【開発者インタビュー】それでもカメララップを選ぶ意味
先日発売した六角形のカメララップ「ヘキサ」。カメララップと言えば包んだカメラをバッグに入れて使われることが多いイメージですが、ヘキサはそのまま首から下げて使うのを想定して作られています。使い勝手はもちろんのこと、洋服に合わせやすい素材やデザインにこだわって作ったという開発者のデザイナー三好さんとエンゾー店長に話を聞きました。
かけて歩きたいカメララップ
―開発のきっかけを教えてください。
三好:シルバーコモドを作ったとき、シルバーに合う生地を探していたらナイロンに出会って、この生地でカメラが包まれていたら可愛いなぁと思ったのがきっかけでした。そういう、アパレルっぽい生地のカメララップってあまり見かけないなと思って。
―生地との出会いが始まりだったんですね。どんな人やどんなシーンを想定して作ったんですか?
三好:わたし自身が欲しくて、これを首から下げて出歩きたいなと思って作りました。そこで、エンゾー店長に相談したんです。カメララップを作りたいけど、カメララップって包みにくいっていうデメリットもありますよね、と。
エンゾー:カメララップの良いところは自由なところで、使い手が適当にやってもなんとか包めてしまう。ただ、ぐちゃっと包むか、きれいにカメラに添わせるかは本人次第なので、包んでしまった形は、汚くもきれいにもなるんです。
それがあまり好きじゃなくて、誰がやってもきれいに簡単に包めるものがあったら良いなぁと思いました。僕にとってカメララップは、キズ等からカメラを守ることのみが目的で、モノとして持つ喜びがあまりなくて。9:1の割合で実用重視のアイテムだと思っていました。だから、「かけて歩きたいもの」ではなかったです。
―それを「かけて歩きたい」と思えるのが、今回作ったヘキサ?
三好:はい、生地にアパレル要素のある、見栄えのあるものを選びました。でも、ただそれだけじゃなくて、ULYSSESが作るなら、何か進化した、今までになかったカメララップを作りたいと思って。
そこで思いついたのが、袋状にした後ろの部分、カメラの液晶がおさまるところです。一般的なカメララップは、生地がもたついて、包む途中から緩んできたり、巻くのに時間がかかったりします。そこを解決したかったんです。せっかく可愛い生地を使っても、巻いてぐちゃぐちゃになったら意味がないので。
ラップである意味
―「半分袋、半分風呂敷」の形が生まれたんですね。
エンゾー:そこから三好さんとやりとりがあって、「簡単に型崩れしないってことは、それってもう袋じゃん!そこをあえて袋にせず、ラップにする意味って何?」という、葛藤がありました(笑)中途半端なものを作るくらいなら“袋”でいいんじゃないかと。
でも、ULYSSESにはすでに「チェッラ」というカメラポーチがあります。ただ、「チェッラ」で出てきた問題は、入れるカメラを選ぶというところ。“袋”だとどうしても対象となる機種が少なくなってしまいます。
―ラップならもっと幅広いカメラとレンズを包めると。
エンゾー:はい、ラップにできて、袋では実現できない大きなポイントは、交換式のレンズに対応できるということ。長い望遠レンズなども柔軟に包んでくれる。ラップである意義ってそこにあるんですよね。そこを活かしつつ、袋のいいところも取り入れた製品があれば良いなと。
三好:そこで、ULYSSESのお客様の多くが使っていそうなカメラをリスト化してみました。もともと2サイズのカメララップを作ろうとしていたので、どのカメラまでが小さい方に入って、どのカメラからは大きい方という風に。
でも、調べているうちに分かったんです。ラップとカメラのフィット感を良くするには、カメラの背面のサイズが大事で、大きいカメラに合わせたら1サイズで賄えると。
また、ラップ全体のサイズは、どのくらいが畳んでいて気持ちが良いかに重点を置きました。巻き心地や畳み心地を考慮して、ちまちま小さくしていった結果、今のサイズにたどり着きました。一般的なカメララップは正方形をななめに使いますが、いらないところをカットしていったら、今の形になりました。
デザインと機能を両立する素材と色
―こうして六角形のカメララップができたんですね。生地へのこだわりは?
三好:丁度良い生地のかたさです。中に芯材を挟んで3枚構造になっています。表のナイロンが見た目を、中の芯材が折り目と保護を、裏地のマイクロスエードがカメラを優しく包む役割を担っています。
折り目がつくけどハリ感があって、でも柔らかい素材です。折り目がつかないことが、ぴしっとならない原因でもあるので。そして、使わないときは小さく畳んで収納できるようにしました。カメラを包むことと小さく畳めることの2つの両立が難しかったですね。
―色はどのようにして選んだんですか?
三好:ちょっと大人っぽくて飽きがこない、服装にも合わせやすそうな3色を選びました。
服装に合わせてコーディネートできる、見せるカメララップなので。鞄の中に入れてもいいけど、ストラップを付けたカメラに巻いて、首から下げて、見せて欲しいです。
外に写真を撮りに行くことが減っている方もいらっしゃるかもしれませんが、ヘキサと一緒にもう一度、眠っていたカメラを外に持ち出してもらえたら嬉しいです。
【編集後記】カメラを手早く巻いて首から下げれば、コーディネートの一部になるヘキサ。ちょっとそこまで撮りに行きたいときは、他のバッグを持たずにヘキサに包まれたカメラ1つで出かけても良いですね。しばらくカメラから離れていた方が、またカメラを使うきっかけになったら良いなと思います。
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