新生児聴覚スクリーニング検査の落とし穴
聞こえにくさがあると どうしても言葉の発達や社会性に影響をおよぼします。難聴を早期に発見し療育へつなげることで 言語発達の獲得につながり 補聴器や人工内耳 手話 要約筆記などの情報保障など その子どもにあったコミュニケーションの方法をアドバイスしてもらえます。さらには多方面から言葉の発達を促していくことにもつながります。
<新生児聴覚スクリーニング検査(NHS)>
1000人に1~2人は生まれつきの難聴といわれています。
そのため乳幼児のときに以下のスクリーニング検査は絶対に受けておきましょう。
~スクリーニング検査の種類~
ABR(聴性脳幹反応)
音を聞かせて脳波で聴力を図ります。赤ちゃんは寝たままで大丈夫です。
聴神経から脳幹までの神経の回路に異常がないかを調べてくれるものです。
OAE(耳音響反射)
耳の穴に耳栓のようなものを入れて音を聞かせ内耳の反応を見る検査です。
検査結果について
両方とも リファー(要再検査)またはパス(反応あり)で判定されます
リファーとなった場合は難聴が疑われ、聴力検査機関で精密検査となります
そこで難聴が確定したら療育などへ引き継がれていくことが多いです。
ただし
スクリーニング検査結果は100%正しいわけではない。
じつは 偽陽性・偽陰性がでるのです。
問題ないのに「異常あり」と判定される
問題あっても「異常なし」と判定される
コロナのPCR検査と同じですね
リファーは1000人に4人も判定がでるとされています。統計上は本来なら1~2人ですよね。多すぎます。数値からも間違ってリファーにされている可能性があることがわかります。
ABRでは皮膚を一枚かましているので どうしても脳波を正確に捉えられないこともあるようです。
これらの新生児聴覚スクリーニング検査はあくまでもその検査をした日の子どもの状態であって その後 難聴になっていることもあります。
過信することなく普段の聞こえや言葉に注力して観察を続けることが大事です。
その後、公的機関では1歳6ヶ月健診、3歳時健診、就学前健診でも聴力の評価はおこなわれるので幾重にも難聴の発見の機会はありますが
あくまでも完璧な機械はないため 難聴を見落とされることもあることも頭の片隅においておくことも必要です。
つまりは機械と子どもの観察 両方面から網の目をかけておくことが一番無難です。
参考までに・・・
『赤ちゃんの聞こえに不安のある保護者向け相談案内』(とある自治体で配布されているものです)
スクリーニング検査の課題について次回詳しく説明していきたいと思います。
予告
スクリーニング検査について調べれば調べるほど 不完全な制度や人災にやるせなさを感じます。なるべく暗くならないよう説明できればと思います。