B#5 アメリカンドリームを叶えるビザ編 E-2ビザ獲得への道1: 事業選定
前回のエピソードはこちら
このnoteの目的は「日本が少子化と技術開発の陳腐化が進み、今世界で最も急速に衰退している国家であるという事実を受け止め、より良い環境を求め海外、特にあらゆる分野で最強であるアメリカに移住したいという日本人の背中を押す」事です。日本人として耳が痛く、プライドも傷つく長期にわたる残念な結果ですが、自分がどういう状況にあるのか客観的に整理し、(他人、集団としてでなく)自分がどう生きたいのかを見直し行動に移せる方にとって力になると思います。
前回は本章の本題であるE-2ビザとは何なのかについて詳細を説明しました。ポイントとしては、
ビザスポンサーしてくれる企業に依存する必要がない、自己申告可
まだ事業実態がなくても「これからスタートする」でOK
以上の特徴から、個人ベースでの取得のハードルが比較的低く、働く現役世代や育児・教育移住に相性が良いことが挙げられます。
これからその筆者が歩んだ道のりと、それに付随する書類や専門家との相談内容などを複数回に分けて解説してきます。また、前々回のエピソードB#3で話した、アメリカ移住(及び日本脱出)のWhyも反響が大きかったため、その部分も織り交ぜながら書いてまいります。
今回の目次です。
どのビジネスなら無理なく開業できるのか?
私の前職は経営コンサルタントでした。なので、ビジネスのいろははわかっておりますし、早く亡くなった父も脱サラして自営業していたので、なんとなく経営はどうすればいいかわかりました。ただ、経営コンサルのクライアントは大手製薬企業ばかりなので、自分で何かいきなり起業しろ、と言われても土地勘があまりありませんでした。
おそらくこのnoteを読んでくださっている多くの方もサラリーマンとしてもしくやキャリアウーマンとして企業で従業員として活躍されており、ほい、起業と言われてもさっと動ける人は少ないのではないでしょうか。
そこで、このnoteでは再現性を重視し、実際の自分の開業とビザ取得のステップをセットで解説していきたいと思います。
コンサルティング業とE-2ビザの相性は悪い
まず真っ先に思いついたのが今までやっていた製薬企業向けコンサルティング業をそのまま続けることでした。ただし、これが比較的早い段階でE-2ビザの取得要件とは相性が悪いことが発覚します。
前回のおさらいですが、E-2事業は
$100,000程度の投資、しかもお金を移すだけでなく何かを購入するなど、不可逆的な投資をしている必要がある
比較的早い段階で収益が出る
アメリカ人の雇用を生み出す
以上が条件となります。コンサルティング業は一般的には起業に初めての人にとっては以下の通り好条件ですが…
低投資(在庫、家賃は基本ゼロ)
人を雇用せず一人でできる
収益はすでに太い顧客パイプがある場合以外はキャッシュを生むまで時間がかかる
…E-2要件とはだいぶ遠いところにあります。おそらく日本で中小企業としてすでにアメリカも絡めて事業をしていないと、いきなりアメリカでE-2が取れる要件を満たすのは難しいのではないでしょうか?サラリーマンからではなかなかむずかしそうです。
コンセプトはローリスク、エニーリターン
我々はすでにアメリカで住居を構え、比較的慎まやかな生活をしていました。日常の固定費を圧縮しているため、少なくとも月々それなりに安定的な収入、最初の1年は最悪1ヶ月あたり$3,000くらい収入があれば不自由のない生活ができる状態です。これはかなり強い、というか守りの固い生活経済基盤があったと言えます。食費、光熱費、通信費くらいがなんとかなればいい感じです。
すると、事業のチョイスとしては毎月ちょこちょこ安定的に売れて(最初はとにかくローリターンでいい)、大量に人を雇わないといけなかったり、ロスが多いなどのハイリスク事業でなればいい、という結論になりました。アメリカで暮らせて、子どもを地元のそこそこ良い学区の公立校に通わせればいいので、贅沢な生活をする必要がなく、あくまでも子どものアメリカでの教育基盤を安定させられれば、十数年そのままでもいいわけです。今まで日本でハイスペサラリーマンとしてそれなりに良い生活をしたので、もうがむしゃらに稼げなくてもいいかな、と思いました。
買収することで引き継げるビジネス
いくつか既存のビジネスを買収することも検討しました。FacebookなどでE-2ビザのグループ界隈を除いていると、世界各国で色んな人がビジネスを買ってE-2投資ビザをゲットしたりして、それをすぐに売っぱらう、それを仲介するブローカーなどがおり、かなり混沌としてました。
その中でも一応興味を示した書き込みをしたりしてるとアジア系と思われるビジネスブローカーとつながり、いくつかビジネスを紹介してもらえる事となったのですが、まず「どのようなビジネスを探してる?」と聞かれて回答につまりました。向こうとしては、
業種
投資金額
見込みリターンの期待
みたいな、不動産投資とも通ずるスペックのようなものを期待していたようです。話していくと、こちらも投資金額がそんなになく、$100,000から$200,000くらいしかお金がないんだ―、と言うと向こうもあまり乗り気ではなさそうで、それくらいならあまりうまく行ってないビジネスの建て直し案件とか、教育(例えばKUMON/公文、スポーツコーチ系)とか、ホームサービス(清掃業)など、パッとしないものばかりでした。
あと、既存のビジネスは年間の利益の3倍が相場のバリエーションだそうです。つまり、年間$100,000の利益が出てる事業は買い付けに$300,000は必要ということです。
飲食業はわかりやすく楽しそうだが茨の道
うちの妻の料理は美味しく、地元の近所でもよく焼きおにぎりや唐揚げ、餃子を振る舞ってると大人気でした。ですので、「飲食はいけるんじゃないか?」と、この業界は少し真剣に模索しました。
一応テイクアウトメインなどでやる想定で店舗の不動産を見に行ったり、知り合いのラーメン屋さんとのパートナーシップが組めないかとか、色々模索しましたが、やはり色んな人に話を聞くと
競争が熾烈で
最初からバイトもたくさん雇う必要がありまとまったキャッシュが必要で
初日から客足も不透明である
不動産確保だけでも数十万ドル規模のお金が必要
ということで、どう見ても初心者向けローリスクビジネスではありません。
中にはゴンチャ(貢茶、 https://gongchausa.com/)という日本にもあるタピオカドリンク専門店のフランチャイズや、Teriyaki Madness (https://teriyakimadness.com/)という、日本食とはちょっと似ても似つかない飲食店フランチャイズもありましたが、それらに手を出すにも投資金額は$300,000-$600,000くらいとちょっと手が届かない金額でした。そして、こちらあまりアジア人口が少ない中西部の片田舎の都市でタピオカドリンクがたくさん売れるイメージがありませんでした。
飲食は諦めました。
ホームサービス系に絞り込む
そして、最後に残ったのがホームサービス系です。アメリカは家持ちの人が多く、その家によくお金をかけてインテリアを素敵にして、売るときは買ったときより高く売る、という文化が定着しています。
DIYでも、プロを雇っても、キッチンやバスルーム、クロゼット、バルコニーなどありとあらゆる家財設備に、ローンを組んででもどんどんお金を使います。ホームセンターも巨大で色んなところにありますし、様々な業者が存在します。もちろん、配管工や清掃業や芝刈り、煙突、セントラルヒーティングなどのメンテ等様々なホームサービスが存在します。
これらはそこまで多くの元手は必要なく、業種によってはスタッフを一人も雇うことなく形にすることが可能です。投資資金も$50,000-$250,000くらいがボリュームゾーンで、これは十分日本でサラリーマンをやって作れる貯蓄額ですし、E-2要件の投資額ともマッチします。
ということで、最初は17ほどの事業をふるいにかけていたのが、最終的に3つのブラインド事業に絞り込まれました。
次回は、ホームサービスから最終的になぜブラインド事業にたどり着いたのかについて解説します。また、フランチャイズ契約を通して開業することにしたので、アメリカでのフランチャイズ契約についても解説します。
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