神戸もう一つの歴史・戦争の遺産を現代に伝える「戦没した船と海員の資料館」
特攻隊の船バージョンがあったことを知っているだろうか…。
神戸の知らなかったもう一つの歴史が、戦争の遺産を遺す「戦没した船と海員の資料館」にあった。
神戸・元町で取材を終えた後、ふらっと海岸通に向けて歩いて、知人がおすすめしていたお店に行ってみた。
海岸通に立つ、「海岸ビルヂング」。
あいにく、そのお店は休み期間中だったのだが、その素敵なビルを見学した後、隣に立つ、建物が何か気になった。
「戦没した船と海員の資料館」とある。しかも入館無料。
それまで神戸の素敵なお店、観光地を回ってきた私にとって、それはどこか、別の世界へのドアを開けるようなそんな瞬間でした。
ドアを開けてみると、「全日本海員組合」と書かれた古いファサード。
展示は、2階スペースにありました。すでに入場終了の時間にはなっていたものの、県外から来たということを伝えると、特別に入れていただいた。現在16時閉館ということで15時か15時半ごろには入場していないと、入れないそう。
この資料館では、海で戦没した方々の供養と二度とこのようなことがないよう、そうした人たちのことを記録した展示内容となっていた。
神戸港から海へ向かった船ばかりではなく、日本全国の港から旅立った兵士たちと船を記録しているが、こうした展示は国内ではここだけだという。ただ、神戸港からは特に多くの人たちが旅立っていたのだろう。
神戸は開港後、経済的な活動だけでなく、戦争の港としても使われていた。
館内で案内してくれた人によると、戦時中、死ぬことを前提に多くの若者が船に乗せられ、海に葬られていったという。
飛行機に乗って突撃する特攻隊の話は有名ですが、よくよく考えてみると、船についてもそういったことがあるのは当時としては自然なこと。なのに、私は何も知らなかった。
中学生のあどけない小さな男の子もまた、海に送られていったそう。
私たちは、そんな人たちの犠牲の上で今この時代を生かしてもらっている。負の歴史に目をつぶってはいけない。楽しみがあること、面白いことを追求していくこと、それらは平和という前提の上で成り立っている。必ずしも当たり前ではないのだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?