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意思決定の壁を乗り越えろ!ステージゲート【企画の道具箱 #18】

みなさん、こんにちは!
企画フェーズにおいて、「アイデアの状態から詳細な検討に進んでよいのか」「企画から実行フェーズに進んでよいのか」といった判断に悩まれる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、企画における意思決定を体系的に進めるためのステージゲートの考え方についてご紹介します!


ステージゲートとは?

意思決定に必要な判断基準を体系的に整理したもの

ステージゲートとは、新しい商品やサービスの企画から市場投入・展開におけるプロセスをいくつかのステージに分け、そのステージをクリアするための判断基準(どのような検討事項をどのレベルまで完了するのか)を明確化したものです。各ステージにおける検討を終えたタイミングで、ゲートをクリアできるか(Go/NoGo)評価します。
ステージゲートを用いて各ステージにおける判断基準を明確にすることで、意思決定者とメンバー間で検討事項やその深さに関するギャップが生まれることを防ぎます。


用途・こんな時に使える!

検討事項の抜け漏れや手戻りを防ぎスピードを上げる

新商品やサービスの企画というものは不確実性が高く正解が無い中で取り組むものですので、メンバーによって検討するべきだと考えている事項やその深さが異なるケースが多々あります。意思決定者からしても、何を基準に判断したらよいのか分からず、メンバーから報告を受けるたびに情報が揃っていないような気がして意思決定できない、結果スピードが出ない、といったことも発生します。
企画の早い段階で、ステージゲートの設定やその中身を意思決定者を含むメンバー間で合意しておくことで、後から検討事項の抜け漏れや手戻りが発生してしまうことを防ぎ、企画をスピードアップさせます。

限られたリソースを集中させられる

企画に対して、常に潤沢なリソースを割けるケースというのは少ないです。時には通常業務も抱えながら、限られたリソースで企画に取り組むことが多いでしょう。そのような場合に、その時点で検討するべきではない事項や検討してもムダになりやすい事項にリソースを割くのはもったいないです。
ステージゲートを設定して、今自分たちは何をどの深さまで検討するべきなのか明確にしておくことで、限られたリソースを必要な検討に集中させ、最大限の効果を狙うことができます。
また、筋の悪い企画にいつまでもリソースをかけるわけにはいきません。ステージゲートを設けることで、検討の途中で芽が出ない企画をふるい落とすことができます。


ステージゲートの紹介

具体的なステージの区切り方や検討事項については様々な考え方がありますが、この記事ではウルシステムズがプロジェクトにおいて使用する頻度が高いステージゲートをご紹介します。

ステージゲートの区切り方

下記画像のようにステージとゲートを設定します。ここでは簡単にステージとゲートの説明をします。

ステージ

  • アイデア創出・・・ぼんやりとしたアイデアを言語化して、対象顧客・顧客課題・ソリューションなどの仮説を整理する

  • プランニング・・・対象顧客や顧客課題の深堀を行い、具体的なソリューションの検討を行う。併せて、企画の実現性があるか、収益性が見込めそうか整理する

  • PoC・・・MVPを用いたPoC検証を行うなどして、プランニングよりも具体的に実現性と事業性を検証する

  • 市場投入・・・事業計画策定や法令・リスク対応等、商品やサービスを市場に公開しても問題がない状態へ整備し、実際に市場に投入した結果得られた収益性や実現性を測定する

  • 展開・拡大・・・組織体制の準備やトレーニング、システム(特に非機能面)の検証等、一つの事業として展開できるよう準備し、事業の展開・拡大を目指す

ゲート

  • Gate1:企画開始判断・・・アイデア創出~プランニングの間に設定
    ⇒企画に進むべき筋のよいアイデアか判断する

  • Gate2:PoC開始判断・・・プランニング~PoCの間に設定
    ⇒コストをかけた検証に進むべきか判断する

  • Gate3:市場投入判断・・・PoC~市場投入
    ⇒サービスが市場投入に耐えうる状態になっているか判断する

  • Gate4:展開・拡大判断・・・市場投入~展開・拡大
    ⇒サービスが一事業として成立するか判断する


各ステージゲートで何を判断するのか

どのステージゲートにも共通して、「魅力性」「実現性」「収益性」「事業リスク」「ポリシーフィット」の大きく5つの観点を判断します。通過していくステージゲートによって、5つの観点の詳細が変わっていきます。
基本的にはご紹介するステージゲートをそのまま使用することができますが、企画の内容や状況によって検討事項は変わる可能性があるため、検討事項そのものも意思決定者と合意しておくのが良いでしょう。
※詳細は数が多いので記事本文中では書きおこしません。下記画像や記事の最後のテンプレートを参照してくださいね。

魅力性

  • 簡単に言うと、商品やサービスが顧客を惹きつけるものかどうか、という観点です。

  • 対象顧客や顧客課題、提供価値が具体的か、顧客体験が抜けもれなく現実的な手段に落ちているか、といった内容を判断します。

ステージゲート「魅力性」

実現性

  • 商品やサービスが、自社の組織や能力、現代の技術で実現できるものなのか、という観点です。

  • 必要な組織・体制が確保できるのか、システム・技術が現実的なものなのか、法的に他社の権利を侵害していないか、といった内容を判断します。

ステージゲート「実現性」

収益性

  • 企画がビジネスとして成り立ち、収益やコスト削減等自社にとってメリットをもたらすものなのか、という観点です。

  • 期待効果を定性的/定量的に言語化できているのか、数値目標と照らし合わせた時にどうなのか、といった内容を判断します。

ステージゲート「収益性」

事業リスク

  • 新しいことに取り組むうえでのリスクや既存事業への影響の洗い出し、評価、対策の検討がされているか、という観点です。

  • 事業リスクは市場の動向や社会情勢によって変化していくものなので、どのステージにおいても改めて確認するべき事項です。

ステージゲート「事業リスク」

ポリシーフィット

  • 商品やサービスが自社の戦略や方向性と合致しているか、という観点です。商品やサービスを検討していると、最初のうちは自社の戦略や方向性と一致したものを考えていることが多いですが、だんだん時間が経つにつれて、収益性や実現性に目が行きがちになり、自社の戦略や方向性と離れた企画が出来上がる可能性があります。
    そのため、各ステージで自社の戦略や方向性と一致しているのか改めて確認します。
    ※自社の戦略や方向性と一致していなければゲートを通れないという訳ではない場合もあるかもしれませんが、そのような場合には自社の戦略から外れたことを実行するに値する理由をつけるようにしましょう。

ステージゲート「ポリシーフィット」

テンプレートはこちら

ステージゲートの詳細が記載されたテンプレートはこちらです!ぜひ活用してみてくださいね!

📋テンプレートとサンプルの利用規約はこちらを参照してください。

判断材料はメンバー内で検討するだけでなく、実際の顧客の声を聞いて材料を集めることも非常に有効です。顧客の声を聞くことで、より解像度を上げられたり、実現性のエビデンスを高められたりします。顧客検証計画の作り方については、ぜひこちらの記事も読んでみてくださいね。

おわりに

今日は、ステージゲートの考え方をご紹介しました。
ステージゲートを新しい商品やサービスの企画に取り入れることで、スムーズな検討と意思決定ができると良いですね!


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