第24夜 視えるの?
土曜の夜、怪談好きには「禍話」を薦めたい。猟奇ユニット・FEAR飯の語り担当かぁなっきさんと、相づち担当の加藤よしきさんがツイキャスで1時間~2時間ほど語られている青空怪談だ。今夏にドラマ化されて話題にもなり、noteでもリライトを書かれている方がたくさんいる。
その禍話、2021年11月6日の放送で「カラス」という話があった。この中で一つの現象を周りの人が、見えたり見えなかったりするという表現があった。過去に聞いた話を思い出したので、ここに書き留めたい。
【視えるの?】
Fが大学で一人暮らしをしている友人のところに遊びに行った帰り、私鉄の線路の踏切に差し掛かった。行きにも通ったが、その時に比べて時刻も随分更けたこともあり、ずいぶん人通りは減っていた。
警告音が鳴りだし、遮断機が降り始める。ふとFが踏み切りを見ると、中に小学生くらいの女の子がいた。
慌てて、「あんなところに女の子が」といっても、友人は「ああ、ええんや。気にするな」と相手にしない。
「なんでや!」と大声を上げたら、電車がやって来た。
「危ない!」と叫んで踏切に走ろうとしたら、友人に手をつかんで止められた。
結局、電車は何事も無いように走り去ってしまった。
すぐあとに、線路の上にいた女の子が平気な顔でタッタッタと走って来た。
そして、小首をかしげ、
「私のこと、視えるの?」
と口にして、姿を消した。
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