うめのみ鍼灸室

京都と鎌倉を行ったり来たりの鍼灸師、の暮らし。 京都は北野天満宮の近く、古い京町家の四…

うめのみ鍼灸室

京都と鎌倉を行ったり来たりの鍼灸師、の暮らし。 京都は北野天満宮の近く、古い京町家の四畳半の治療室から。 鎌倉はお山を見上げる大きな庭と小さな畑と静かな治療室から。 日々よく生きていきましょうね。

最近の記事

なんでだよこのやろう、の輪郭

最近の私が直面している、分からないこと2選。 「誠実さ」と「罪悪感」 これはなかなかに尾を引きそうな問題でありますので、少しずつ向き合っていくつもりでいます。 今回は「誠実さ」について思うことを少し。 「誠実さ」とは一体なんだろうか。 自分の中の言葉でいけば、「嘘偽りがないこと、取り繕わないこと、そして素直で真摯である態度」 辞書が言う「誠実」は、「他人や人に対して真面目で真心がこもっていること」であるそうな。 他人や人に対して、って、どちらも対象が自分以外なのが気になりま

    • 手のひらの力

      「目は口ほどにものを言う」と言いますね。 目はその瞬間のその人の心の内側をよく映すと思います。 その瞬間のみならず、その人の目の奥に、どんな人生を送ってきたのかが見える時もあります。 この人のことを全く知らないけれど、同じような景色を見てきた人なのかもしれない、と思わせられる目を持つ人に、たまに出会います。 私は、人の手を見るのが好きです。 細くて長い、バランスの良い指に惹かれるとかそういう話ではありません。 (いや、それはそれでとても魅力的ですけど!) 私が好きなのは、長

      • あなたの好きなもの

        先日、大好きなカフェ兼甘いもの屋さんへお使いに行きました。 日が暮れると夜に浮かぶ船のようになる、あのお店です。 今回はカフェでのんびりではなく、あの人と、あの人においしいものを贈るため。 どんな味のものが好きかしら。 箱はどの絵のものが似合うかな。 古くからの友人ほど彼、彼女のことには詳しくないので、今回は私のイメージで選びます。 私はそのお店のお姉さんの笑顔が好きで、話しかけたくなってしまいます。 なんというか、いつも少しだけ驚いたような顔をして笑ってくれるところが、

        • 港の人、船の人

          「俺は旅人だから、安心して帰りたくなる港になってよ」 あはは、こちら大昔にとある人から言われた台詞。 いや、ずいぶん勝手なこと言ってくれるわねと当時思いました。 私は昔から「良い奥さんになりそう」「良いお母さんになりそう」と言われがち。 そういう言葉はありがたく笑顔で受け取る反面、一体何を投影されているんだか、と頭の後ろの方にハテナを飛ばしていました。 三歩下がって男を立てて、あたたかく家で待っていてくれる。 ひかえめで優しい大和撫子。 いうなればこれが「港の人」でしょうか

        なんでだよこのやろう、の輪郭

          ぜんぶ、月のせいだ

          あの、オオカミ人間って、いると思いますか? 何の話だと思われるでしょう、私もちょっとこれを上手く説明できる言葉を探しながら書いているのです。 月の満ち欠けに左右されて、自分で自分をコントロールできなくなる。 女性はよく言いますよね、月のリズムで生きているから感情や性格が影響されやすいと。 つい先日の中秋の名月の日。 日中の私はそれはもう異常事態でした。 湧き上がる感情をどうにも抑えられず、おかしいくらいに涙が止まらない。 さみしいや悲しい、心細い、フラストレーションなどな

          ぜんぶ、月のせいだ

          キタノカタと思い込み

          我が家には大切な北の方がいます。 名前が奥方であるのにふさわしく、日々うやうやしくお世話されている梅の木の盆栽です。 治療院の名前にちなんで開院祝いにいただき、毎日私の独り言に付き合ってくれている可愛い存在。 彼女を下さったのは北海道在住の方なので、色々と悩んだ末に「北の方」と呼ぶことにしました。 名前や愛称を通り越してもはや身分。 しかし小さくとも着々と葉っぱを増やし、頼もしい奥様でございます。 そんな我が家の北の方に、今朝珍客が来ていました。 あまり見たことのない細長

          キタノカタと思い込み

          早朝白露

          昨日の夜は夜更かしだったのに、今朝方早くに目が覚めました。 小さい音がしていたから。 ほの明るくなってきた窓に、ブン、ブン、とぶつかる音。 我が家は窓に対しての網戸の数が圧倒的に足りていないので、閉め寄せを怠った夜には室内の灯りめがけて来訪者が増えます。 蝉とカトンボ以外はへっちゃらなので、気付かないうちに居候を許していたり。 「カナブンよりは小さいしやわらかい音だな」 「夏場のカメムシほど節操のない暴れ方ではないな」 ぼんやり音を聞いていたら目が覚めてきてしまって。 も

          エクストリーム夏 in 京都

          秋が来たらしいですよ。 暦の上での話ですが、確かに夏一色では無くなってきた気がします。 朝や夜の風の涼しさが明らかに違いますし、昨日は扇風機を回さずに眠れました。 実家の母曰く、ここ数日で夜に虫の声がするようになったそうです。 異常気象で夏が長いと言われていますが、季節は意外にもちゃんと巡ってきているのかもしれませんね。 ただ夏の愛情表現がエクストリームになりがちなだけで。 立秋の数日前、ここ京都ではエクストリーム夏による最後の置き土産的ド派手な夕立がありました。(最後だ

          エクストリーム夏 in 京都

          夏と苦み

          京都のうめのみ鍼灸室では毎日外に黒板を出しています。 今日開室してるよーのサインなのですが、そこに私の個人的ひとことも一緒に書いています。 「日陰探して歩いてね」 とか 「今日から夏休みなんですね」 とか 「ついにスイカの誘惑に負けた」 とか。 手書きの文字ってなんか目に入ってくるんですよね。 治療室の前の道が、小さなひとりごとを通りすがりに読むいつもの道、になったらいいなという微少な企み。 憧れの、「何かをコツコツ続けられる人間」への第一歩です。 さてそんな黒板ですが、

          世界一

          私今、私の世界一に近いところに住んでいるんです。 近い、と言っても自転車か、バスで20分くらいはかかります。 でも私史上、一番近いです、間違いなく。 京都は出町柳のふたばの豆餅。 メジャーでしょう? 間違えようのない人気店の、看板商品です。 ご多分に漏れず、私も大好きなんです。 初めて食べたのはいつだったでしょうか。 まだ実家にいた頃、家族や親戚が時々買ってきてくれるごちそう。 食べるたびに衝撃を受けて、ふたばの名前を覚えたのは高校生の頃だったように思います。 そういえ

          日々と幸せ

           免許証の住所変更へ行ってきました。 抜け道にしている小さな路地を歩いていたら、道の先にぼーっと立つおじさんが一人。 Tシャツ短パンにビーチサンダル。 時々足元を見下ろしながら、何をするでもなくぼんやりしている。 「え、何してるのかしら」と思いながらも歩き続けて、おじさんの横に差しかかったとき、気付きました。 小さい亀が!! おじさんの足元をお散歩していました。 思わず笑顔になってしまって、おじさんと亀の横を通り過ぎながら、 「良い街だな」と思う。 なんだか嬉しい気持ち。

          春に産まれる

          庭の梅の木が静かに満開を迎えようとしています。 向かって右に紅、左が白。 小さくて丸い真っ白な花びらがたくさん散ってきて、掃いても掃いてもきりがないのですが。 それでも患者さんがいらっしゃる前には一通り掃き清めておきます。 晴れてあたたかい日中、花びらを無心で掃き集めていたら、だんだんとその一枚一枚が光の点のように見えてきました。 無数の白い点がザッザッと箒の音に合わせて集まっては形を変えていく様子。 今年はおかしいほどに暖かい冬で、いつもと違うことに不安を覚えたりもしま

          甘い香り

           冬至も過ぎて、クリスマスイブですね。 記憶が飛ぶようなめまぐるしい一年を過ごしました。 この時期の、冷たい空気が好きです。上澄みのきれいなところだけが肺に突き刺さってくるようで、咳き込みそうになりながらも深呼吸したくなります。  せっかくの日曜日、今日は大掃除ならぬ中掃除くらいの規模でせっせと働きました。 窓を開けて色々なものを洗い、床を拭き、手を動かして。 一息ついてみると、いつもの部屋の空気が少し澄んでいる気がしました。 気持ちが良いとはこのことか。 雑多な頭の中から

          <うめのみ便り>名前のこと

          こんにちは、うめのみ鍼灸室の佐田毬絵です。 窓の外でリスがくふくふ鳴いています。 ここは鎌倉の小さなお山のふもと。 朝から鳥たちがにぎやかで、揺れる木々の音が押し寄せてくるように感じられる所です。 この数週間でめまぐるしく色々な花が開き、草はぐんぐんと伸び盛り。 このほど、うめのみ鍼灸室を開室しました。 うめのみ、という名前の響き、ころりんとした丸い実が思い浮かぶでしょうか? 梅酒を漬けたり梅干しを作ったりされる方はたくさん並べた梅の実たちを見たことがあるでしょう。 手のひ

          <うめのみ便り>名前のこと