春の恋(2024年4月14日(日)の300字小説)
「花ちゃん最近可愛くなったね」
友達の佐和子ちゃんにそう言われて、嬉しいけれど照れ臭かった。
「そっかな。最近ね、好きな人ができたの」
「まあ! 良かったね。どんな人?」
彼が大学に入学してきた新入生で年下なこと、背が高くてちょっとだけ斎藤工さんみたいに見えることなどを話した。
「サークルに入部してきたんだよね」
「花ちゃんのサークルって」
「うん、ミステリ研究会」
「……それはアクが強そうだね」
否定できないところが辛い。
「でも、三大ミステリが好きらしいから、普通だよ」
「普通の人は三大ミステリを知らないよ……」
ミステリ界隈に長くいると、何が普通か分からなくなる。私も結構毒されていると思う。
おしまい