キャリコン学者3大重鎮のひとり - シャイン

キャリコン試験を受けるなら、3大源流とは違うけど、3大重鎮とでもいうべき学者がいると私は思っています(そんな話は聞いたことないけど)。それくらい必ず試験に出るのが、ロジャースと、スーパーと、今回紹介するエドガー・シャイン博士。とにかく試験頻出です。

個人のキャリア開発の本質は「内的キャリア(主観的な、時の経過に伴う個人と組織の相互作用に焦点をあてたキャリア)」「外的キャリア(客観的な、仕事の内容や実績、組織内での地位)」の両方の側面から考えていくべきというのがシャインの論旨です。

そして、MITスローンの45人の教え子たちの追跡実験・調査を行って、個人が職業に関して持つセルフ・イメージを内的な「キャリア・アンカー」として、以下8タイプに分類しました。

キャリア・アンカーは「価値観」・「スキルや能力領域」・「動機と目標」の3つの要素から構成されるものですが、ポイントとしては、これはアセスメントツールやテストではありません。「このアンカーならこの種の仕事が向いている」と薦めるためのものではなく、あくまで、個人が自己理解を深め、自分の特質を伸ばしていくためのセルフイメージです。平易に言うと「あなたは、自分のキャリアにおいてどんな軸を大切にしていきたいですか?」という問いに対する答えです。

1. 専門・職能別コンピタンス(Technical/Functional competence)、
2. 全般管理コンピタンス(General Managerial competence)、
3.起業家的創業性(Autonomy/Independence)、
4.保証・安定(Security/Stability)、
5. 自律・独立(Entrepreneurial Creativity)、
6. 奉仕・社会貢献(Service/Dedication to a cause)、
7. 純粋な挑戦(Pure Challenge)、
8. ライフスタイル(Lifestyle)

キャリア・アンカーは経験と学びを通じて醸成される概念なので、どちらかというとキャリアの中盤以降の大人のキャリア分析に役立つものです。実務経験の少ない若い人は、プライオリティをつけられず全部大事だよといいたくなるかもしれません。

たとえば、わたしは若い頃は、某コンピタンスが自分にとって一番大事と思っていましたが、それは手にいれてはじめて、実は自分にとって大事なのは違うもののようだと気づきました。そこで方向転換したのですが、それまでに頑張った経験は全く無駄ではなく、思いもしなかった形で今の私を支えています。

途中で方向が変わるとかブレるとかもありなのです、人間だもの。でも、時間の経過とともに過去に選択したことに対する責任を回収していくのが人生というもの。限界だらけの自分なりにその時のベストを考え尽くしてきたという納得感が、すごく大事なのです。

人生に、キャリアに、情報不足の中で何かを選ばなければならないという決断の時はつきものです。分岐点に立つ時、それぞれの道の先にどんな未来が待っているかはわかりません。あるいは確率論としてある程度のシナリオの予測はできたとしても、唯一無二の自分がどうするかは自由です。そこで「なぜ、それを選ぶのか」を自分に問う時、キャリア・アンカーを考えることがヒントになるのです。

キャリアは環境と自分の相互作用事案です。だから、大事な意思決定に際して、どうしたいかを考えてもグルグルと同じところを回ってしまったり、自分でなく他人がどう思うかしか考えられない穴にハマってしまう人も少なくありません。そんな時は、キャリコンの実務の中で、来談者と共にそのキャリアアンカーを調べることが役に立ちます。

シャインの理論は汎用性の高い良いスキームで実務でも役使えるので、ここで説明していない、内的キャリアの9段階の発達ステージや、外的キャリアの「キャリア・コーン(組織の三次元モデル)」、「キャリア・サバイバル」、「オープン・プランニング・システム」なども理解して試験に望みましょう。

どなたさまも、シャイニーなライフ・キャリアを。

博士の綴りは「輝き」さんではない。念のため。

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