とある地元のとある夜
この夏、地元の奈良に帰省した。そのほんの一幕、とある地元のとある夜の出来事をしたためたい。地元に漂う〝おぼろげな幸せ〟みたいなものが伝えられたらなと思う。扉絵はルノワール。幸福の画家。
僕の地元の奈良県生駒市は、隣接する大阪への往来が盛んなエリアで、おおよそベッドタウンと呼んで差し支えないだろう、人口10数万人の地方都市である。そんな街に住む一部の若者は、大阪方面から最寄り駅に終電間際で帰ってきては、少し寝静まった街を、黙々と家路を辿ることになる。そんな道すがら、奇しくも反