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保護犬のオーシャン

去年の春、突然、家に犬が来た。僕の顔を見たら黙って逃げ去る、そんなビクビクものだった。夏前まで状況は変わらず、しかし僕以外の家族にはかわいい顔をして尻尾を振るようになっていた。
※現在は僕も良好な関係である

名前は、リベーラオシアーノと僕がつけた。エスペラント語である。世界中の誰もが分かるように、真の国際共通語で、自由なる海、と付けた。通称をオーシャンということにしたら、オーシャンだけが残り、犬部屋の入り口にも子どもアートな犬の絵とともに、オーシャンと書かれてある。

栃木から新幹線に乗って、十個ほどの県を移動してやってきた保護犬である。どうして地元ではなく、遠い遠い餃子大国から来ることになったのか、きっと深いわけがあるのだろう。まあ、僕の人生にはたいして関係ないから、それはそれでいい。

しかし保護犬というのは、手続きやら里親申請やら、いろいろと手間と時間がかかるはずでは?と思っていたが、いろいろと抜け道があるようで、京都在住の有名な女優さんが挨拶に来たらしく、妻はホクホクとしていた。
それも僕の人生にはたいして関係ないからいい。

重要なことは、殺処分率である。日本はアメリカと比べると、犬猫の殺処分率が桁違いに低い。生命の売買商売みたいな業界が発達していると思っていたので、日本は殺しまくり大国だろうと思っていたら、全くそうではなかった。良かった良かった。

そう思った瞬間。殺処分にあった約2700匹が、お前は名前のついた命を1個.2個.3個と数えていけるような、そしてそれを多い少ないとか言って感想を持つような野蛮な奴だったのか!と鳴かれた気がした。
これは僕の人生にとって重要なことなので、謝ります。犬さん、猫さん、ごめんなさい。


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