ひとり出版社1年目日記➉どうやって本を流通させる?トランスビュー、版元ドットコム、JPROあたりでオロオロする
今年3月にできた出版社 Studio K。年内に1冊、木下晃希さんの画集「KOKI ZOO」を出版することを目指し、着々と準備中です。その1年目の足跡を残すこのシリーズ、今回は、どうやって本を流通させるかについて。それは、これまでも本には関わってきたといっても、中身を作ることばかりしてきた私にとって、出版社の仕事の中でもいちばん見えていなかった部分でした。
本を流通させるには?
Studio Kでは、主にアートブックをつくっていこうと思っています。作品を美しく見せるために、紙、印刷、製本などにもこだわりたいです。
本としては価格は高いと思われるものになりますが、ずっと手元に置いて、大切にしていただけるものになればと願っています。
そういう本なので、部数も少なめです。また、年間に何点も出すことは難しいと思います(少なくとも当面は)。
このような想定から、流通については、実際に「この本が欲しい」「店に置きたい」と言ってくださる書店、個人のお客さまにできるだけスムーズにお届けできる形が望ましいと思っていました。
でも、自分の手元に在庫を置いて、注文が来たら、発送する、いわゆる直販が、ひとりでできるとは思えませんでした。
倉庫を借りなければいけない? 書店さんとはどういう条件で取引するの? たくさん注文が来たら? 出版専業ではやっていけないから、他の仕事もあるんだよ?
そこで、やっぱりこれしかないなと思ったのが、トランスビューさんに「直取引代行」をお願いすること。そのしくみについては、かねてからSNSや書籍で知っていました。
『まっ直ぐに本を売る: ラディカルな出版「直取引」の方法』
出版社でもあるトランスビューさんは、書店から注文を受けた本を直取引で納品するシステムを、他の出版社も利用できるようにしています。利用させてもらう出版社は、そこで発生するコストを分担して負担します。
取次のように自動配本はなく、書店から注文があった分だけ、納品します。
トランスビューさんのしくみについては『まっ直ぐに本を売る: ラディカルな出版「直取引」の方法』という本に詳しく書かれているので、興味のある方はぜひ。
なんとも頼もしい!
同時に、トランスビューさんの方式は、本屋さんにとっても良いしくみ。注文した本がすぐに送られてきますし、利益率も取次より高いそうです。
9月初旬、東京日本橋にあるトランスビューさんを訪問して、直取引代行をお願いしました。内容や料金については、事前にメールで最新版を送ってもらっていて(上に挙げた本には料金体系も書いてありますが、当時よりは価格が上がっています)納得もしていましたが、あらためて説明を受けました。
版元ドットコムに入会
トランスビューさんで「書誌情報をJPROに登録してください。版元ドットコム経由にすると便利です」と言われました。
またまた、わたし、ここで「?????」です。
以下、自分なりに整理したことをまとめておきます。
全国の書店やネット書店で本を流通させるためには、書誌情報(タイトル、著者名、ISBN、出版社名など)をJPRO(出版情報登録センター)に登録する必要があります。JPROに書誌情報を登録すると、リアル書店やネット書店に情報が公開されます。
JPROに直接利用を申し込んで登録することもできますが、版元ドットコムなどの支援会社を通すこともできます。
版元ドットコムとは、版元(出版社)の会員制組織です。JPROへの書誌情報登録ができるほか、情報管理、発信などができるそう。
トランスビューさんでも勧められ、『ひとり出版入門 つくって売るということ』にも「ひとり出版社にとって便利なサービスがいろいろ提供されている」と書いてあるので入会しました。まだ具体的に何ができるのかわかっていないのですが、やっていきながら理解していこうと思います(また、実際に動き出してから体験レポートを書きます!)
JPROに利用を申し込む
版元ドットコムに入会すると、JPRO利用申込書が送られてきました。送付状に「JPROと版元ドットコムは違う組織です」と但し書きがあります。たしかに、版元ドットコムに入会したら、自動的にJPROの仕組みが利用できるのかと思いましたし、実務的にはそうなるらしいのですが、申し込みは別に必要ということのようです。
料金については、版元ドットコムの会費は10点までは月額1000円(入会費10,000 円)。JPROの登録料は1点1000円。
JPOとJPROの関係を整理すると……
途中でJPOという略式名称にも出くわし、JPROと混乱しました。あらためて調べてみると、JPOは「一般社団法人日本出版インフラセンター(Japan Publishing Organization for Information Infrastructure Development)」で、その運営組織として、ISBNを管理する「図書コード管理センター」や、書誌情報を管理する「出版情報登録センター(Japan Publication Registry Office; JPRO)」があるということのようです。
「JPRO」のホーム画面の名称が「JPO出版情報登録センター」と書いてあるのは「JPOのJPRO」ということなんですね。やっと理解……。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。1年目日記、まだ続きます。これからもよろしくお願いします!
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