調理時間を長くとることの大切さについて
私は南フランスのニース近郊の大学院大学EURECOMで教員をしている金川元信と申します。今回新しくブログを開設したのは、私がニースでフランス料理店「Keisuke Matsushima」を営んでおられるシェフの松嶋啓介さん、日本の国立感染症研究所で働かれている米岡大輔さんと、食、健康、疫学や統計学に関して「ウマミ」をキーワードに定期的にミーティングさせていただいているためです。私自身は機械学習や統計学を専門としていているため、このミーティングでは私は松嶋さんと米岡さんから色々と面白い話を聞いて勉強をしているという立ち位置です。
このブログは、私が松嶋さんと米岡さんから聞いて、面白かった話を備忘録的に記録することを一つの目的にしています。また研究者というより、一市民として食に関して色々と学ぶことがあり、ブログとして公開することにより読者の方(もし読んでくれる方がいればですが)にも役立つかもしないと思ったのもブログを書こうと思った理由の一つです。
このブログの主たるテーマは、肉体的・精神的に健康に暮らしていくために、どのような食生活を送っていくべきか、を考えることです。
例えば、私がミーティングから学んだことの一つとして、日々の生活における調理時間を長くすることの重要性があります。より具体的には、弱火を使って時間をかけて食材を加熱することによって、 食材に含まれているウマミを引き出すことの重要性です。食材からウマミを引き出すことができれば、味を調整するために調味料をたくさん使う必要がなくなり、塩分の過剰摂取を抑えることができます。一方で、調理時間を取れない場合には、食材に火を入れるのに強火を使う必要があり、ウマミが食材から逃げてしまいます。そのため、料理に味を付けるために調味料を多く使いがちになり、塩分の過剰摂取等につながっていきます。
ここで「調理時間」とは、調理をする人が実際に費やす時間とは異なります。例えば食材を切るのに10分かかって、食材を煮るのに50分かけたとしましょう(カレーなどを想像すると良いかもしれません)。そうすると調理時間は1時間ですが、実働は10分です。ですので、実働時間は短くても調理時間を長く取ることは可能なのです。食材を弱火で煮ている間は鍋の前で待っている必要はありませんので、他の家事・仕事・趣味に時間を費やすことが可能です。言い換えると、調理時間を長く取るには、調理のスケジュールを上手く組むことによって可能になるため、忙しい生活の中でも実現することは不可能ではありません。
このブログでは以上のようなテーマについて書いていきたいと思います。私自身は料理については素人で、間違ったことを書いてしまうこともあるかもしれません。実際、妻には私がワイルドな料理の仕方をしていると「なぜそういう料理のしかたをするのか」とよく呆れられています。ですので、なるべく気をつけて書くつもりですが、何か誤ったことを書いた場合にはご指摘していただけると幸いです。