駅前でアジってるおっちゃんのレイバー、ラブ、ラーニング&レジャーについて聞かせてもらいたいと思ったはなし - ハンセン
試験にむけてキャリア理論を舐めている中で、クルンボルツ氏に次いで気になったのが「統合的人生設計論」のハンセン氏。だって、キャリア形成をキルト(パッチワーク)に例えたっていうのよ。手芸情緒が貧弱なわたしったら日本語は「つぎはぎ」てことですか、と、いけてないイメージをひらめいてしまいました…。
そこでネットで探せる範囲のご本人情報をあたってみたら、ハンセン氏のファーストネームはサニー。Sanny Hansen、こんな方でした。
なんとも素敵なキルトを作りそうな印象です。著書「統合的人生設計論」(1997)と漢字にするとどうも堅苦しいけれど、原題は Integrated Life Planning(ILP)、個人のキャリア形成を、身心の健康・精神性や人生の目的の追求・社会とのつながり・意味ある役割、といったホリスティックなものとしてとらえようという論旨なのです。
試験対策的に「4つのLとは」と「6つの課題は」を暗記するのはつまらないけど、このサイトのインタビュースライドを見ながら、自分の現時点の4L、つまり、労働(Labor)、愛(Love)、余暇(Leisure)、学習(Learning)を振り返ってみると一発で頭に入ると思います。
ちなみに、CAREERWELLというこのサイト、キャリコンの勉強している人には便利だなと思ったのですが、ここ数年アップデートされていないので、最新情報キャッチのためにはこちら、NCDA (National Career Development Association)のほうが良さそうです。日本の国家資格とるのになんでメリケンの情報を追うのって思われるかもしれないけど、なにしろ、キャリア理論で出てくる学者はほとんどアメリカ人なので…。
ワークライフバランスと喧しい昨今の風潮には、このキルトのイメージ、フィットするのかもしれませんね。組織に与えられた肩書は、私のライフキャリアという一枚の大きな布の一部にすぎない、ということです。
確かに、私の縫いかけの布には、新卒でアップル(りんご模様)、トレンドマイクロでマーケティング(赤色)、グーグルでプランニング(三原色+緑色)という生地がくっついています。でも、それだけじゃない。
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先日、用事があって行った横浜の駅前で、たまたま偶然、労働者集団のアジテーションに遭遇しました。みたところ定年前後と思しきおっちゃんたちがメガホン持って、旗立てて、「人材不足だと言って我々を酷使しようとしている今の政権に物申す!」的なことを叫んでいました。
保育園のお迎えに遅れる~!と大慌てのわたしは速足で素通りしたのだけれど、電車に乗ってから、大きく喧伝されていた「人材不足=酷使される」の文脈が、全く肚に落ちないぞと気になり始めてしまいました。人が足りなきゃ給与水準は上がるはずだし、非人道的な作業はAIが代行してくれる時代が近づいているはずなんではなかったっけ。
時節的に高度プロフェッショナル制度に対する反対運動であったのかもしれませんが、平日の17時の駅前でアジテーションしてたおっちゃんたちは、どうも、この法案の対象となる「高度プロフェッショナル」ではなさそうな感じでした。自分が何を求めているか、分かって騒いでいらっしゃったのかしら。気になる…。
キャリア・コンサルティングの実践においては、体感的傾聴・受容的理解・自己一致の三原則がしっかりできれば問題ないはずだと思う反面、自分は外資系でしか仕事してきたことなくて、新卒3年目からはもう残業代が付かないエグゼンプトであったので、そもそもの感覚や課題感が「みんな」から相当ずれているかもしれないなと思うところはあります。世の中には、わたしの想像を絶する動機で、私から見るとちぐはぐだろうが、本人的にはそれしかないと思って行動をする人がいっぱいいることは知っている。
統合的人生設計的に考えて、彼らは仕事したいのか、したくないのか。長生きするけど仕事はせずに国に養ってもらいたいと言っているのか。自分のキルトを好きになれないのは、国のせいだから?
何を怒っていたのか訴えていたのか。
チラシくらいとっとけば確認できたのかもしれないと反省しました。時間があるなら(そして安全なら)チラシ配っているおっちゃんを捕まえて、なんでそうしているのかそうなっちゃったのか聞きたいくらいだよ。
とにかく今、自分が生きるこの国で、実際に、どのくらいのどんな人が具体的にどんなキャリアテーマに困難を感じて、泣いたり怒ったりしているのか、それを理解するためのアンテナももっと立てていかなきゃいけないなあと思った経験でした。
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