どたばたインド入院記
インドで入院。
文字にしただけでびびっちゃう。
当時は大層動揺したけれど、あまりに面白い出来事も多かったので「インドで入院も悪くない」ことを伝えようと。
嘘です。ただこんな経験なかなかできないのでしたためておこうと。
インドの端から端まで出張しまくりの夫、深夜に帰宅した途端倒れこむ。高熱もあり、胃が痛いとのたうちまわる。さすがにびびり翌朝病院に連れていくことに。
いつものドライバーとの意思疎通がうまくいかず、そこらへんのUberを予約して超特急、病院に向かう。
ぶっ飛ばし運転だったので、スローにして!と鬼の形相で命令。家のドアを出たら試練の連続なのが北インド生活。
なんとか無事に到着しまず諸々検査。その間夫は点滴をされ眠る。検査結果すぐ出るよ~なんて言われたけどここはインド。
絶対にすぐは出ない。
とにかく眠っているので安心したけれど、通訳のインド人スタッフが「マラリアかな…デングかな…チフスかな?」とか言いちらかす。
可能性があることを言語化するなんて、いじわるな通訳(悪気なし)!
ちなみに病名がわかったのは、2日後の昼。時間の幅が違いすぎるぜ…
そんなこんなしているうちに3~4時間くらい夫は点滴、妻は病院側から「入院になるから荷物を取ってくるように、ちなみにあなたも泊まれるヨ」と告げられる。
診断も、「ちょっと遅れてて~」「患者が多くて~」「今日はドクター休みで~」と無数の表現をかましてくれなかなか診断されない。
まあきっと深刻じゃないということやろ、と点滴され続ける夫を横目に楽観的な妻。無事にインド化している。
半日くらい経って、個室に通された。
個室の中には長い椅子があって、長い布とかける布を渡され、「これシーツやからこの椅子にかけて布団にしてちょ」と言われ、ちょっと家具の有効活用っぷりに感動した。
ちなみに主治医が来て様子を見てくれたのは個室に通されて夕飯でるかな?という時間。もはや何時間待っていたか記憶にない。点滴どんだけいれんねん、夫の9割水になってまうぞ。
インドのお医者さんは社会的にめちゃめちゃ偉い立場。研修医っぽい人が5人くらいぞろぞろついてきて、「Yes, sir!!」みたいなことを言っている。あの威厳ほしいな…かっこいい…
個室には予期せぬ来客もたくさん。
看護師さん、チャイを定期的に運んでくれる人、お医者さん、別の処置をする看護師さん、清掃の人、謎のスタッフ、全員服の色と制服が違う。
こんなに制服あったらスタッフも分からんくならんか?さすがすべてが分業制の国。多分1日20人くらいの人が個室を出入りしていて、落ち着かない。
あと、「ジャパニーズだ!わーー!」みたいに「日本人」という人種を見に来るインド人もいた。確かに顔つきは違うけどやな、平たいんやけどな、でもちょっと休ましておくれ…
そして分業制の弊害、引継ぎなし。
ということで、スタッフは私に「ネエ、今なにやってんの?」と聞いてきたりする。引継ぎとは…
点滴のスピードが速すぎて5分で点滴がなくなった時には「点滴早いねんけど!!!!」と文句を言う。
たぶん英語が話せてよかったと一番思ったのはこの入院。でも、使われている器具はさすが医療大国はだけあり、全部最新(チェックした)。
そうだった、インドでは主張し続けないといけないんだった。それは病床だろうとなんだろうと。この入院で何度文句を言ったかわからない。
この時、インド産ベビーをこの地で産もうと意気ごんでいた私はインドでの出産を勝手にあきらめた。
ちなみにインドではお医者さんの地位は高いが、血を直接扱うとされる看護師さんはお医者さんよりは低いということ。
英語がスムーズに通じないことも多々あり、いろいろ感じるところもあった。(以前より地位は向上している模様。)
この入院で一番感動したのは、病院食の美味しさ。
常にマサラと隣り合わせの日常、いつあの辛味のグリーンチリが混ざってくるかわからない日常を生きていたため、病院食もマサラ入りでは?と警戒。
ところがどっこい、病院食がインド生活でおいしかったものトップ5くらいに入る。
なんとすべてが辛くなくマイルド。
こんなマイルドなの作れるんや!!
普段も作っておくれよ!!!
とうれし泣きしながら食べた。しかも妻分も出してくれる。ただ、量が多い…ちょっと待ってこれ成長期の男性用?
そんなこんなしているとチャイやで~とチャイ持ってくるスタッフがチャイをくれる。体にしみるチャイ。
夜になると寝ている間に突然スタッフが来て、点滴を変えたりする。
点滴を信じられなくなった妻、「今なにしてるん!?」と睨むようにいちいち確認して、これはいらない、さっきこれやったと説明する。
朝6時に、チャイのお兄さんが「朝のチャイやで~」と持ってくる。チャイと大量ご飯で無事肥えていく妻。
そのあとも診察はなくとにかく下痢止めの処置と痛み止めの処置をして、大分楽になった模様の夫。
この日は私が売店で水を買おうとしていると、お兄さんが「お、ジャパニーズ!?水?あげるあげる」と病院食作る巨大な場所に連れて行ってくれ、ペットボトルをもらった。
「僕、この棟の衛生管理担当だから、なんでも言ってね!ちなみにGoogleで高評価レビュー書いてね★」とYouTuberばりに宣伝も忘れない。あんなに衛生的な場所で病院食が作られているのか、と安心。
3日目の昼になって、
「これ、感染性の胃炎ね、もうよくなってるはずやから退院してOK」と突然告げられる。
診断名の発表と退院許可が同時とは…そういえば病名教わってなかったやん…
退院する前に会社のスタッフがお見舞いに。
「本当は初日に行きたかったんだけど止められてね~」と。確かに初日だと診断も出ていないし困る。愛も強めの愛すべき先輩。
大量のどぎつい色の薬をもらって家に帰宅。
夫は死ぬ思いだったはずだけど、なんとか治療してもらえて本当に良かった…
医療英語はわけわかめだったので、通訳の方が訳してくれたのは本当に助かった。
インドで2泊3日同泊はこたえてしまい、駐妻の友達に「ごめんちょっとしんどい、話聞きにうち来てくんない?」とヘルプ。いつも助けてくれて感謝感謝。
すったもんだありつつも、治療受けられてホッとした三日間。
ちなみにこの時夫は田舎の出張地で出された井戸水しか飲むものがなく、それが原因で感染を起こしたとのこと。
夫の出張環境、聞けば聞くほど過酷で遊んでばかりの妻は申し訳なくなるぜ…何はともあれインドの神々様ありがとう!!