加齢性難聴は20代から始まっている
~加齢による難聴の特徴~
1.高音域からきこえなくなる
2.左右耳のきこえにくさは同じ
3.なにか言われていることはわかるんだけど、
一つ一つの言葉がはっきりきこえない
4.早口でいわれると わかりにくい
5.騒がしいところでの会話がわかりにくい
※加齢による難聴・・・純粋に加齢のみによって聴器および聴覚中枢が障害されている状態。いわゆる感音性難聴のこと。伝音機構(主に中耳)に起こる変化は聴覚機能に及ぼすことは殆どないといわれている。原因は遺伝子、職場による騒音、耳に毒性のある薬物(カナマイシン、ゲンタマイシンなど)の使用、腎透析、糖尿病、高血圧、高脂血症などの動脈硬化が加齢性難聴を促進させる可能性がある。
本当は20代後半から徐々に加齢とともに高音域の聴力レベルは低下していっている。一部の音域の音であれば生活の中で不自由することないため自覚がない方がほとんどだと思う。ただし60代になると聴力低下する音域が増え、聞こえの悪化を感じる人が増える。70歳を超えると低音域を含むほとんどの音域で聴力が低下し家族も「これは聞こえてないぞ」、本人も「耳が遠くなった」と感じ始める。
加齢性難聴の発症には遺伝的要因や環境要因が関与している。加齢による難聴は老化現象のひとつなので進行を止めることはできないものの、騒音環境を避け生活習慣を見直すことで加齢以外の原因をしりぞけることはできる。
アフリカ原住民の聴力
アフリカのスーダンのマバーン族の聴力を調べたRosenらの報告より。
マバーン族の80歳の人の聴力は米国の20歳代の人の聴力と同等だったと報告されている。食事の影響による動脈硬化の影響も考慮に入れる必要がある。
騒音性難聴
今後増えるのではと懸念されている騒音性難聴。イヤホンを耳にはめて長時間 音楽を聞いたりゲームをすると騒音性難聴になりやすい。とくに公共交通機関に乗っていると電車の音がうるさく普段以上に音量を上げてきいているのでは。ノイズキャンセル機能がつくことで音漏れがしなくなり周囲が気づかないうちに爆音できいているということも。
しかし、実は80デシベル(目覚まし時計と同じ程度の音量)以上の音量で聞き続けることは耳へ多大な負担をかけている。
iphoneのアプリ『ヘルスケア』に一週間どれくらいの音量で聞いていたかをチェックする機能がある。アプリにもついているくらい聴耳を守る意識が世界的に高まっているのだろう。
きこえは取り戻せないので若いうちから大事にするべしです!
WHOデーター:イヤホンできくことで若者(12-35歳)の半数の11億人が難聴になる危険があると警告している
高齢者とコミュニケーションをする人の気配り
加齢性難聴というと高齢者に結びつきやすいので、高齢者の難聴について考えてみよう。
ある日突然、おじいさん・おばあさんのTVの音量が大きくなったと感じる家族は多いのではないだろうか。
高齢者の聞こえは、高音からきこえにくくなる。たとえば女性の声(失礼かもしれませんが、民法のアナウンサーの声)、サ行、カ行のような高音域の子音からわかりにくくなる。そんなときは大きめの声で話せばわかる高齢者には耳元ではっきり、ゆっくり 話してあげるのが親切です。筆談にするのもよいです(ただし視力が落ちていると他の手段を考える 身振りや指差し、口元を見せて端的に話す)。
そして何よりも大事なのは一方的に話すのではなく、相手の反応を待つ時間をとること。高齢者が理解したことを確認しながら次の話に進むのがよい。これはどの高齢者にもいえることかもしれない。言葉の情報処理に時間がかかるようになってくるため、会話の相手側は待つ時間が必要。ここまでやって家族が疲れてくるようなら補聴器を薦めます!
「ゆっくり はっきり 大きめ」に話しかけることが基本だがこの配慮がないのが一部のTV番組かもしれません。ナレーションやドラマの途中で大きな音楽がかかると、とたんにセリフが聴き取れなくなる。言葉だけを拾う耳の能力が齢とともに衰えてくるからです。補聴器を使っていてもこのような状況下では言葉が聴き取れません。テレビ制作にたずさわる方にはこの聞こえの知識をもって制作してほしいと思います!視聴者を失うことにつながりかねない。また病院などのBGMもなるべく小さめにしてあげるよう配慮もしてほしいところです。名前を呼ばれても、大事な話であっても周囲に別の音が流れていると十分に届いていないことも。
最後に、注意点として高齢者の場合、左右対称の難聴だしこれは加齢性難聴だと思っていても背後に聴神経腫瘍や脳梗塞があるので「歳によるもの」と片付けない注意が必要です。