マガジンのカバー画像

怪談拾遺

43
あちこちで聞き集めた怪談を、皆さんに親しみやすいよう紹介します。 手軽に怪談だけ読みたいという方は【 】から下を読んでいただければ。
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

第12夜 つながる・後編

第12夜 つながる・後編

 そのまま載せると、場所の特定や個人にまで影響が及んでしまうので、ディテールを書き換えて創作怪談の体で次にお伝えしたい。

 したがって、今回のタグから「実話怪談」は外してある。

 彦根城は、国宝であるとともに、その周辺では多くの釣り人が糸を垂れる。お城は近くで見ると思ったよりも小さく、それでいてきれいだが、付近を散策すると歴史を感じることがある。それは、今も可憐に花を咲かせる幹の太いサクラや、

もっとみる
第11.5夜 劇画怪談

第11.5夜 劇画怪談

 前後編で書いている話の間に差し込むのはややこしくなるので、避けたほうがよいのは百も承知だが、このタイミングで魅力的な番組がやっていたので皆さんにお知らせがてら。

 4月16日の夜にNHKBSで、怪談師や講談師の怪談をイメージして漫画家さんに描いてもらった絵(漫画)を合わせて流すという実験的な番組『劇画怪談』があった。

 絵も一流で、城谷さんも牛抱さんもぁみさんもすばらしい話だった。何より、B

もっとみる
第11夜 つながる(前編)

第11夜 つながる(前編)

 話を聞き集めていると、怪談とは違うものの、地域性の濃い話題に触れることがある。

 例えば、マガジンの形で歴史小説・白刃にまとめているように彦根には、桜田門外の変で井伊直弼を討たれた彦根藩士が、脱藩して水戸藩に潜入し、首謀者と目される徳川斉昭を暗殺したのだという言い伝えがある。

 調べてみると、桜田門外の変は1860年3月24日で、斉昭公は1860年9月29日に蟄居中の自宅で心筋梗塞のために亡

もっとみる