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長く生きること

本日のnoteは全文公開です

先日、大学時代の恩師(宮島洋先生)と、ゼミの同胞数名でZOOMで話する機会があった。私の次の次の学年で先生が定年退職されたので、顔ぶれは、子育て真っ最中〜そろそろ還暦というところ。

先生が80歳を超えてもまだエアロビを続けているとおっしゃるので、その続けているということよりも「えっ、もうそんなお年ですか!」のほうにびっくりしてしまった。私が大学卒業して23年だから、まあ、そうなるか。

年をとっても元気なことを示す「矍鑠かくしゃく」という言葉には、どこか気力優位なニュアンスがあるけれど、その言葉さえはまらないほど先生は自然に元気満々な感じだった。

それにはエアロビも貢献してるだろうけど、今もアカデミアや政府筋で財政の専門家として現役で活躍されていることも大きいんじゃないかしら。

60歳で東京大学を定年退職なさってから、70歳まで早稲田大学で教鞭をとり、その後は非常勤の仕事を複数されている、その宮島先生曰く、

「人生が、思ってたよりだいぶ長いんだよ〜。70歳までのことはなんとなく考えていたけど、その後が長くてね。」

先生に言われると、説得力がある。しかし同時に、

「今年はいくつかの仕事を手放したんですよ。僕がいつまでも居座ったら若い世代が育たないから。」

ともおっしゃった。それはもったいないのではと騒ぐ教え子たちに、

「私の存在証明はあなたたちなんですよ」とおっしゃる先生。

ややっ、急に責任重大になった!と、ZOOMの画面越しにも、みんながちょっと背筋を伸ばすのがわかった。(わたしもね。)

「君たちに財政を教えたことはない。テーマも好きに選んで常に自分で考えろということだけを言ってきたつもりだ」と言われて、そういえば、財政のゼミだけど先生から財政を教わった記憶がないと思い当たった。そうか、私の奥深いところで響き続ける「考えろ」の声は、新卒で入ったアップルでインストールされる以前から先生にも水をいただいていたものだったか。

80歳って…改めて数えると、確かに、まだ先が長い。自分の人生を終える時、胸を張って宮島先生に学びましたって言うために、私もまだまだ頑張らなくっちゃと思った。

なお、本日戴冠式を迎えるチャールズ3世も74歳。先の女王は96歳で崩御なさる直前まで仕事をなさっていた。年齢を重ねても健康で社会の役に立てる人生って素晴らしいと思う。

英国王室はちょっと別の次元の話だけれど、ラッキーなことに、私の周囲には、定年を超えても仕事を続けているロールモデルがたくさんいる。

父は歯科医師で、妹夫妻に院長を代替わりして負荷はだいぶ減っているはずだが今も現場に立っている。義理の父も定年前に取得した博士号を活かして科学技術の分野で仕事を続けている。

もっと世代の近い、ゼミの先輩たちがそれぞれに道を拓く話を伺うのも、とても励みになる。企業人の場合、外資系企業ならアップ・オア・アウト、日本企業なら終身雇用という組織の価値観にどっぷりになってしまう人も多いが(それで登り詰める人生もまた素晴らしいに違いないが)、私の一回り上くらいでイキイキしている先輩方の話を聞くと、そんなドグマに囚われず、複数の軸を見つけて柔軟なライフ・キャリアを生きている方が多い。

最近、お笑いの松本人志氏(59歳)が「65歳での引退」を考えているという記事を見たけど、あれだけ特異な才能を持った人は実年齢に遠慮せず、周りから声がかかるかぎり仕事を続ければいいのにと思う。

その「声がかかる」というのが肝心で、環境が変わり、相対的な自分の立ち位置が変わる中で、「好きな仕事」との関わり方もまた変わっていくんだろうけど。

学び続けること、考え続けること、変わり続けること、成長し続けること、それが生きるということなんだなと思う。

あと、この人すごいと思う先輩は、必ずと言っていいくらい運動習慣を持っている。宮島先生のエアロビじゃないけど健康維持の努力は大事だね。

どちらさまにも、長く、楽しいライフ・キャリアを。

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40代半ばで夫婦はじめての海外暮らし。旦那は一年の私費留学を終え、現地で仕事開始。7歳と4歳で渡英した子供二人はバイリンガルになれるかな?表では書けないニッチな話や個人的な考えも盛り込みつつ、ワンコインで月に20本前後をお届けします。購読中はマガジン内の過去記事(200本以上)もすべて読み放題です。

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