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2冊目 人口と日本経済 吉川洋

2冊目 人口と日本経済 吉川洋 2016年 中公新書2388

〇人口増は富と考えられていた18c中葉までと、悪と捉え返し、定着させたマルサス

〇人口増減ではなく、労働生産性の伸びが指標となっている。例外は1960年代の一回きりの人口移動イベント(農村から工業都市へ)

〇人口減ではなく平均寿命の延び、長寿化の視点も重要。戦後には50歳寿命くらいだったのが、80歳くらいに延びている。

〇人口減少もペシミスティックに捉えず、シュンペーター的な技術革新で楽観視できる。

×人口減はともかく、高齢化社会は視点が違うのでは?

2010年ころだったでしょうか。消費をして経済を盛り立てる人口層の減少が経済停滞の主要因であり、今後も人口が増えない限りは景気は悪いままである。というような言説が流行っていました。新書もそのような論調の本が多く出ていました。
そして出産率の増加は見込めないので、海外からの移民をどんどん受け入れるべき、という意見も語られていました(今もそうですが)。
そんな中、この本は、否を唱えて経済の本質を思い出させてくれました。

要は、もう少し長期で考えると、人口増加経済成長の大きな足かせになっていた時代が長く、また、日本の戦後高度成長時代は人口現象から見ても「特別な一回きりの」時代である、というもの。
労働生産性の向上、つまり技術革新による効率化の方が人口政策よりも重要である。。。。。

そのとおり!と思いました。しかし今読み返すと、人口減の質はやはり問題ではないかと思います。つまり、労働生産人口が大きく減少し、平均年齢の伸びによる非労働生産人口が増加してくると、これは劇的な技術革新をもってしても至難の業だと思うのです。
ちなみに、日本は、年金生活を送る高齢者を除いた労働生産性や一人当たりGDPは先進国中、上位にあがってきます。

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