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137冊目:できそこない博物館/星新一
こんばんは、Umenogummiです。
今日はショートショートの神様が送る、珠玉のエッセイ集です。
できそこない博物館/星新一 作
おそらく誰もが一度は国語の教科書などで見たことのある、星新一氏の物語を書く裏側を描いたエッセイです。
没になったり、形にならなかったお話もいくつか掲載されており、読み応えたっぷりです。
やはりというか、作家さんは生みの苦しみをされているようで、星氏も例にもれず苦しんでいることがある様子がうかがえます。
過去を振り返り、埋もれた文章たちがなぜ形にならなかったのかを考察しています。気分だったり、断片的すぎるメモであったり、誰かが描きそうなアイデアであったりと、理由は様々です。そうして苦しみぬいて、選択された短編たちは、ですから傑作と言えるのでしょう。
そして、星氏は持論を語っています。
大変なのは異様なシチュエーション。それができれば、ストーリーはなんとかなる。
― できそこない博物館「テレパシーなど」より
たしかに、異様なシチュエーションはそれだけで目が惹かれます。
星氏はこうも言っています。
(前略)
腕力にまかせ強引に作品に仕上げていたら、欠点の多いものになっていただろう。筆力の無さの自覚も、特質の一つだ
― できそこない博物館「暗殺など」より
(前略)
発想に苦しむのは、よくあることなのだ。
(中略)
作家になってしばらくして、ずっと持ちつづけのアイデアがある。いつでも書けるということは、いつまでも書けないということでもある。
― できそこない博物館「現象など」より
これらの教えは、どんなことにも通用するし、特にアイデアを練る時にも必要なものだと思うんですね。
アイデアに行き詰っている方、創作をする方、特に読んでみるとリラックスできて、新しいイメージが生まれるかもしれませんよ。