、高校生になっていた。
僕たちはいつものように簡単に近況報告を済ませた。
それに続く言葉を僕は上手く選べなくて、ひどく躊躇して、結局、大人になったよ、と掠れた声で告げるのが精一杯だった。
そうだね、と倉橋さんは言った。
「大人になったよ」僕は、今度はもう少しはっきり言った。
「うん」倉橋さんは電話の向こうで応えた。
「約束、憶えてる?」
「約束?」
僕は訊き返されたことに、軽くがっかりした。うふふ、と笑い声がした。
「冗談。憶えてるよ」
僕は思いきり息を吸い込んで、そして、吐いた。それが聞こえていたのか、また、電話の向こうで笑い声が響いた。倉橋さんは言った。
「でも、大人、ってもっと、ハタチとかそういう年齢のことを言ったのよ」
「もう、そんなに、待てない」僕はじれったさを必死で我慢して言った。
「待ってよ」
「待てないよ。ずっと待ったんだ。好きなんだ」
「うん」
「好き」
「うん」
「好きだ」
「うん」
いつかのように僕たちは何度も同じ言葉を繰り返した。どのくらいそうしたかわからないけれど、最後に倉橋さんは言った。
「あたしの家、親が仲悪いの言ったよね」
「うん」
「そういうの、嫌なの。本当に」
「うん」
「ねえ、光輝、あたしのこと一生大事にしてくれる? 一生好きでいてくれる?」
「お嫁さんにする」
「本当に?」
「本当に」
「いつか、あたしをこの家から、連れ出してくれる?」
「約束する」
「何があっても、愛してくれる?」
「うん、ずっと一緒にいよう」
「……なら、いいよ」
僕は、本当に、一片の曇りも無く、嬉しかった。
体中に光が満ちていく感覚がして、何度も拳を振った。
僕たちは、結ばれる日と場所を、三日後の、両親が仕事でいない倉橋さんの家と決めて、最後に「好きだよ」と言い合って電話を置いた。
僕が妄想を抑えきれずに、その前の晩の明け方まで、いつのまにかちゃんと射精を伴うようになっていたオナニーを繰り返したのは言うまでもない。
そのせいだったろうか? 勿論そのせいもあるだろう。僕は倉橋さんを目の前に、その昂揚を高めることができなかった。
いや、僕は確信が持てなかったのだ。自分が今向かい合っているものが、確かにあのお姉ちゃんであるということに。
もしかしたら、今川さんがお姉ちゃんのふりをして現れたのかも知れないとすら思った。
控えめに言ってふたまわりは大きくなったソレは、待ち合わせの彼女の家の最寄り駅に現れたとき、少し太っちゃって、と笑った。
少し、という言葉の意味を僕は再定義する必要があるらしかった。
行こうか、と照れたように僕の手を取った腕が、ぱんぱんに膨らんでいた。
僕は倉橋さん、と呼びかけてみた。なあに? とソレは問い返した。
どうやら、本物だった。
僕は、ソレに対して自分が言った言葉の数の分、心が重くなった。裏切ることは絶対にできないと思った。思っているのに、足も重くなった。
ソレは積極的だった。
約束を守る、大事な事だ。部屋に入るなりさっさと裸になるソレののびたショーツの上に腹の肉が余っていた。
僕はそんなものと一生を約束してしまった。
「してしまった」と思っている自分が許せなくて、何とかしようと思った。
キスもした。何だか汚いものに触れた気がした。
いつか僕を後ろから抱き締めてくれたのとは違う緩い弾力が、何か動く度、波打った。
それでも、僕は必死になった。必死にそれを慈しもうとしたのだ。
愛そうと。愛していると。
中身が大事なのだと。
でも、僕は立たせることができなかった。
僕たちは下ネタだけは詳しかったから、ソレは僕を立たせようと色々と試した。
でも、この一年あまりの僕を救い続けてきた幻想は砕けて散って融け消えてしまって、もう二度と帰って来ることは無かった。
僕は、謝った。何を、何に対してかわからなかったけれど、ただ、謝った。
そんなこともあるっていうじゃない、とソレは笑った。
みじめだった。
ほっとしていた。
早く帰りたかった。
帰り、送ってくれた駅の改札で、また今度ね、とソレは言った。
ねえ、また入院しようか、と僕は言ってみた。
高校生になったら、もう、入院できないのよ、とソレは言った。
僕は、何だか視界が暗くなるのを感じながら、さよなら、と言った。
僕はそれでも意地になって、二週間に一度の電話を続けた。
そうするしか自分を許すことができそうになかったからだ。
でも、もう何も救われなかった。
好き、と言われるたび、うっとうしいような、気持ち悪いような、後悔のような、変な味が口の中でした。
僕は、二度と好きだとは言わなかった。そこにあるのは、ただ、「約束」だった。
中学校では、僕が小学校時代太っていたことを知らない連中が大勢いた。その内の女の子の一人と僕は友達になり、やがて恋人として付き合うようになった。
昔俺すごく太ってたんだぜ、と僕は国家機密を明かすかのような気持ちで言った。
随分がんばったんだねえ、とその子はなにげなく応えた。
その子との親密さが増していくのと反比例して、倉橋さんへの電話は減った。
時折、彼女から掛かってきても居留守を使うようにすらなった。
その内電話は無くなった。
僕はその後それなりに恵まれて過ごしたが、ただやせっぽちの、心根が貧相な自分にいつまでも馴染むことができない悪癖だけはずっと残った。
大学生になったある日のことだ。僕は夜、芸人が素人の女たちをひな壇に並べてトークする番組を何となく眺めていた。
そして、驚いた。僕はその可愛らしい会社員の女性の名前が倉橋某とあるのを見た。
僕はただ口を開けてその言葉を聞いた。
「あたしね、ダイエットとリバウンド繰り返してるんですけど、ただ繰り返してるだけじゃなくて、太ってる時と可愛くなったときの人間の態度の落差を見てるんです。太っている時に抱いてくれる男しか信用しないんです。どうでもいい醜い相手だからこそ、本性が出るって言うか。だから、その男を知るために太ったりするんです。身体はってますよお。まあ、デ・ニーロ・アプローチって言ってるんですけど。こういうの」
司会者が、どこがや? デ・ニーロに謝れ、怖い怖い、と笑うのを、僕は何となく真似て、怖い怖い、と呟き、テレビのスイッチをオフにした。
<了>
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