ポークビッツから出てくる湯気
寒い寒い季節がやっとやって来た。
「マジ暑い。暑すぎ。いつまで暑いん?」って言ってたけど、やっぱりわたしは夏の方が好きだ。
この季節、なんかおセンチになって思い出すことがある。
そう。
ポークビッツボーイのことを。
夫の前にお付き合いしていた彼とは妙に気が合った。
カーと言えばツー(あぁ、年齢がバレそう)
阿吽の呼吸
ウマが合う
ずーと永遠話していられて、楽しい楽しいでしかなかったんだけど
月日が流れていくと、それだけでは物足りないというか将来のことを考えるようになった。
この人、わたし達の未来って考えてるのかな。
考えてなさそうだな。
ずっと一緒にいれたら楽しいけど、そうも言ってられねえな。
ある時、それとなーく彼の真意を探ってみると
「自分に自信がついた時にいつか」とポツリ。
もう、ないな、と思った。
結婚を焦っていたわけではないけど、
この人といたらおばあさんになってしまう。
あんなに楽しかった日々が、なんだかギクシャクしてきて
そのとどめを刺したのは『彼の引っ越し』だった。
お互い実家暮らしで、彼は近々家を出ると言っていたので
「一緒に暮らしたいね」って言ってたのに
ある日「俺、引っ越し先決まったから」と言ってきて
行ってみると激狭1Kだった。
あぁ、この人はわたしと暮らすなんて1ミリも考えてなかったんだと思ったら、わたしもさーっと引いてきて、終わりを感じていた。
彼は、1人暮らしを満喫していて
写真をバンバン送ってきた。
その中の1枚が激狭キッチンで全然温度が上がらなそうなコンロで
ポークビッツを茹でている様子。
そんなんいらんし!
誰が好き好んでポークビッツが茹でられとる瞬間を共有するんよ!
勝手に1人で茹でとけ!
湯気でポークビッツがあんまり見えんし!
彼とは程なくしてお別れした。
わたしも彼も気持ちは右肩下がりだったのに、なぜか別れる際には号泣して(彼が。なぜ。なんの涙。)
「別れたくないけど、今までありがとうね」と未練たらしい言葉を使いながらも決して復縁するつもりはないそぶりを見せてきて
マジこいつなんなん。振り回すやん。
と思いながら別れた記憶がある。
そして、夫。
この人とは紹介で出会った。
お互いの紹介人がやんややんやうるさくて一回会っといたら黙るやろってことで会うことになった。
紹介ってことは、外見はわたしの選抜に入ってない見た目だし、それは中身ももちろん。
結婚して、既出の彼は気がめちゃくちゃ合ったけど
彼と結婚したとしても続かなかっただろうなと思う。(しみじみ)
気が合うだけでは生活はしていけない。子供が産まれたら更にそうだ。
もしかしたら、彼と一緒だったら子供を産んでいないかもしれない。
夫とは「ちっ、マジでこの人方向が違う」って思うこともたまにあるけど
この人だから、子供がいても、どんな環境になっても頑張ろうと思える。
友達に聞かせる話じゃないけど、
聞いてほしいことは夫に話すしかないから
いつも聞いてもらうんだけど
それが、元彼の話であったとしても
「いい?元彼の話だけど?」と了解を得てから
聞いてくれる、こんな奇特な人は他にいない。