大清帝国と中華民国の切手
明から清へ。そして中華民国へと移り変わってきた中国。状態は良くないですが(写真で確認して下さい)、大清帝国から中華民国へ移り変わったことを示す切手です。大清帝国の切手に中華民国の文字が加刷されています。
さて、大人気の中国切手ですが、ちょっと中国の近代的な郵政がどう変化してきたかを解説します。
まず、中国の近代的な郵政は、清の時代の植民地状態で誕生します。中国には、以前から公務のみを司る郵便的事業はありましたし、商人間の郵便事業もありましたが、今で言うところの郵政、つまり誰もが利用できる格安で安全な通信手段はありませんでした。
そこで、1934年、イギリスが中国で初めて外資系の郵便システム(客郵と言われます)を設立します。続いて日本・フランスなどの国も相次いで客郵を設立し、最新の郵便システムを中国に導入し、中国郵政の近代化が一気に進みます。清政府も経済が発展した都市間の郵便制度などを整えますが、列強諸国の客郵制度や、従来の民間の郵便的事業(民信局)の方が明らかに優れており、両者には利用頻度にも差がありました。
中華民国へ移った中華郵政期に、中国政府は各省・大都市毎 に郵便局を設置します。そして外国の客郵や民間の民信局を撤退させ、全国郵政を統一させます。 ところがこの時期の中国は、長期にわたる 抗日戦争や内戦がありましたから、郵政事業の発展は、うまいこといきませんでした。
結局、戦後の1949年の中華人民共和国の成立によって、 中国郵政は新しい段階に入ります。
大雑把にいえば、建国当初の経済調整期、そして毛沢東さんの大躍進政策と文化革命期は、政治経済の混乱を受けて、中国郵政の発展速度は遅く、1978年以降の改革開放経済政策による経済の急速な発展によって大きく発展します。
整理し直しますと
1近代郵政が列強支配下にある時期
→だいたい大清帝国の時期
2近代郵政の制度を整えた時期A
→だいたい中華民国の時期
3近代郵政の制度を整えた時期B
→毛沢東さんの時期
4近代郵政が実効性をもった時期
→1980年代
5近代郵政が全土に普及し定着した時期
→1990年代以降
切手の価値が単純に希少性(少なさ、珍しさ)で決まるとすれば、切手の供給が増えた80年代以降、特に5の90年代以降の切手は価値が下落しがちでしょう。