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自転車ヘルメットが大事な話
実は、この夏の盛りに、ヨーヨーは怪我をした。
パパと虫の観察に出かけた夜の公園で、電チャが倒れた先に運悪く石があり、額を切った。大出血で救急車を呼び、二針縫った。
まとめるとこんなもんだが、その時は両親揃ってパニック。更新をめんどくさがって3歳すぎなのに前かごにのせてたとかノーヘルだったとか、いろいろ反省どころもあるため、こうして書くレベルに心が整理できるまでに数ヵ月を要した。
血の量におののきながら119番したら救急車はすぐにきてくれたが、新生児もいるためわたしは一緒に行けず、パパが同行した。
家族の感情の起伏を察してワンワン泣くあーちゃんをだっこしたまま、血だらけのシャツとタオルを前に、しばらく呆然とすわりこんでしまった。
最悪のことを考えると、体が痺れて、あーちゃんをあやすこともできなかった。
マンションの割りと近くには消防署があり、普段は気になるほどではないが、耳をすませば、出動する救急車の音が聞こえる。
ピーポーピーポーという遠い響きが、ヨーヨーが帰ってくるまでの数時間ばかりは敏感になった耳にはりついて、週末の夕暮れ時、その音が絶え間なく響いているということに気付かされた。
最初のパニックの波が過ぎると少し落ち着いた。額からの大量の血に脊髄反射で電話しちゃったけれど、意識があって嘔吐もない子のためにご多用な救急車を呼んでしまってよかったのかなあ。いや、でも、あんな血まみれでタクシーもないし、と、また悪いシナリオが脳裡に忍び寄ってくると、ゾワゾワした。
その日の昼、久しぶりにヨーヨーと二人でお散歩したとき、帰り道に歩き疲れて抱っこして欲しがったのに重いから歩かせてしまったことを思い出した。ああ、何で甘えさせてあげなかったんだろうとか。
幸いなことに、数時間後には、おでこを縫ったヨーヨーが思ったよりかなり元気に帰ってきた。
「公園でイテテーして、泣いたの。救急車にはベットがなかったよ。」と。その後もしばらくそこをくりかえし教えてくれたので、彼としては「救急車にはベットがなかった」のが印象的だったようだ。
お気に入りの乗り物解説絵本では、救急車のなかには怪我した人が寝ているのだが、パパに抱っこで劇泣きしながら運ばれて行ったので、ストレッチャーがベットには見えなかったようなのだ。
無邪気に「また、救急車のりたいね!」なんていうのは「いや、あれは乗らない方がいいやつなわけよ」と教えるのに苦労したけど。
幸い、大事には至らなかったけれど。
ヨーヨーはいまだにママチャリに乗るのをちょっとだけ怖がる。そして、町でヘルメットをかぶってないママチャリライダーを見ると「あの子、ヘルメットかぶってないよ、あぶないねえ」と大声でいう、ヘルメット意識の高い男の子になった。
いや、まじで。もうあんな思いはまっぴら。
ヘルメット大事っていう話。