World Monster Stories 【Episode 2】
「クランプス」
世界中で語り継がれる、伝説のモンスターを紹介!「World Monster Stories」。第2回目は、ヨーロッパ中部の伝説「クランプス」。
ドイツ、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、スロヴェキア、クロアチアなどに伝わるモンスターで、クリスマスシーズンに、聖ニコラウスに同行する存在でも知られている。
よい子供にプレゼントを配る聖ニコラウスと対照的に、クランプスは悪い子供に警告して罰を与えると言われているので、日本の「なまはげ」に近いのかもしれない。
なまはげも、仮面をつけ藁の衣装をまとった神の使い(来訪神)を指し、家々を巡って厄払いをしたり、怠け者を諭したりする。
クランプスという単語は、鉤爪を意味するドイツ語の単語(クランペン)に由来している。アルペン地方では、クランプスは夢魔に似た生物として表現されていて、伝統にのっとり、12月の最初の2週間、特に12月5日の晩になると、若者はクランプスの扮装をして錆びた鎖と鐘を持ち、子供と女性を怯えさせながら通りを練り歩く。
この辺りも、本当になまはげの慣習とリンクしているように思う。
また、農村地域の中には、特に若い少女へのクランプスによる鞭打ちを伴う伝統がある。クランプスは通常、悪い子供を連れ去り、地獄の穴に投げ入れるための籠を背負ったイメージで表される。そして、鞭を振るいながら子供を捕まえ、親の言うことを聞け、勉強をしろと厳しく諭す。
そんな日本の「なまはげ」との親和性もあってからか、遠く離れたこの島国日本でも、2015年からクランプスジャパンという団体がイベントを行っている。
毎年12月に開催されるので、興味がある方は参加してみては、いかがだろうか。
また、エンタメ作品にもなっているので、そちらの入口から入ってみるのもいいかもしれない。
■映画:クランプス 魔物の儀式
■ゲーム:Krampus is Home
見た目も恐ろしいクランプスの存在は長年、規制の対象となっていたようだが、近年クリスマスのポップカルチャー的存在と、クリスマスを非伝統的なやり方で祝おうとする人々の動きもある中で、クランプスは復活を遂げているらしい。
アメリカもこの時流に乗り、クランプスをフィーチャーしたパーティなどが催されているようだ。
またオーストリアでは、クランプスの厳格なキャラクターを商業化しようと、チョコレートやフィギュア、コレクターグッズの角などが売り出されている。クランプスが商業化されすぎているという批判が既に出ているほどだ。
もしかしたら、将来サンタクロースのライバルになるかもしれない…
ということで、今回は、「クランプス」をお届け!
今後も世界の伝説のモンスターたちを特集していくので、お楽しみに~