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April

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#短編小説

灯台

「もう間に合わない」 とあきらは思った。

「あの、これ使います?」 ふいに、後ろから声を掛けられ振り返ると、女の子、いや、女性が見上げていた。

「え?いや、大丈夫です。申し訳ないです、使えません。お気持ち、有り難う」と、あきらは驚きながら言う。

「でも使って下さい。私はもう使ったから必要ないんです」と、女性は言い、あきらの手を取り、握らせた。

「いや、受け取れません」と、返そうとした

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