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daraz
実験ノート① Webの不定性について
Web媒体の最も不思議な点に、その「不定性」がある。何を書いたとしても(その気になれば簡単に)後から編集可能なことは、時に奇妙に思われる。
それが妙に気にかかるのは、何かしらの「賞レース」。
その賞が確定した後にも、書き手が一部を書き直したくなっても不思議はないと思うけど、もしそれを許せば、その作品は評価時点と完全には同じものでなくなってしまう。(1)
もっと卑近な例で言えば、この記事がいいものだったと仮定して、あなたが評価(例えば、いいね的なこと)をしてくれた後に、僕の気が触れて、鬼のような長編小説に変貌を遂げないとも限らない。ありえる。そして妙なのは、もしそうなったとしても、あなたの評価はリセットされないことだ。
結果的に、あなたが評価時点で下した行為(過去の事実)さえも「今見えているものに対する評価」として、更新されることになるのではあるまいか。平野啓一郎さんの「マチネの終わりに」の表現を借りれば、未来によって過去が変えられてしまう。文字通り。
これが何だかとても奇妙な感じがする。
原因と結果の繋がりが切れた感じというか。いや、まさにそれは実際に切れている。後の事実(編集後の記事)が、最初の事実(編集前の記事)をその他の関係性をそのままに塗り替えている。例えるなら、後から現れた誰かが僕になりすまし、僕の過去の告白によって付き合った彼女とデートをしているようなものである。に、逃げてーーー。まぁ、おらんけども。
これはWebという媒体特性でもあるのだけれど、なんだか、いささか奇っ怪にも思うところであります。
(以上)
以下②に続きます
補遺
1. 文言がちょこっと変わる程度の軽微な変化なら、その文章の本質的な価値や意味は変わらない(評価には障らない)という前提に乗っている or 乗るしかないのだろうか
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