プレスリリース先行で企画を作るAmazon流のやり方【企画の道具箱 #7】
みなさん、こんにちは!
いきなりですが、Working Backwardsって聞いたことはありますか?
Working BackwardsはAmazonのイノベーションメカニズムと言われる方法論です。
Amazonのイノベーション??
AmazonはKindleやEcho、Fire TVなど様々な製品をリリースしてヒットさせていますよね。そんなAmazonが使っているのがWorking Backwardなのです。
今日はこのWorking Backwardsの主役とも言えるプレスリリースの書き方とサンプルを紹介していきます。
Working Backwardsの考え方
プレスリリースの解説に入る前に、まずはWorking Backwardsに軽く触れておきます。
問題解決や企画立案では、つい現状から出来ることを辿って目標に向かって考えてしまいがちですが、Working Backwardsでは逆のアプローチを取ります。顧客が得る価値や具体的な目標を先に考え、それを実現するためにはどのような前提条件やステップが必要かを検討していきます。Working Backwardsは一言でいうと「顧客を起点に考えるアプローチ」なのです。
Working Backwardsにおけるプレスリリース
では、プレスリリースとは何なのか?
Working Backwardsにおけるプレスリリースは、HPなどで対外的に新製品や新サービスを発表するものではありません。
プレスリリースというフォーマットを使い、いずれプレスリリースを出すことを想像しながら、製品やサービスによって顧客が得る価値や具体的な目標を明確にするものです。
シンプルな文章で言語化することで、内容もブラッシュアップされますし、綺麗な図やスライドでごまかすこともできません。
プレスリリースを書く前の準備
プレスリリースを書く前に忘れてはいけないことがあります。「顧客は誰なのか?」「顧客の課題は何なのか?」「ソリューションは何なのか?」という3点を定めることです。この3点がないと、プレスリリースを書き始められないので、事前にしっかりと検討してください。顧客像は別記事で公開しているペルソナシートなどを活用して具体化してください。課題とソリューションについては、今後の連載の中でツールを紹介していく予定です。
プレスリリースの目次例と書き方
それでは、プレスリリースの書き方を説明していきます。Amazonで利用されているものとは若干異なる部分もありますが、弊社で実際にコンサルティングの現場で利用している目次例で解説していきます。
タイトル
その名の通りタイトルです。「XX株式会社、XXにて顧客体験を一新するXXをリリース」など、プレスリリースのタイトルを書きましょう。サブタイトル(キャッチコピー)
製品やサービスのキャッチピーを記述します。コピーライターのような斬新なキャッチコピーは難しいにしても、製品やサービスがもたらす価値を一文で表せる文章を目指したいところです。サービスの要約
対象顧客やサービス概要、提供価値などを記述します。ここがプレスリリースのコアになりますので、分量も最も多くなるはずです。課題
対象顧客が抱えている課題を記述します。課題解決
課題に対してこの製品やサービスのソリューションを記述します。リーダーの声
自社のリーダー(社長や役員)が、この製品やサービスが自社にとってどのような位置づけのものと捉えていて、どのようなことを期待しているのか、想像して記述します。ここは自社にとっての価値を明確にするパートです。複数人(例えば社長・事業部門の執行役員・DX担当の執行役員など立場の違う人の視点で)のリーダーの声を記述することで、より自社にとっての位置づけが明確になることもあります。お客様の声
対象顧客がこの製品やサービスを利用した際のお褒めの言葉を想像して記述します。ここは顧客が享受する価値を明確にするパートです。複数人(一つの製品やサービスでも顧客のセグメントや顧客の立場によって感じる価値が異なる場合もあるので)の対象顧客の声を記述することで、より価値が明確になることもあります。次のステップ
対象顧客がこの製品やサービスの利用を開始するために何をすればよいか記述します。自社と顧客との間のチャネルを明確にするパートです。今後の展望
この製品やサービスがどのようなロードマップを描くのか記述します。提供開始日
この製品やサービスのローンチ日を記述します。この段階でローンチ日を決めることは難しいですが、ここで書いた日を全力で目指していくことになります。
プレスリリース作成のコツ
プレスリリースを書くコツを「内容」「作り方」の視点から挙げてみます。
内容の視点からのコツ
プレスリリースの内容で大切なのは「手触り感があるか」「ワクワクするか」ではないかと思います。
「手触り感があるか」は、利用シーンやお客様の声などを具体的にイメージできるかです。「ワクワクするか」は、読み終わった時に素直にワクワクするか、利用してみたいと思うか、という感覚です。
社内でしか利用しない資料ですし、綺麗な言葉で書く必要もありません。ラフな表現でもよいので「伝わる」ことを重視して、手触り感がありワクワクするプレスリリースを目指してみてください。
作り方の視点からのコツ
プレスリリース作成にあたり、数人でそれぞれプレスリリースを書いて持ち寄り「いいとこ取り」するケースと、誰かひとりが書いたものをみんなで赤入れするケースがあります。どちらがおススメかというと、個人的には後者です。なぜかというと、全員の意見の総和的なものを作っても、往々にしてそつないものになるか、何がコアなのか分からない肥大化したものになってしまいがちだからです。
最も熱意がある一人の担当者(後のリーダー)が自ら手を挙げ、真剣に考え抜いて書いたプレスリリースに勝るものはないのではないかと思います。
サンプルはこちら
おわりに
今日は、Working Backwardsの中核、プレスリリースについてご紹介しました。BtoC・BtoBを問わず使えますし、社内での企画などでも大いに力を発揮します。様々な場面において「まずプレスリリース」を書いてみてはどうでしょうか。ではでは、またお会いしましょう!
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