翡2-レンブラントの和紙

■関西、日本。病院の個室。小柄で引き締まった顔、白髪で唇の薄い男、西五条兼輔（６１）がベッドの上で朦朧としている。部屋の中には兼輔の娘、西五条道子（２５）、兼輔の兄、西五条兼通（６８）、そのほか親族の姉妹、兄弟、など四人ほど。道子は肩までの髪、パンツ姿で千鳥格子のツイードの上着。親族の中には派手な帽子を被った中高年の女性が一人目立っている。親族に見守られる中で、兼輔がゴクリと喉仏を動かして、目を開ける。