【禍話リライト】ぶら下げ怪談「写真のせい」
前回と同じく、6月末に刊行された『Occlut‐オカルト‐闇とつながるSNS3』(むくろ幽介著)収録の「視える子」からかぁなっきさんが触発された、短い怪談を。
【写真のせい】
Aさんは霊感が強い。しかし、それを人に言うことは滅多にない。なぜなら、過去に何度もイヤな目にあっており、ロクなことにならないからだ。
Aさんが学生の時に、そんな能力を知る友達から写真を見せられ、
「何か感じないか?」
と聞かれた。『写真大喜利じゃないんだから』と思うものの、目を落とすと、赤い光が友人を縦に貫通して差し込んでいる。
「赤い光は不吉って言うじゃない」
友人はいうものの『うろ覚えの知識を披露されても』と困る。Aさんはその写真から悪い感覚を受けなかったので、正直に口にした。
「たまたま映り込んだだけだと思うよ」
それを聞いた友人は、かなり不服そうだった。
『いいことをいったのに何で憮然とした表情なんだ。おかしいな』と思うものの、その場はそれで終わった。
ところが、その友人は大学内で占いができると知られているBさんの元へ同じ相談をしに行っていたーーと当のBさんから後に聞かされた。
「そんな悪いものは感じないし、赤は警告色だと言うけれど、そうだとしても具合が悪いところがあるよという意味じゃないかしら。そこを直せばいいというような」
Bさんの判定を聞いた友人は、Aさんから聞かされたときと同じくひどく不服そうな表情をしていたのだという。Bさんは結構真面目に占いをしていた人だったから飾らずコメントをしたそうなのだが。
Bさんはいう。
「彼女、生活がうまくいかないから心霊写真のせいにしたがってたのよ」
うまくいかないということも、聞くと大したことはない。バイトが決まらない、友人がA評価をとれたテストが自分だけBだけだったーー程度のものだった。
その写真もあちこちの心霊スポットに行ってやっと撮れたものだという。罰が当たりそうなことも結構したそうだ。しかも、テストの結果が出る前に行っていたのだという。バチが当たったテイにしたいということだったのだろう。
この話を聞いた別の占い師の方がこう口にした。
「でもねかぁなっきさん、占い師を頼ってくる人の中には、形や程度は違えど結構な割合でそういう人はいるんですよ」
と。
何か悪いことがあっても、無理矢理他のせいにするのは感心できない。
〈了〉
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出典
禍話フロムビヨンド 第8夜(2024年8月30日配信)
54:40〜
※FEAR飯による著作権フリー&無料配信の怖い話ツイキャス「禍話」にて上記日時に配信されたものを、リライトしたものです。
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