旦那の唯一の趣味をぶち壊しかけた話
先日アクアリウムショップの近くを通った時に、思いついて小さな巻貝を3匹、買いました。
うちの小さなビオトープの住人には、1.5センチくらいの貝をお掃除係として数匹いれていたんだけれど自然に減ってきてしまったため「もうちょっと足してもいいね」と、水槽の持ち主の旦那と話していたので。
で、ボッチャンと放り込んで事後報告してたところ、翌朝気が付いたら、ミナミヌマエビ(最初の5匹くらいから100匹超に増えた)が10匹くらい水槽から飛び出し、干物になっていたのです。のこりのやつらも水面近くに密集していて、ちょっと気持ち悪い状態。そして水の様子が明らかにおかしい。濁っていて、変なにおいもする。
わ、たた、旦那、てーへんだぁ〜!
と、たたき起こしました。
ビオトープの澄んだ水が維持されるのは、良いバクテリア安定して働いているからなんだけど、何かの拍子にバランスが崩れると悪いバクテリアが急増して酸素濃度が下がる。すると住人たちが苦しくなって死んだり暴れたりする。そこまでは推測できたけど、その原因がわからない。
おもいあたる引金は3つ。
①急に暑くなってきて水温が上がりすぎたから。何年か前に、それでエビが絶滅したことがあるのです。以降、夏には「すだれ」をかけるようにしてたんだけど、今年はまだ大丈夫と思ってた。
②十分にカルキ抜きができていない水のせい。普段は3日組み置くものを使うのに、たまたま1日しか置いていない水を使ったらしい。それで善玉バクテリアが死んでしまったのかも。
③新入りの貝のせい。私が買ったヒメタニシは基本的にはメダカやエビとの大人しく共生する掃除屋さんだけど、自然採取のものは農薬やウイルスがくっついてたり、環境変化に驚いて泥を吐いたりするらしい。
いやぁ、圧倒的に③があやしいっすよ。うひゃあ、絶対おらのせいだよ!!
ショップのきれいな水槽に入っていたけど、入荷したてだったのかも(・・・こうなってからネットで調べて始めて知ったわけ。)
ウイルスだったら手遅れかもしれないけれど、とりいそぎ3個のタニシを小さい水槽に隔離し、悪臭を放つ汚染水を汲み替え、砂礫の片隅を掘り起こして中に定着していた善玉バクテリアたちに出動してもらい、フィルタをきれいなものに取り換え、エアレーションが起きるよう濾過器の位置を高めに調整しました(ぜんぶ、旦那が。)
さて、私は買った貝の種類さえよく分かってなかったわけですが、ここにきてはじめて、元から水槽にいた貝たちは、実はタニシではなくイシマキガイだったことも知りました。旦那いわく「こだわって珍しいやつを買ったからちがうよ」だって。よく見たら確かに全然かたちが違った。
ちっちゃな貝にそんなに種類があるなんて知らなかったんだよぅ…。
彼は、私の事後報告に「あー、あぶないかも」と思ったけど、大丈夫かもしれないからまずは黙って様子をみてくれていたようです。でも、やっぱり事件が起き、私がけっこう落ち込んでたところ「まあ生き物かっているといろいろあるから」となぐさめられました。
幸い翌日には、みるからに水質が改善されて、エビたちも普通の様子に戻ってきました。ヒメタニシが理由でも、多分泥か農薬か。とりかえしのつかない最悪の病原菌ではなかったみたい、
ほっ、冷や汗かいたぜ・・・。
そして、もうひとつサプライズが。
小さな水槽に隔離していたヒメタニシが、一晩のうちに増殖していました。親貝3匹のほかに5ミリくらいの赤ちゃん貝が3匹!!!
ヒメタニシって胎生なんですね。メスは一度の交尾で複数の精子を取り込み、成熟した順にひと夏で30匹以上の赤ちゃん貝を産み出すらしい。調べたら全部メスだったので、1匹が3匹産んだのか、それぞれ1匹づつ産んだのかはわからないけどとにかく合計6匹になった。
で、今日はその赤ちゃんたちを元の水槽に戻しました。隔離水槽にはエビを何匹かテストで入れて様子を見ているけれど、元気なので、母ちゃん貝たちも、いずれ戻してもよさそうです。
それにしても、酒も飲まない車も飛ばさない仕事人間の旦那の、唯一の趣味と言えるのが小さな生き物を飼うことなのです。毎週末せっせと手入れして、何年もかけて安定させている小さなビオトープをわたしが無神経にぶち壊しかけた。
これが逆なら私は大騒ぎしそうだなと思うんだけど、彼は全く怒らなかった。ちょっと惚れ直しました。