
Norway - Day 02: Spartan Début at Hafjell
English summary follows under the pictures
乗り物を間違えてスパルタン・デビューした話
リレハンメル(Likkehammer)というと1994年の冬季オリンピックを思い出す人もいるかも知れません。オスロからは車で北へ2時間半の湖畔の街。
リレハンメルと一口に言っても様々なウィンタースポーツのゲレンデがあるのですが、今回私たちが行ったのはハフェル(Hafjell)というスキー場。

到着日は特に極寒(最低気温−24度)で、数日前から来ていた友達家族もその日は早めに切り上げていたほどでした。
でも翌日は気温が急上昇(といってもまだ氷点下)して、夜のうちに降った雪がフカフカに積もったゲレンデは最高の状態でした。車に積もった雪もサラッサラです。

朝一番に車で10分ほどの一番下の駐車場に降りて、レンタルや諸々のセットアップを終えたら、11時に「ゴンドラで一番上まで上がったところ」で友達家族と待ち合わせをする約束をしました。初心者の練習にちょうどいいゲレンデやカフェが集まるエリアがあるそうで。
駐車場の仕組みを理解したり、3日間のスキーパスを購入したり、併設のショップで子供のゴーグルを買ったり、予約してたレンタル用品受け取ったりしてるとなんたかんだでだいぶ時間がかかりました。
ちなみにスキーするのにはこちらはヘルメット着用が基本みたいで、9割くらいの人が被ってました。日本でも最近はそうなの?(誰もそんなもの被ってなかった20年以上前しか知らないのでびっくりしました)
さて、そんなこんなでようやくゲレンデに出ると、すぐ目の前のにリフトが。よし、これだな!と勇んで乗りました。

が、終点まで行ったけど、周りにはなんにもなくて、すぐ目の前に乗り継ぎのリフトがありました。「一番上」ってことは、さらにこれで上まで行くんだなと思って乗り継いだ先は、あらやだ、もっと違う感じがする!霧も濃いし、人、少ないし!!
というのでようやく変だぞと気づいて携帯を見たら、とっくに11時は過ぎていて、友達から「どこにいるの?」のメッセージが来ていました。
地図を見て、間違ったところに来てしまったことが確定。スキー場の地図で言うと、ゴンドラでこのグリーンの移動をしなければならなかったところ、リフトでイエローの移動をしてしまった!詰んだ!!

まわりの人たちに聞いたら、みんなが待つエリアまでは初心者向けのコースで降りられるらしい。けど、目の前の急な斜面、私も降りられる気がしない。リフト着地に2回とも失敗して転んだ娘は、すでに泣いている。
だからリフト係のお兄さんに相談して、降りるのにリフトを使ってもいいよって言ってもらったのに…
ところが、そこで突然謎のスイッチが入ったぎゅうちゃんが、「絶対に滑って降りる!リフトはありえない!」と言い出した。
いや、私の運動音痴を知ってるよね?子供二人とも号泣してるんだけど!あなたも数十年ぶりで自信ないっていってたよね?
パニックになる私を尻目に、覚醒してしまったぎゅうちゃんは、有無を言わさぬ勢いでズザーッと滑り出したのです。え〜!
普段からママよりパパのほうが頼りになると知ってる子供たちは、泣きながら後を追う。すぐに転んで倒れたままザザーっと斜面を滑りおちる。ちょっ、待って〜!!

仕方ないので、私は斜面に対して直角にスキー板を噛ませ、へっぴり腰で後を追う。足が絡まって動けなくなって泣いてる娘のところまで何とかたどりつくが、自分が立っているのに精一杯で助け起こせない。もう〜!!
ぎゅうちゃんは豪勢に転んで滑り落ちを繰り返す息子を追ってどんどん先へ。娘と私は置いて行かれてしまった。ひどい!もしこれが結婚前だったら絶対別れるやつだ!!
と、17年遅れの後悔をしていた私の目の前に、救世主が現れた。
オスロ在住でクロスカントリーが趣味の友達が、さっきのメッセージで場所を聞いて、来てくれたのだ。
そして、娘に、倒れた時に板の方向を合わせて立ち上がる方法、エッジをきかせて斜面に立つ方法、横歩きで少しづつ降りる方法、板をハの字にしてゆっくり滑るボーゲンの方法などを、ステップ・バイ・ステップで、優しく根気強く教えてくれた。
ママが相手だとメソメソ泣き続ける子が、他の大人が来たことで少し落ち着きをとりもどしてアドバイスを聞いて頑張るので、めっちゃ救われた。横で聞きながら私も基本を思い出した。本当にありがとう・・・。

そんなこんなでわたしたちは、ゴンドラの終着駅まで、普通に滑れば10分もかからない距離を1時間半以上かけてなんとか降りきった。
レストランに入って携帯をチェックしたら、息子とパパは50分くらいで先に降り切ってすでにランチを食べ、私たちが到着する頃にはまたリフトで上に戻って同じコースにチャレンジすることにしたようだった。
後で聞いたところによると、息子は、転んでも痛くないと分かってから、俄然楽しくなったらしい。パパと一緒にガンガン転びながら滑っていって、最後は駐車場に向かう途中のコースで偶然、友達家族と合流して、直接ロッジにスキー・インした。
だけど、ベテランの友達が助けに来てくれなかったら、きっとずっと私と泣きながら降りるしかなかった娘は、疲労困憊。「人生で一番頑張った」と言って、カフェでぐったりのびてしまった。そうだね、ほんとに大変なデビュー戦だったね、よくがんばったよ。今日はもうロッジに引き上げて休もう。

ちなみに、この話を日本の昭和の友達にしたら、彼女も子供の頃、初めてのスキーで八方のコブだらけの急斜面に連れて行かれ、お尻があざだらけになってスキーが嫌いになったと言っていた。それに比べるとまだ、雪がふかふかで転んでも痛くなかったのはよかった。
<3日目に続く>