ビジネス構築の仲間を探せ!ビジネス・ステークホルダーマップ【企画の道具箱 #10】
ビジネス・ステークホルダーマップと聞いて、読者の皆さんはどういったものをイメージしますか?
例えば、一口にステークホルダーマップといっても以下のようなものがあります。また、活用する場面やタイミングによっても描き方や使い方が変わってきます。
特定のビジネスやサービスに何らかの形で関与する企業、組織、顧客、担当者等の関係性や役割をマップで可視化したもの
PMBOKのステークホルダーマネジメントでいうプロジェクトの関係者や利害関係をマップで可視化したもの
今回は、1つ目の「特定のビジネスやサービスに何らかの形で関与する企業、組織、顧客、担当者等の関係性や役割をマップで可視化したもの」に焦点を当てつつ、新規事業や新規ビジネスを考える初期の場面をイメージしたビジネス・ステークホルダーマップとしてテンプレートとサンプル付きでお話ししていきます。
ビジネス・ステークホルダーマップとは
ここで言うステークホルダーとは、自社のビジネスに影響を及ぼす関係者のことです。例えば、顧客、パートナー社、サプライヤー等です。
これから立ち上げる新規ビジネスを構築する視点で見たときに、影響を及ぼしあう関係者とその関係性を図式化したものがビジネス・ステークホルダーマップです。
似たような図解でピクトグラム等で表現したビジネスモデル図などがありますが、ビジネスモデル図はそのビジネスが生み出す価値とビジネスの収益面にフォーカスしているのに対して、ビジネス・ステークホルダーマップは新規ビジネスを実現する上でステークホルダーとの関係性に着目することで関係構築や実現に必要なヒト・コト・モノが何なのかを明らかにします。
用途・こんな時に使える
それなりの規模の事業やビジネスを構築する際、構築から顧客への価値提供まで自社だけで完結するケースはほぼ無く、他社およびグループ会社が持つ専門性を活かしながらビジネスを構築し事業の形を作っていくケースがほとんどだと思います。
例えば、自社の提供先という視点で見ると必ず顧客がいますし、顧客へ価値を届けるプレイヤーが存在します。仕入れや価値の生産という視点で見ると、他社から仕入れをして自社で加工するケースや、パートナーと組んでビジネスを構築するケースもあります。
ビジネス・ステークホルダーマップを活用することで、ビジネスを構築する座組を考えることができます。
ビジネス・ステークホルダーマップで何ができるのか?
ビジネスのアイデアを実現するために必要なパートナーやサプライヤー、価値を提供する顧客と自社の関係性の仮説を可視化できる
自社の強みが活かせそうな箇所の仮説と補強すべき箇所の仮説を立てることができる
戦略的な提携相手を特定したり、既存のパートナーとの関係を強化するためのヒントを見つけることができる
社内関係者向けに、ビジネスに関与するステークホルダーとその関係性をを簡潔に伝えるためのツールとしても活用できる
作り方
①ステークホルダーの特定
最初に、検討しているビジネスに関与するステークホルダーを特定します。これには、自社を起点に顧客、パートナー、サプライヤーなど、新規ビジネスに影響を及ぼす関係者を分かる範囲で抽出します。
検討中の新規ビジネスを実現する上で、自社にないケイパビリティが必要であればそれらを補う企業、製品、サービスといった観点で考えます。
取引先や協業先となるパートナーが複数存在する場合、役割単位でステークホルダーをグループ化すると整理がしやすくなる場合もあります。
どこまで抽出したらよいのか?はなかなか難しいところですが、ひとまずプロジェクトチーム内で出しきった状態になればOKです。
②各ステークホルダーの関係性を明確にする
新規ビジネスを構築するにあたって、各ステークホルダーにはどのようにビジネスに関わってもらうのが理想かを表現します。それぞれのステークホルダーがビジネスに対して持つ利害関係やニーズを明確にします。
ここでいう関係性とは、ビジネスを構築する上で相互に提供し合うもので、ヒト・コト・モノの授受を指します。
③関係性を図式化する
ビジネス・ステークホルダーマップの形に図式化します。
自社を中心に配置しステークホルダー間の関係性を線や矢印で示します。ビジネス・ステークホルダーマップは、シンプルに表記し誰が見ても共通認識が持てるように表現します。
自社が関係する流れは、青線として具体的な関係性を記載します。
自社が関係しない流れは、ステークホルダー同士で影響し合っている場合にグレーの線で記載しておきます。このグレー線を記載をしておくことでステークホルダー間での需給の関係があった際、課題の有無を考察する際に役立ちます。
④必要に応じて随時更新する
ビジネス・ステークホルダーマップは随時見直ししていくことを推奨します。プロジェクトのフェーズが進んだり、事業ステージが進んだりして解像度が上がってきたらビジネス・ステークホルダーマップを随時更新していき、ステークホルダー軸で持続可能なビジネス展開を目指します。
作り方のコツ
テンプレートとサンプルはこちら
おわりに
ビジネス・ステークホルダーマップはこのツール単体で何かを成し遂げる訳ではありません。複数のステークホルダーを巻き込んで顧客へ価値を提供することが主流である現代において、関係者を明らかにして適切な関係者の協力を仰ぎ、共創していくことがビジネス成功の要諦と言えます。
ビジネス・ステークホルダーマップを活用することで、取り組みを前進させるヒントが得られるかもしれません。
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