他者が受ける痛みがわかる者
ギャラクシーアーマー誕生会でアークが自身の真意をユーマに話した
怖かったんだ。ユーマが前をむけないかもしれないことが。
ユーマはひたすら前に進んでいる。
地球や周りの人のためにウルトラマンになって怪獣たちとたたかってきた身である。
そんな人が地球に危機があるときけば、普通
「なんとかしなければ」
と解決しようとするだろうし、そう思ってくれそうじゃないですか。
だから本来はアークの感覚、セリフには多少の違和感がある。
ユーマはずっと突っ走っているが同時に
危なっかしいキャラでもあった。
いつも周りからユーマと心配する声をかけられてばかり。
思い返せば周りの人がピンチになっている描写よりも主人公であるユーマ自身がピンチである状況の方が多かったようにも思える。
それはユーマが抱える心的外傷のせいだろう
ユーマは自らの意思で走り続けたかったわけではなかった。
父と母との離別の瞬間も本当は父と母とこれからも一緒に生きていきたかった。
けれど出来なかった。
走れと言われた。そうすることしかできなかった。
ここは想像だがユーマはあの時走った自分を許せなかったのかもしれない。
走ってしまったばっかりに父と母はいなくなり、自分自身も苦しんでいる。
だけど、ユーマが描いていた空想は父と母との華やかな世界ではなく、ウルトラマンというがむしゃらに走る以外の選択肢をもたらす輝いたかっこいい力だった。
その想像力はとても偉大なものとアークはキューブの力を通して知っていくこととなる。
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父の姿をした萩原さんのいくつかの描写
疲れたユーマに優しい言葉をかける。
そのどれもが父の肩や表情ではない。
ユーマは決して強くなかった。
ユーマはずっと強くなりたかった。
前に進む力を失いかけた時肩をグッと掴む、厳しい父の姿が現れる。
走るんだ!
走ることしか出来なかった弱いユーマを救うものはこれまでの行いの肯定。
未来をみる想像力でユーマは1人でも強くなれる。
そして最終決戦スイードとの戦い。
スイードも自身の星のために活動しているためわざわざ戦わせる必要はないのではないかと考えていた。
しかしこの作品では珍しくステータスに「暗黒」というわかりやすい敵対する勢力である象徴の言葉を使っている。
つまりこの敵を倒すことでユーマは想像力、未来へと進むことをポジティブに受けとると表明することになるのだと思う。
スイードは身を滅ぼすことより星のことを優先していた。
そして、別の星である地球にダメージを与えることも厭わなかった。
ユーマは幼い頃に自身の身を守った経験から他者の痛みがわかるのだろう。
このことはずっとユーマをみてきたアークが証明している。
怖かったんだ。
ずっとユーマをみてきたアークだからユーマが受ける痛みが刺さるのだろう。
他者が受ける痛みなんて実際問題わかりっこない。
想像だ。
想像からしか他者の痛みを理解できない。
スイードはユーマの想像力を終始侮り、最後まで敗北原因をつくってきた。
そしてスイードにモノゲロス(トラウマの象徴)をぶつけ地球を救う。
最終回手前24話
お前の鍵を開くこととなるだろう
が文字通り鍵穴だったわけでトラウマの傷を塞ぐかのように鍵をさしこむわけ。
テーマがわかりやすくまとまった綺麗な最終回だった。
最後の必殺技で地球1周に円弧を描くのはこの作品ならではだったし、スイードのデザインがアークの想像力を象徴する首を傾げる挙動が取れない首元のデザインだったりと工夫がつきない作品でした。
オチが帰ってくるという所に落とし込んだことでアークがデザイン、ポーズ等を帰ってきたウルトラマンをモチーフにしていたことが改めて確定したような気がします。
半年間非常にお世話になりました。
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萩原さん芝居上手すぎる。
みるからに善良そうな方がやる善良ではないキャラの気持ち悪さったらないし、ギルバグなのがすぐにわかる。
怖い。
家の中に何もなくて、ユーマの想像力の豊かさがより強調された。
かっこよさを増す演出重視で背後爆発が多かったウルトラシリーズ
今回は一味違った。
アークは経験を詰んだ。想像力豊かな未来へ進む。
背後をみせるのは油断ではなく、余裕。
かっこいいね。
さすが18000打点