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うまちゃん先生の大失敗
何を隠そう僕はすきっ歯だ。
すきっ歯とは、前歯と前歯の間に溝ができていることだが、僕の前歯には清々しいほどの隙間ができている。
もし、家族に内緒でようかんでも一口かじろうものなら、ものの数秒で犯人とバレてしまう。
そんなすきっ歯だが、実は生来のものではなく、ある出来事で後天的にすきっ歯になったのだ。
今回は、うまちゃん先生の知られざる「すきっ歯」の誕生秘話に迫る・・・。
僕は子供の頃から奇行が多かった。
お風呂中に鼻血が出たらわざと浴槽を血塗れにして殺人現場ごっこを一人でしたりした(無論その後ハンパなく怒られた)
そんな中、小4くらいの時にハマっていたのが、電気の引っ張るヒモをジャンプして口でくわえるというものだった。
何が楽しかったのか今では思い出せない。しかし、当時の僕はこの遊びに酷く熱中していた。
正直、この遊びをしたのは日本で僕だけだったかもしれない。みんなも一度やってみるといい。とても刺激的な体験が味わえるかもしれない。
はい、ただのバカですすみませんでした。
そんな幸せな日々を送る中、事件は唐突にやってきた。
いつものように、電気の紐にパクつこうとした時、少しだけ高くジャンプしすぎてしまったのだ。
それが仇となった。
なんと僕の当時の、まだすきっ歯になっていなかった前歯に、電気の紐が挟み込んだのだ。
その時点ではまだ僕は空中である。
「あ・・・ヤバイ・・・?」
その一瞬、走馬灯のようなものが頭をよぎった。
そして、何秒とも思えた対空時間の後、僕は着地した。
その瞬間、前歯に引っ張られ、長さの限界を超えた紐は、勢いよく上に跳ね上がったのだ。
そう、僕の前歯をこじ開けながら。
グン!!!!!!
と強烈な感覚を前歯に感じた瞬間、激痛が走った。そして紐についていたプラスチックの取手が勢いよく上方に跳ね上がり、蛍光灯をその勢いのまま粉砕した。
パリン!という音と共に砕けちる蛍光灯。
しかし、僕の方はそれどころではない。
強烈に痛い!!
殴られた痛みだとか、そういうレベルではない。口の内側から歯がずらされたのだ。ああ、北斗神拳を食らったらこんな感じなんだ・・・などと思う余裕はその時の僕には無かった。
僕のおばあちゃんがどたどたと駆けつけ、割れている蛍光灯を発見する。
「あんた何したんよ!」
「おばあちゃん、僕の前歯、ある?」(口をあけながら)
「あるけど、何をいうてんのよ。」
僕は、痛さに泣きながら今起こったことを説明した。めちゃくちゃ呆れられた。僕は思った。
「僕はバカなのかな?」
それ以来、僕の前歯はすきっ歯だ。
でも、この話をするとみんな喜んでくれる。大きな失敗も今では立派なコミュニケーションツールだ。
成功者の話は「その人だからうまく行った部分」は否めないだろう。
でも失敗した話は同じ過ちをしないという学びをもたらすと共に、誰も傷つけない。失敗した本人さえ、失敗した話をすること自体が癒しになることもある。
そんなことを思って、僕はこの記事を書いた。
どんな失敗も、笑ってくる日が来るように、常に楽しく生きていきたい。
うまちゃん先生でした。