藍田ウメル

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マガジン

  • 【連載小説】僕のセイシュンの三、四日

    「僕は平穏だけを望んでいた」 彼女の過去が僕のセイシュンを終わらせる。『僕』が『泉』と『鳴海』の秘密を知るとき、愛した平穏は、もう戻らない。愛と情念と秘密の青春長編小説。(2013年作品)

  • Words【不定期連載小説】

    「実はすごいじぶんなんていない。だから、僕は間抜けでみっともない自分を語ろう」 親からの束縛から逃れようとする「僕」が、美しい少女「かほ里」をはじめ様々な人物と出会い、「恋のようなもの」に振り回されながら、「創作の呪い」にとらわれていく青春小説。「僕」は本当の「言葉」を、いつか語ることができるのか? 不定期連載

  • 転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想【完結済】

    「君に恋をしてもいいかな?」 生きる理由も希薄な「僕」の前に、ある日突然現れた少女がそう問いかける。強引に始められた同居生活の中で、彼女はその能力(転送)によって辿った奇妙な自分の半生の物語を語り出した――。セツナサと幻想の長編。ある意味においての切実な「青春小説」

  • 僕はハタチだったことがある【連載長編】【完結済】

    かつて、「僕はハタチだったことがある」。ハタチのとき、「君」を選ばなかった僕が、あの日々を遠く離れて「君」に伝えたいものは……。迷いと苦悩と喜びと、生と性と死の青春小説。(連載小説・2014年作品)

  • 断片集・藍田ウメル短編集

    恋愛や失恋、若さということ、そしてその底に潜む性をテーマに、2014年頃電子出版した短編小説集から、数編を掲載し、纏めていきます。

最近の記事

【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #13

この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版に加筆・修正をし、連載形式に分割して再発表するものです。 ここまでの話数は↓のマガジンに纏められています。  それは加藤から僕に伝えられた。  僕は加藤と付き合うようになっていた。  あの手に負えない女子高生をやる気にさせたと言う事が、いや、それが誤解なのはさっき話した通

    • 【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #12

      この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版に加筆・修正をし、連載形式に分割して再発表するものです。 ここまでの話数は↓のマガジンに纏められています。          ○  いずれにせよ、ひと月経って僕の役目は終わった。  僕を沢崎家に紹介した女の子が、加藤というんだが、戻って来ることになったんだ。  加藤は意

      • 【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #11

        この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版に加筆・修正をし、連載形式に分割して再発表するものです。 ここまでの話数は↓のマガジンに纏められています。           ○  僕は何時の間にか自分の部屋に居て、泉の夫で砂羽の父親とその子供を置いて行った母親に、茶を出そうとしていた。  構わないでくれ、と田宮は言

        • 【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #10

          この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版に加筆・修正をし、連載形式に分割して再発表するものです。 ここまでの話数は↓のマガジンに纏められています。          ○  僕たち三人は帰りのバスの中で何も話さなかった。  最後尾の席で、砂羽を挟んで僕と泉は座っていた。バスには他に乗客はいなかった。  僕は車窓

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        • 【連載小説】僕のセイシュンの三、四日
          13本
        • Words【不定期連載小説】
          23本
        • 転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想【完結済】
          16本
        • 僕はハタチだったことがある【連載長編】【完結済】
          14本
        • 断片集・藍田ウメル短編集
          6本
        • epilogues【連作短編集】
          5本

        記事

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #09

          この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版に加筆・修正をし、連載形式に分割して再発表するものです。 ここまでの話数は↓のマガジンに纏められています。          ○  結局、随分待ったが、砂羽は親子丼を食べきれなかった。エビピラフを平らげた僕がその残された分を食べた。  長い昼飯の後、僕は砂羽を連れて久し

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #09

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #08

          この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版に加筆・修正をし、連載形式に分割して再発表するものです。 ここまでの話数は↓のマガジンに纏められています。          ○  その晩、僕はいつ眠りについたのか分からない。食事をしたのかどうかも憶えていない。  ただ、夢かうつつか、アタシが店長に説明するから、と泉が

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #08

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #07

          この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版に加筆・修正をし、連載形式に分割して再発表するものです。 ここまでの話数は↓のマガジンに纏められています。          ○  僕の足の重さが降り積もったかのような険悪さが、泉の部屋には満ちていた。鳴海さんがいないのは靴を見るまでもなく分かった。  泉はキッチンで煙

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #07

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #06

          この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版に加筆・修正をし、連載形式に分割して再発表するものです。 ここまでの話数は↓のマガジンに纏められています。          ○  僕たち三人を見て、あらまあ、と店長は言った。僕と泉はほぼ同時に、すみません、と頭を下げた。 「事情を説明してくれる?」と店長は訊いた  僕

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #06

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #05

          この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版に加筆・修正をし、連載形式に分割して再発表するものです。 ここまでの話数は↓のマガジンに纏められています。          ○  部屋に入るなり、泉は振り返って、僕のタートルネックの襟を掴んだ。僕はドアに押しつけられる格好になった。 「何?」と僕は動揺しながら訊いた。

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #05

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #04

          この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版に加筆・修正をし、連載形式に分割して再発表するものです。 ここまでの話数は↓のマガジンに纏められています。         ○  泉は先にシフトを終えて帰ってしまった。いつものように泉は何も言わなかった。  その後店長も僕に何を言うでもなかった。  僕はもしかしたらクビ

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #04

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #03

          この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版に加筆・修正をし、連載形式に分割して再発表するものです。 ここまでの話数は↓のマガジンに纏められています。          ○  部屋に戻ると、泉の姉は砂羽という子供と寄り添う様に向かい合って、軽い鼾をかいていた。エアコンを点けたままにして、僕と泉は床に寝る事にした。

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #03

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #02

          この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版の加筆・修正版を連載形式に分割して再発表するものです。         ○  冬も半ばを過ぎて、僕が二年目の休学をしようか迷っていたその日、泉はバイトの間じゅう不機嫌そうだった。  客をぞんざいに扱ったわけでも、レジ打ちをミスしたわけでもなかったが、僕には何となく泉が上

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #02

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #01

          この物語はフィクションです。登場するあらゆる個人、団体、組織、事件、SNS等は全て架空のものであり、実在のものとは関係がありません。 また、この作品は2013年にKDP/Amazonにて発行された電子書籍版の加筆・修正版を連載形式に分割して再発表するものです。          ○  あの頃、平穏だけを僕は望んでいた。  きっと泉もそうだった。  だから二人に言葉なんて多くなかった。  基本、僕たちは何も話さなくて良かった。  朝、先に目を覚ました方が、相手を揺り起こし

          【連載小説】僕のセイシュンの三、四日 #01

          Words第Ⅰ部の終わりに(あとがき)

          この作品は、2020年にKDP/AMAZONで「Words・Ⅰ」として電子出版したものを、主に改行などの若干の修正を加えて、分割・連載したものです。 AMAZONでの電子出版は停止していますので、現時点で読めるのはここだけとなっています。 ここまでが、第Ⅰ部となります。 これ以降の執筆・公開については、未定になります。 出版後、第五回「このセルフパブリッシングがすごい!」(現在は終了)で1位にしていただいた手前、続きを書くことは責務だとも思っていますし、 それなりの構想は

          Words第Ⅰ部の終わりに(あとがき)

          【連載小説】Words #22【第Ⅰ部完】

           この物語はフィクションです。  作中の人物・団体・学校・事件、及び各種名称、方言などあらゆるものは、創作であり、実在のものとは一切関係がありません。    この連載をまとめたマガジンはこちら↓  あんな嬉しくないデートは、初めてだった。  あれなら、話もせずに、寒さに凍えながらただベンチに座ってるだけの真沢とのデートの方が百倍ましだった。  話ができなかったのじゃない。寧ろ黙っていることを許されないから、その「デート」は地獄だった。  手をつながされ、ベタベタされ、遠藤は

          【連載小説】Words #22【第Ⅰ部完】

          【連載小説】Words #21

           この物語はフィクションです。  作中の人物・団体・学校・事件、及び各種名称、方言などあらゆるものは、創作であり、実在のものとは一切関係がありません。    この連載をまとめたマガジンはこちら↓  公立高受験は終わった。試験は、手応えがなかった。ひたすら倫生対策に打ち込んだせいであまりにも問題が素直すぎるように思えた。  もうひとつなにか意地悪がしかけてあるのではないか、と疑心暗鬼になって、何度も解答を書き直したくらいだった。  でも、それが良かったのか悪かったのかは全然わ

          【連載小説】Words #21