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乙町荘

どこでも窓を見た支配されていた。そこはどこでも繋がる支配された窓ここさへももうアイツが手を伸ばしてるんだ
全部支配したつもりだろうけど決して繋がる事はないよ。

アンタとはエネルギーとしてしか交わさない
それがあたしとの関わり方だ

砂浜で蛸にあったら石まで逃げろ
夕方はサイレンなったらウチ帰れ
さもないと
見なくていい目に遭わされるから。

アタシはちゃんとスピーカーからのサイレンと鐘が鳴るのお歌が聞こえたら帰りました。

家についたらおばぁちゃんが
古ぼけたお皿に新鮮でヌルいお造りを用意していた。あれが美味しいなのかわからんけどとれたてだった事は間違いない。

田舎の家は落ち着かなくて古くて虫が突然天井から落ちたてきたり、そう。降ってくるが正しいね また、ずっと存在していたんだろうけどアタシ達が帰ってきたから見つかっただけ。

トイレも極力行かないように我慢して白黒の音のズレたテレビを調節して見てた。
お風呂は板の隙間をばぁちゃんがなんやボンドみたいなんで埋めて細長い所々が翠のサビがついた蛇口から細い水をちょろちょろ溜めてプロパンガスで沸かして入ってた。

シャワーないんだよなぁ

雨降りは風呂場のトタンに打ち付ける音の激しさと波が高いのか波の音もいつもより近くなって怖くて心地よかった。雷が鳴ったら地響きまでやってくるそんなばぁちゃん家。ばぁちゃんと夏にしか帰らんばぁちゃん家。
帰らない選択肢は中学なるまで無かったんだ。

行かないが選べたら早くから行かなかったかな❓
夏に帰るのは当たり前だったから暇で暇でひとり花火も退屈だった。

迎え火の焔が憑いて消えるの匂いも好きあの下に敷く石拾うのも結構好きだった。

お盆になると人が増えるみんな泊まって賑やかでてんやわんやするんだ。

ウチのお父さんが一番面白くて自慢に感じた事もあったけど、優しいのは従姉妹のオジちゃんとおばちゃんだった。

お寺とお墓と花火とお祭りアイスそれと2キロ先の学校プールがあたしの夏休みだった

あれから田舎が大嫌いかも。

不便で古くて怖いのいっぱい
海しかねーじゃん!船の油と船虫にフジツボ
人が集まってまたアタシとばぁちゃんと従姉妹とおばちゃんになる。

電車でなくて木で出来たドアの開きっぱなしの電車に乗って帰った

久々のマンションは安心するけどつまらなかった。

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