日本一小さな百貨店の物語 春
4月の暖かい、お天気の木曜日。
なにか特別なことがあるわけじゃない、いつもどおりの百貨店。
天気がいいと、普段は家で配達を待っているおばあちゃんたちも、歩いて百貨店までお買い物に来てくれます。
「もうタケノコでてるかあ。うちも昔はようでたけど、もう遠くまでよう取りに行かんしなあ」
みんなでワイワイ言いながらお買い物。
田舎の百貨店は途切れなくお客さんが次々に来るわけじゃないけれど、お客さんとおしゃべりしてるとあっという間に時間が経って、気づくとお昼も過ぎています。
午後になって配達に行ったら、玄関におばあちゃんが待ち構えていて、
「たらの芽ようけとったから持って帰って。」
かごいっぱいに春の香り。
年季の入ったかごは、おばあちゃんのおかあさんが使っていた手作りのかごだそうです。
帰り途、おっちゃんはチェーンソーを手にせっせとシイタケの原木作りに励んでいます。
その先では、90になったおじいちゃんが、トラクターで山間の広い田んぼを一人で鋤いていました。
夕方、子供たちが学校から帰ってくると、百貨店は賑やかになります。
男の子も女の子も、大きい子も小さい子も、みんな一緒にドッジボール。
ボールが道路に飛び出さないように気をつけて。
5時の鐘がなったらおうちに帰る時間。
賑やかだった百貨店がさびしくなったら、もうそろそろ店じまい。
晩ごはんは、掘りたてのタケノコに、おばあちゃんにもらった葉玉ネギ。
なんてことのない、いつもの小さな百貨店の一日でした。
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京都北部の山あいの小さな集落にただ1軒の小さな百貨店から田舎の日常を書いています。子供達に豊かな未来を残すためにサポートよろしくお願いします!