見出し画像

イカフライといいちこ(2024年3月31日(日)の300字小説)

 友人の小夜子がなんだか何かに悩んでいるようなので、聞いてみたら、
「父親の様に慕っていた人が急に男を出してきた」というものだった。
 これには開いた口が塞がらない。
 まず、小夜子が勝手にその男性を父親化していたところが身勝手だと思った。どうやら、それだけ年が離れているらしいのだが、話によると相手男性は独身なので特に問題はないだろう。
 小夜子が感じている、キモイという感情にも理解ができるが、私は相手男性に同情を禁じ得なくなっていた。
 私が言えたことは「そんなに嫌なら、距離を置くしかないね」みたいなことだったが、いつの時代も男も女も勝手なもんだな、と私は思いながらイカフライでいいちこを飲んだのだった。
おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?