「最も紫な品」

朝、目を覚ますと彼からラインのお返事があった。
2週間ぶりの連絡にドキドキしてしまって、朝、私の情緒は大変だった。
最後にありがとうと添えられていたので、てっきり贈ったマカロンを受け取り、感想かな~程度に思っていたのだ。

今日は仕事関係で連絡をいただいており、最近、メンタルを安定させるために飲んでいるカモミールティーやハーブティー、あと春物のかばんと靴を見苦しくないように新調するのが目的ででかけていた。

ラインを開いたらまず見えたのが、ラインギフトを送っていてくれたという通知。
びっくりした。
彼からプレゼントをいただくのは実は初めてだった。

でも、日常生活で助けていただいているし、プレゼントは私が私で渡しているものだから、見返りは期待していないし、お礼もいいのだ。
(都度、言っているつもりだけど)
とは思っていたが、好きな人からプレゼントを貰うって想像以上に嬉しい。

しかも、私の、私だけのために選んでくれたのだ。
その気持ちでふわふわ~とした温かい気持ちになってしまった。
正直、成城石井でお買い物をしていたときの私は相当にポンコツで、顔が緩んでいた。

メッセージには「最も紫な品物」と書いてあった。
あまり、ホワイトデーのお返しでないものだとは思うが、紫の芋ようかんの詰め合わせだった。
本当に職業病なのだが、なぜこれを贈ったのか私なりに考察をしてしまう。
自分が贈りものをするときには、大体、プレゼントする意図をいれちゃうからね

ひとつはシンプルに色なのかな?と思った。
でも、紫のお菓子だのお花だのはきっといっぱいある。
なぜ、紫の芋ようかんなのか。トンチキ探偵の推理もとい妄想を並べてみよう。

シンプルに色

メッセージには「最も紫の品」とだけ書いてあった。
彼らしい。
説明のしすぎかもしれないが、私も彼も偶然に好きな色は紫なのである。
だから、私もお手紙やプレゼントを渡すときは彼のイメージに近い紫色を選んでいる。
いただいた芋ようかんの紫、「最も紫の品」とは書いてあったが、たぶん、濃度の濃い紫とは違う気がした。
柔和な印象を受けるやわらかくて品のある紫だった。
もしも、これが私に似合うと思っていてくれたのなら嬉しい。

花言葉

これは職業の癖だ。大体、何かの花が絡んでいると花言葉を調べてネタに仕込んだり、オタクなのでつい調べてしまう。
紫芋の花言葉は「乙女の純情」だ。
これを電車で調べて顔が赤くなってしまった。
これは……ないと思う。
仮に含めていたのだとしたら、文学とか映画の読みすぎなのだ。
逆にそれが意図に含まれていたとしたら、相当、私の裏をかいている。
オタク的な解釈で捉えればすごく素敵なプレゼントだと思った。

意味はない。

これが最有力だと思っている。ホワイトデーのお返しに和菓子を贈る場合、特に意味はないとされている。
私は「特別な人」という認識をこめて一番大好きなお菓子を贈った。
さすがに私のバレンタインデーのお菓子が本命くらいは分かっているだろう。それに対するアンサーも出ているのか出ていないのか分からないけど、あえて、既存の言葉に置き換えないのか、まだ答えをだしていないのかわからないけど、そういう含みを持たせていたのなら一番しっくりくる解釈だと思う。

たぶん、彼が語ることはないので私の解釈にゆだねさせてもらったし、あえて、バレンタインとホワイトデーどちらとも受け取れる日に贈ってくるのが彼らしい。
でも、私はこれをホワイトデーだと解釈している。
とても嬉しいプレゼントをいただいてしまった。
クリスマスも、バレンタインもホワイトデーも私にとっては人生で一番素敵な日を更新し続けている。

彼が私のあげたお菓子をどう食べたのかは分からない。
届くのは楽しみだけど、食べてなくなっちゃうのがせつないなと今から思っている。
ちなみに和菓子があまり好きでない私だけど好きな和菓子がふたつだけある。
それが芋ようかんと葛桜だ。
あともちもちした方の桜餅が好きかな……?

これは忖度はしてないし、話した記憶もないけどジャストで私の好みをあててくれるのがすごい。
一足早いけれど、幸せを感じている。

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