『もし神々が人を授業で学んだら?』1次元目 【人間の落とし穴とは?】
先生「では神たち、自分の席についてください。『人間』の授業を始めます、ほらチャイムはもう鳴りましたよ?」
カミキ「えー、なんの授業?『数学』?『音楽』?」
先生「『人間』ですよ『人間』。何度も言わせないで下さい。はい、神たち『人間』の教科書を開きましょう」
カミキ「あー、『人間』ね。今日の内容は?」
先生「『人間になった後の落とし穴』ですよ」
カミキ「おー、面白そう。確かに俺ら、これから人間になって物理世界へ行くわけだし、人間の落とし穴は学んどいた方がよさそうだわな」
神ィ「先生、教科書開くのは手を使ってもオッケー?」
先生「そうですね。そろそろ人間の身体にも慣れた方がいいので。では皆さん、手を使って開いてみましょう」
神ィ「先生、見て見て。さっそく手にマニキュアしてみたの~」
先生「おや、マニキュアは『爪』にするものです。『手のひら』にするものではありませんよ。ひとくちに『手』といっても様々な箇所がありますから間違えないように」
神ィ「うっそ~。恥ずっ」
カミキ「神、ださ」
先生「はいはい、私語はほどほどに。あれ、そこの神、早く教科書を開いてください。どうかしました?」
神太郎「あ、いや、その…足で開いてもいいのでしょうか?」
先生「足はやめておきましょう。人間界では手が開くのが基本ですから。足で開くのは、バカボンのパパくらいですよ」
カミキ「これでいいのだ、コニャニャチハ!」
先生「おー神、よく知っていますね。前世は人間?」
カミキ「いや、次が初めて。でも父さん、ブッダだし」
神ィ「え、バカボンなの。さすが神!」
神太郎「ブッダ? バカボン? それはどうゆう…?」
先生「神、この前の『国語』寝てたでしょう。赤塚不二夫の名作マンガ『天才バカボン』の『バカボン』とはブッダの漢訳『薄伽梵(バガボン)』、サンスクリット語の『Bhagavan(バガヴァーン)』から取られているんですよ」
神太郎「えええ、それ本当なのですか」
カミキ「神はうそつかな~い」
神ィ「バガヴァーンって『全知全能の者』って意味なんだって~。ところで全知全能って何?」
カミキ「なんでも知ってるってことじゃね?」
神ィ「あー、分け御霊になる前のうちらってことか」
神太郎「ぼぼぼ、ぼくたち、海の水みたいに最初はひとつだって本当なんですか?」
先生「なんだ神、もう忘れちゃったんですか? そうですよ、分け御霊(みたま)は一者なる神、もともと一つの存在です。
でも今は分け御霊として個別化されています。
つまり、海の水をひとさじすくって固めた氷みたいなものですね。
これ昨日『理科』の授業でやった内容ですよ?」
カミキ「お前『理科』のときも寝てただろ?」
神太郎「……おネギあります」
カミキ「言ってる端から寝るなー!!」
神太郎「ああっ、すみません!緊張するとつい眠気が」
神ィ「どんな体質だ」
神太郎「まだ人間の身体に慣れなくて」
先生「では、そろそろ授業を始めましょう」
カミキ「先生、そもそも人間界って楽しいんすか?」
先生「そうですね。人それぞれ、と言っておきましょうか。意識の持ちようで人間界は、天国にも地獄にもなります」
神ィ「え、でも『天国』っていうのは
(※つづく)