【感想】死にゆく者の祈り 中山七里
概要
中山七里作のミステリー「死にゆく者の祈り」
この本の主人公は教誨師と言われる僧侶で、彼は死を待つ死刑囚達に説法等を行なっている。
教誨師として働いている中で、教誨を担当する死刑囚に旧友の姿があり、彼の教誨師となることで、物語が始まる。
その死刑囚はカップル2人を殺害した事件で死刑判決が下されていた。
自供から全てが始まり、全てが終わったこの事件。
しかし教誨師として、かつての友人として話を聞いていけば行くほど、彼の起こした事件には不可解な点が見つかっていく。
本当に彼は事件を起こしたのか?
謎が謎を呼び、主人公はいてもたってもいられなくなって調査(のようなもの)を始めていき、そして驚愕の真実に辿り着く。
感想(ネタバレあり)
僧侶が事件の調査に乗り出す一風変わったミステリーであり、教誨師として職務、友人としての気持ちに苛まれながらも調査を進めていく主人公の気持ちをひしひしと感じさせる描写は秀逸であった。
小さな綻びから段々と大きな謎に辿り着く過程はミステリーの醍醐味であるが、中山先生の描く展開は、さらに疾走感があり、物語に深く入り込むとページを捲る手が止まらなくなってしまう。
そして、最後の真実はさすがどんでん返しの帝王と言われるだけあって、全てがひっくり返る。
このどんでん返しは癖になって、また中山作品に手を伸ばしてしまう。
まだ手にしていない方はぜひ読んでみてほしい。
中山ミステリーの素晴らしさを感じてほしい。
死にゆく者の祈り
中山七里
新潮文庫