【第1話 俺、現る】
「おはよう」
まどろみの中で《その言葉》を聞き、俺は目を覚ました。
俺の名前は、冴木 新------。都内の高校に通う、なんの変哲もない学生だ。
唯一、人と違うところがあるとすれば。
それは------
この、隣にいる「もう一人の俺」の存在。
「わり…寝ちまった」
「いいんだ、キミの方がたくさん傷を負ってるからね」
「でも、こんな事件はもう起こしたくないだろ?少しでも早く、これからのことを…」
「あぁ」
------
ある日、俺はいつものように眠たい目をこすりながら、教壇に立つ女性の声、そして黒板に書かれた文字を、脳内で噛み砕きながら手元のノートにペンを走らせていた。
キーン…------
「今日はここまで!明日は五十七ページから。復習しっかりねー!」
俺のクラスの担任も勤める女性物理教師の、いつもと変わらぬ元気な声が部屋中に響き渡る。
これで四限目の授業が終わり、昼食の時間が訪れた。
今年も十月に突入し少し肌寒くなってきたのだが、そんなことはおかまいなしに俺は、いつも屋上で昼食をとる。
理由はシンプル…人がいないからだ。
ウチの学食は都内でも有名な美味さと豪華さらしく、以前テレビでも取り上げられていたほどだ。
不謹慎なことに、四限目の授業を抜け出して昼食にありつく生徒すら少なくない。
故に、この環境下においてすき好んで「自作の弁当」を屋上で一人で食べるような生徒は他にいない。
「...今日はうまく焼けたな」
自分で焼いた卵焼きにぽつりと感想を漏らしていると、そのとき------背後から声がした。
「でも丸いフライパンだとさー、なかなかきれいな形にならないよねぇ」
ッツ------
独り言を誰かに聞かれたうえ、自身の調理における問題点を的確に指摘されたことで動揺した俺は、慌てて後ろを振り向く。
そして、信じられないものを目にすることとなる。
そ こ に 俺 が い る のだ。
怪奇現象の類に興味のない俺でも知っている。ドッペルゲンガー…というやつか?ならば、それを見た俺は死に-----
「ふふふっ、死なないよ」
眼前のもう一人の俺が、まるで俺の思考をトレースしたかのように言葉を発する。
「僕はキミの 分身 で、本体のキミがいなければ存在し得ない」
------?
……はっきり言って 意味不明 だ。
俺とまったく同じ姿形をした人間が、音も立てず背後に忍び寄り---果たしてこの表現が正しいのか?---、俺の思考をトレースしたかのような発言をしたと思ったら、挙げ句の果に《分身》だと?
混乱した脳を必死で整理しながら、この謎の存在に向ける言葉を探す。
スゥ------
「分身か、そりゃあ便利だ。代わりに午後の授業、受けといてくれよ」
俺の口から出たのは、精一杯の強がりの言葉だった。
「いいよ。まだ リンク してるから、代わりに勉強する意味はあるから」
もう一人の俺の口から出たのは、より謎に満ちた言葉だった。
はたと我に返って考えると、この状況、誰かに目撃でもされたら面倒なことになるのは必然だ。
幸い、授業は代わりに受けると言っている。
午後の授業はどちらも得意科目。休んだって釣りが来る。
俺は捨て台詞にも精一杯の強がりを混じらせ、一旦帰路につくことにした。
「ま、頼んだぜ。お前が俺なら、授業についていくのも楽勝だろ」
------
…一体、どういうことだ。
俺は家に帰るなり自室にこもり、考え続けた。
「分身だと?そんな忍者みたいな話があるか。他人の空似…?でも、そうだとしたら、奴の言った リンク という言葉…俺の思考を読んだ言動…どうしたって説明がつかない…」
思考の根は、深く深く沈んでいく。
しかし。
その思考の先に光は無いと、薄々だが感づいてもいる。
そのとき、コンコンッとドアをノックする音がした。
「新?帰ってきたのー?みゆ姉ヒマだからゲームでもしなーい?モノクロの新作、買ったのよー」
声の主は、二つ年上の俺の姉、冴木 美諭------。
今年の春に俺と同じ高校を卒業し、現在は中学時代から継続している芸能活動一本に絞ってやっている------
「ごめん。悪いけど今はやめておくよ。姉さん、今日は仕事無いの?」
「夏は全国ツアーだったでしょー?新曲のプロモーションとかぶってスケジュールがハード過ぎたから、一週間オフがもらえたのよ。あーあせっかく新と遊べると思ったのにー」
「ふっ、学校サボったことはお咎めなしか。姉さんもせっかくオフがもらえたんだ、ゆっくり体を休めなよ」
「ありがと。しょーがない、ブログでも更新するわ」
「それってあんまり休んでる感じがしないけど…」
タッタッ------
姉が俺の部屋の前から立ち去る足音を確認し、再度、あの奇っ怪な現象に思考を戻そうとしたところで、姉の一言が頭にひっかかった。
" モノクロの新作------ "
「…そうか。考えてもわからないことを、考えてる場合じゃないな」
そうつぶやくと、俺はカバンから自前のノートパソコン---かなり年季が入っている---を取り出した。
そしておもむろに電源を入れ、少しのマウス操作のあと、一心不乱にキーボードを叩き続けた。
------実は、《モノクロ》というのは俺が率いるゲーム開発チームだ。
その存在は家族にも知らせず---一部を除いて...だが---、開発したゲームは全てインターネット経由で国内外へ配信し、収益は全てバーチャルマネーで得ている。
身近な姉が、俺の存在と無関係なところで、俺の密かな活動が産み出した作品のファンになってくれていたことは、至上の喜びだ。
俺は、モノクロのリーダーだ。だがそれは、決してリーダーシップがあるからじゃない。
単に言い出しっぺなのだ。
元々、とある伝説的オンラインゲームにハマった事がキッカケで、ゲームマニアの友人が日本各地にできた。
彼らとは、そのオンラインゲームのサービス終了後も交流が続き、あるとき俺が思いつきで発した「このメンバーで、あのゲームを越えるゲームを創れたら、最高ですね」という一言により、あれよあれよというまにモノクロが発足するに至ったのだ。
ゲームを創作する上では、企画、シナリオ、デザイン、BGM等々、様々な要素が必要になるが、それを各メンバーが自主的に担当してくれており、ネット上のツールを通じて成果を共有しながら開発を進めている。
今では、創設時のメンバーにとどまらず、自ら志願しチームに加わった者も増えた。
そしてチーム内における俺の主な役割は、ゲームに機能を実装するためのプログラミングだ。
高校に通いながらのこの活動は、スケジュール的に結構負担なのだが、今日はあの分身とやらのおかげで、年末にリリース予定のタイトルのプログラミングに専念できる------
カタカタ------ッターン------
「ふぅ…今日はこれくらいにしておくか」
作業に没頭し疲労した俺は、最後の力と言わんばかりに強めにエンターキーを叩き、時計を見やると時刻は午前一時を回っていた。
「やっべ、晩飯食ってない」
------?
晩飯を?食ってない?おかしい。この家には、両親と姉、そして二人の妹がいる。食事の時間になれば、誰かが必ず俺に声をかけにくるはずだ…
------まさか...
「その まさか さ。忙しそうだったからキミの夕飯、代わりに食べたよ。ごめんね」
神出鬼没 とはまさにこの事だ。
またも背後に、俺の分身であると主張する存在が立っている。
「…俺は授業を代わりに受けてくれと言ったが、晩飯まで代わりに食ってくれとは言ってないぞ」
頭が混乱していても口から強がりが出るのはもはや才能と言っていいのではないか。
しかし、目の前に立つもう一人の俺はお構いなしに涼しい表情をしている。
「この家に入れて、家族すら本物の俺じゃないと気づかない…お前、一体何者なんだ」
「分身 だって、言ってるだろう?」
「…」
俺は、すでに頭で考えてもこいつの存在の "答え" を出せないことはわかっていた。
強がりもここまでと覚悟を決め、問うことにした。
「------すまん、俺の分身が存在する理由が俺にはわからない。教えてくれ。お前は一体何者で、どこから、なんのためにここに来た」
白旗をあげた俺の言葉に対し、返ってきた反応は予想を裏切るものだった。
「あははっ、ごめんごめん。からかうつもりはなかったんだけど、キミが強がってるのが面白くって」
「は、はぁ?べ、べつに強がってねーよ!」
「言ったろう?まだ リンク してるって。本体のキミが考えていることは、分身の僕にリアルタイムで全て伝わってるんだよ。そして分身の僕がキミに戻れば、それまで僕が見聞きしたことが全て伝わるんだ」
「なっ…」
もはや混乱を通り越した、名も無い感情が俺を支配した。
俺の考えたことがこいつに伝わる?リアルタイムで?
じゃあ今の全くまともに働かない脳で考えてることも、こいつには伝わってるっていうのか?
「分身を産みだす超能力の宿命の一つさ。産まれてすぐに本体と意思のリンクが無いと、活動の指標が無いから」
…このとき、一つのワードが引っかかった。他を差し置いてでも尋ねずにはいられない。
「おい、超能力って言ったか?俺の超能力でお前が産まれたって…そう言ってるのか!?」
「あぁ、そうだよ。キミは手に入れたんだ。世界中に蔓延るインチキとは全く異質の、ホンモノの人智を超えたチカラをね」
「・・・・さ、さらっと言ってくれるぜ…でも、そうでもなきゃこの不可思議な現象は説明つかないな…」
「ま、困惑してるのはひしひしと伝わるよ。でもね、キミは選ばれた人間だ。なんたって、持つ時間が "倍" になるのと同じだからね。ま、厳密には少し違うけど...。とにかく、今日はからかうようなこと言ったけど、基本的に僕はキミの意思で出し入れ自由。好きなときに呼び出してくれて構わない」
…今の俺は、目の前に立つもう一人の俺とは全く異なる表情---恐らくこの上なく素っ頓狂な表情であろう---でこの場にいることだろう。
それほどに、浴びせられる言葉一つ一つが奇っ怪だ。
「ふふ、 "もうたくさん" ってカンジだね。"消えろ"の合図とみなして今日のところは消えることにするよ。バイバイ」
そう言い残し、俺と全く同じ姿形をした男は、煙のように消え去った。
------まだまだ、わからないことだらけだ。
超能力を手に入れたなんて、いきなり言われても現実味など帯びようはずもない。
しかし現実に、そこにもう一人の俺はいた。
そして今消えたのは、《本体》である俺の中に戻った…ということか…
今一度、例えようもなく奇妙な感覚に襲われた俺は、疲労も相まってそのままベッドに倒れ込んだ。
------
翌朝、俺は昨日の一連の出来事が夢だったんじゃないかと思いながら登校した。
しかし不思議なことに、昨日の午後 俺は学校におらず、家では家族と晩飯も食べていないのに、それら日常の記憶が、ある。
《分身の僕が、キミに戻れば、それまで僕が見聞きしたことが全て伝わる》
あの言葉…本当だったのか。
昨晩から続く奇妙な感覚を押し殺して平然を装い、俺の学年の教室が並ぶ棟の廊下を歩いていると、正面から よく知るすまし顔の女性が歩いてくる。
彼女は俺の幼馴染、黒咲 亜矢------。
デザイナーを生業とする家庭で育ち、彼女も例外ではない。
何を隠そう、モノクロのデザイナーを務めてくれていて、唯一、俺とリアルで面識があるモノクロメンバーだ。
デザインのセンス、能力は並じゃないのだが------
「あー、新!ちょっとアンタ今日は熱ないんでしょうね。うつしたりしたら許さないわよ!年末にリリースする新作のキャラデザが佳境なんだから」
歯に絹着せぬ勢いのある物言いが彼女の特徴だ。
過去に口喧嘩で亜矢を言い負かした人間はいない。
「おはよう、亜矢。熱って…なんのこと?俺カゼなんかひいてないぜ」
「おはよ!あら、今日はいつもの新ね?昨日は "やぁ、亜矢さん" とか "僕〜" とか言ってたから、熱でも出したと思ったんだけど」
------ッツ
そうか…昨日突如として俺の前に現れた《分身》は、姿形は全く一緒なのに、口調と一人称がちがう。
昨晩、俺の家族ですらやり過ごしたわけだが、亜矢に気づかれていたとは...
「あ、あぁー、その、あれだ、ちょっと作ってるゲームのキャラクターになりきってみようかなーと思ってさ」
「はぁ?あんなキャラいないわよ!そもそも、あんたがシナリオやらキャラクターやら考えてるわけじゃないでしょー?変なことしてないでよね」
苦しすぎる俺の言い訳に、亜矢のもっともな指摘が刺さる。
「と に か く ! 新作のタイトルは、クリスマスに発売されるハードでも遊べるようにするから気合い入れてこって話になってるでしょう?カゼなんかひいてたら、許さないんだから」
人差し指を立てて俺の胸に詰め寄ってくる。亜矢お得意のポーズだ。
「わかってる。ありがとな、亜矢」
「お礼はいいから、ちゃんと作業を進めなさい。学校にも来るのよ?私も、明日にはキャラのモーションの作り込みが大方終わるわ」
「本当か。計画よりずっと早いじゃないか、一体どんな魔法を使ったんだ?」
「根性よ」
「うへぇ、俺のキライな言葉」
「アハハ、まぁ新も頑張りなさいよ。それじゃ、私一限目体育で、着替えあるから行くわね」
「おう」
------
「お前、相変わらず黒咲と仲いいなー」
急に背後から声がした。まったく昨日といい今日といい、背後からの急な声かけは心臓に悪いことこの上ない。
声の主は同じクラスの友人の一人だ。
「ったく驚かすなよ…。亜矢とは...まぁ幼馴染だからな」
「いやいや幼馴染とはいえ、お前スゲーよ。黒咲はそもそも美人で話しかけにくい上に、いざ話したらあの気の強さだろ?男はみんなビビっちゃってまともに会話したことねー」
------そうか。亜矢とは付き合いが長過ぎるので気にしなくなっていたが、後輩女子がファンクラブを結成するほどに美人なのは、まぁ確かだ。
「ま、お前は姉ちゃんもアイドルだもんなー。美人に免疫あるっつーか。羨ましいぞコノヤロー」
「イテテ、やめろって」
そんな他愛もない会話を繰り広げているうちに、ガラガラと教室のドアが開き、一限目の科目の教師が入ってきた。
「おはよー!じゃあ今日も始めるわよ、五十七ページを開いて」
一限目は俺が昨日学校を後にする直前に受けていた、物理の授業だ。
物理教師は俺のクラスの担任でもある、高橋 理沙------。
気さくな性格と、わかりやすい授業で、生徒からの信頼が非常に厚い。
”りさセン”の愛称で親しまれるほどに生徒との間にカベを作らないため、物理だけでなく、人生相談---とくに女子生徒は恋愛ごとの相談をしょっちゅうもちかけているらしい---をする生徒も後を絶たないが、一人一人に親身になって答えてくれる、理想的な教師だ。
「新君!何ぼーっとしてるの?宿題になってたこの問題、前に出て解答してもらえるかしら?」
ギクッ------
そうだ、りさセンは《宿題》などというおぞましいワードを多用する。
昨日の授業でも、昼食前の気が抜けるタイミングで宿題の提示があったのだった。
俺はそのとき、他の者の例に漏れず昼食前の脱力感に支配されており宿題の提示は聞き飛ばしてしまっていた…。
「はい」
仕方がない。俺はイチかバチか "ぶっつけ本番" の解答を目論んだ。
宿題を忘れたことへのりさセンからのお咎めはせいぜい頭を軽くこずかれるくらい---それ目当てのタチが悪い男子生徒すらいる---で、たいしたことはないのだが、それでも俺のいい加減さが同級生にバレるのは気が引ける...。
物理は得意でも苦手でもないが、宿題に指定される問題は大抵、その日に初めて習得した知識を要する。故に、昨日の記憶を引っ張り出せば解ける問題のはずだ。勝算はある。
さもノートに書かれた内容をを黒板に写しているかのような振る舞いで---もちろんノートは白紙だ---、問題を解いた俺は、固唾をのんでりさセンの第一声に耳を傾ける。
「うん、オッケーね!よくできました!ありがとう新君」
内心、誤答だったら…とひやひやしたがなんとか切り抜けた。これからは、りさセンの話をちゃんと聞いておくようにしよう...と自分に言い聞かせ、自席に戻った。
そして、今日は昨日のような奇っ怪な現象もなく、無事に一日は終わりを告げた。
------
あれから、分身を出現させる機会が数回あった。
いずれも自室内のみにおいて、だが。
部屋の模様替えやら、秋葉原で購入したパーツでジャンクPCを組み立てる作業やら、俺の雑務を手伝ってもらったのだ。
その過程で、少しづつだが分身の存在を受け入れられてきている自分に気がつく。
未だ、超能力と言われてもピンと来ないのは変わらないが、細かいことは抜きにして”俺には分身がいて何かあったら手伝ってくれる”くらいの認識には辿り着いたように思う…。
------
分身が現れてからおよそ二カ月弱。十二月を迎え、季節もいよいよ本格的な冬となった。
今日も俺は家に帰るなり自室にこもり、ひたすらゲームのプログラミングに打ち込んでいた。
年末にモノクロでリリースを予定しているタイトルは、大型のRPGだ。時間はいくらあっても足りない…。
が、分身に授業を代わりに受けさせ、本体の俺は作業を進めるという、初日に使った手段はどうも気が引ける。
学校のある時間帯に、何日も自室にこもりつづけるのは家族の手前難しいし、かといって本体である俺が街に繰り出して作業すれば、一日の中で学校と街で、不自然に俺と二回遭遇する人間が現れても不思議じゃない。
そう言った細かいストレスが、ゲームの品質に大きく影響してくる。
とまぁ、そういった "できない理由" を並び立てはするものの、結局のところ単純に俺があの学校、いや学校で会話を交わす友人や教師たちを好いているから、行きたいだけなのかもしれない。
もちろん俺は人付き合いが得意な方ではないので、一人で過ごす時間も多いが、それでも、賑わいの中での孤独と、誰にも認識されない空間における孤独とでは、比べるべくもない。
なんと面倒くさい性格に育ってしまったことかと自分を呪うことも数知れないが...
そんな思案に耽っていると------突如。
------ブーッブーッ
俺の携帯のバイブが鳴り響いた。
俺は、テキストで届くメッセージの類いは集中の妨げになるため通知をしない設定にしてある。故に、バイブが鳴り響くのは電話の着信だ。
発信者は、黒咲 茂------。
亜矢の父親だ。
「もしもし?」
「もしもし、新くんか!夜分にすまない。単刀直入に言う、亜矢が誘拐事件に巻き込まれた!今警察が全力で捜査しているが、じっと待っていられない。今日の亜矢の行動について、知ってることがあったら教えてくれないか!」
俺の背筋は凍りついた------亜矢が、誘拐?なぜ亜矢が…
「茂さん、落ち着いてください、今日の亜矢の行動で、俺が知ってることは全て話します」
俺は今日、亜矢がどんな行動をし、放課後にどんな予定があると話していたかを伝えた。
「ありがとう、新くん。この情報も警察に伝えるよ。事件が解決したらすぐにキミに報告する!」
そう言うと、亜矢の父親は電話を切った。
娘が誘拐...心中穏やかでいられるはずもない…
そして俺も、同じ気持ちだった。
------亜矢…!
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