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【個別指導対策】薬歴、その書き方で大丈夫?

今回は薬歴の記載方法についてハイリスク算定(特定薬剤加算)をメインに記事を作成しました。ハイリスク薬の薬歴で何を書けばいいか悩んでいる方はぜひ最後まで読んでいってください。

時間のない人向けに

今回は今までと比べて記事が長くなっています。
最後まで読めないよって人向けに私が購入して参考になった書籍をまずは

この書籍のいいところは全てのハイリスク分類について網羅しているところです。また、服薬指導時のポイントを記載されているので扱いに慣れていない薬剤について勉強したいときにおお勧めです。

個人的にはこちらの本の方がお勧めです(値段もお手頃ですし。(笑))
この書籍のうたい文句は以下のとおりです。
『薬局薬剤師は何を見て、どんな情報を集め、患者にどう伝えるべきか。
忙しい日常業務のなかで絶対に漏らしてはいけないポイントを、ハイリスク薬の薬効群ごとの作用の捉え方、各種ガイドラインにおける薬剤の位置づけ、薬の体内動態データ、添付文書情報などを参考にまとめた好書籍』
うたい文句のとおりさっと内容を確認したいときに読みやすい書籍ですのでまずハイリスクについて勉強したいという方はぜひ手に取ってみてください。


ハイリスク加算をとれる医薬品は?

ではここからが本番になります。
そもそもハイリスク加算を算定できる医薬品とは何でしょうか。
それは以下に分類される医薬品のことです。

1.抗悪性腫瘍剤
2.免疫抑制剤
3.不整脈用剤
4.抗てんかん剤
5.血液凝固阻止剤(内服薬に限る。)
6.ジギタリス製剤
7.テオフィリン製剤
8.カリウム製剤(注射薬に限る。)
9.精神神経用剤
10.糖尿病用剤
11.膵臓ホルモン剤
12.抗HIV薬

調剤薬局で出会うことが多いもの(独断と偏見で)を分けると
 1.抗悪性腫瘍剤
 4.抗てんかん剤
 5.血液凝固阻止剤(内服薬に限る。)
 9.精神神経用剤
 10.糖尿病用剤
 11.膵臓ホルモン剤

この6分類あたりですかね。なので薬局薬剤師の皆さんは上記6分類だけでも算定要件を覚えておくといいでしょう。

ハイリスク加算の算定要件は?

「ハイリスク算定とらなきゃいけないけど薬歴に何を残せばいいの~!!」
「個別指導対策に何をすればいいんだよ!!」
皆さん、このあたりで困りますよね?
あくまで私の個別指導経験を含めてどのような薬歴記載を行えばいいのかを記載していこうと思います。

【ハイリスク算定の要件】
これに関しては各ハイリスクの共通項目について日本薬剤師会が示しています。詳細は以下のURLを参考にしてください。

時間のない人のためにかみ砕いて項目を書くと以下のようになります。
 ①用法用量を含めて患者に適正な量ですか?
 ②アドヒアランスは良好ですか?
 ③副作用についての教育はしてますか?
 ④効果判定はできてますか?
 ⑤相互作用で問題になるものはないですか?

「だ・か・ら!それができないしよくわからないんだよ!!」
という人のために私の好きな薬であるティ―エスワンを例に内容を記載していきます。

①用法用量を含めて患者に適正な量ですか?

抗がん剤ならこれは分かりやすいと思います。ティ―エスワンの一部を例に出すと添付文書には以下のように記載されています。

参照:ティ―エスワン配合OD錠添付文書より

このように添付文書には身長・体重・腎機能等により適切な投与量が示されています。ではここで質問です。用法用量が適切であるが判断するためには薬歴には何が記載必要でしょうか。
答えは上記記載のとおり『身長、体重、腎機能、肝機能』です。
身長、体重は患者が把握していることが多いので必ず薬歴の表書きに記載しましょう。SOAPにだけ記載してしまうと数年経過したときに後追いできず、個別指導の時に痛い目を見ることになります。ですので表書きの一部に
【身体情報 】身長170cm、体重60kg(2023年12月確認)
と残しておけば後からいつでも確認できます。

問題は腎機能・肝機能です。この項目は薬局で確認が難しいことが多いのではないでしょうか。血液検査表を持っていたら定期的に情報を表書きに記載すれば問題ありません。
もしそうでない場合には2-3カ月に1度でもSOAPに
S:血液検査したが結果は異常ないといわれた。結果表はもらってない。
A:医師より検査結果異常なしと診断あり。腎機能・肝機能ともに薬品の用法用量を決めるうえでの問題点はないものと推測される
記載すればたいていは問題ありません。

ここで重要なのが
『確認しようとしたんだけど詳細は分からなかったんです』
と個別指導時に答弁できるようにすることです。これができないとハイリスク要件を満たしていないと判断されて返金することになる可能性があります。(実際にそのような事例があったようです)

②アドヒアランスは良好ですか?

これはハイリスクではなくても行っているので特記すべきことも少ないかと思います。あえて言うならティ―エスワンのように休薬期間が設けられている薬剤は
表書き:S-1は14日服薬7日休薬
SOAP:S-1の投休は表書き記載から変更なく、ADは良好
と記載すれば100点ですね。
抗がん剤からはずれますがメトトレキサートとのように服薬曜日が決められているものに関しても表書きに
『メトトレキサートは処方箋記載通り金曜日に服薬』
と記載しておくと個別指導で指摘される可能性がぐーんと下がります。

③副作用についての教育はしてますか?

特にハイリスク薬は
『副作用の早期発見・早期治療』
が重要になります。
ティ―エスワンで特に見落としがちなのが涙道障害(流涙)です。
適正使用ガイドインでは以下のように記載されています。

参照https://www.taiho.co.jp/medical/brand/ts-1/cse/cnt08.html
参照:https://www.taiho.co.jp/medical/brand/ts-1/cse/cnt08.html

涙道障害が胃について十分な教育をしていないと患者はただの涙目、目の不快感と判断してしまうため眼科へ受診するケースがほとんどです。受信時にティ―エスワンを服用していることを伝えていればいいのですがそうでないと「ヒアルロン酸点眼」「ジクアス点眼」などの涙道障害を悪化させる恐れがある薬剤が処方されてしまします。

このようなケースを防ぐためにも
『ティ―エスワンで涙目が出ることがあるので違和感を感じたら主治医、薬局まで相談ください』と定期的に指導をしてください。
あくまで目安ですが
 表書き:ティ―エスワンの涙道障害について症状・対策について指導済み
 SOAP:ティ―エスワンの涙道障害なし。出現時の対処法指導済み。
と記載すると良いでしょう。再三記載していますが個別指導だけで言うとSOAPの内容は2年程度しか確認されないことが多いです。ですので万全を期すなら表書きに指導した年月日を含めて上記のような記載をするとよいでしょう。


④効果判定はできてますか?

抗がん剤で言うなら間違いなく
『腫瘍が大きくなっていないか』
『転移・再発がないか』これが重要になります。
この評価方法については別記事でもまとめましたので是非そちらもご覧ください。

個別指導対策で効果判定を記載するなら表書きに
・ティ―エスワン開始(〇年〇月〇日~)
→PDとなり中止(×年×月×日)

といった記載をするのがよいでしょう。

⑤相互作用で問題になるものはないですか?

とうとう最後の項目です。これも一般医薬品でやりなれているので皆さんよくご存じな内容ではないでしょうか。
例のごとくティ―エスワンを例に出すと以下の通りでしょうか。

参照:ティ―エスワン配合OD錠添付文書
参照:ティ―エスワン配合OD錠添付文書

こんなところですかね。特にほかの薬剤でもいうと
『フェニトイン』『ワーファリン』『プロトンポンプインヒビター(PPI)』
などは併用注意でよく見かけます。
このあたりの薬剤については薬歴に記載する必要はないですが
自身の勉強のためにもしっかり覚えておきましょう
(がん関連の試験に頻出の内容ですよ)

最後に

大まかにですがハイリスク加算の薬歴の記載方法については上記のとおりです。ハイリスク加算はどこの薬局に努めていても必ず覚えておかなければならない項目です。
今回は抗がん剤はメインに記載しましたが皆さんの勉強の一助になれば幸いです。

本当の最後にお勧め書籍を再度載せておきます。
興味を持った方はぜひ手に取ってみてください。


今回の記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました!!

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